【チラ見せ】チャラめの就活生が面接を受けに来た。(仮)
Added 2018-05-07 13:48:49 +0000 UTCコンコンッ…… ノックの音が2回だったことに俺は驚いた。 「入室時の3回ノック」は就活生の最低限の常識だからだ。 俺がウチの会社の採用担当になって何年か経つが、ノックを3回しなかった就活生は今までいなかった。 かなり緊張していて、すっかり頭から抜け落ちてしまったのだろう。 しかし、俺が「どうぞ」と促して聞こえてきたのは、 「失礼しまーす」と間延びしたお気楽な声だった。 スタスタと入ってきたのは、少しチャラチャラした雰囲気の男子学生。 頭を急いで黒く染めたというのが伝わってくる。 「失礼しまーす」ギィィィ…… 学生は入室してそのまま着席した。 着席するのは、こちらが「ご着席ください」と合図してからだ。 しかも、その前に大学名と名前を言わないといけない。 どういうことだ? 緊張しているようには見えないが…… まあ、緊張しているときの方がヘラヘラしてしまうタイプの学生もいる。 「……堤田(ていだ)さんですね?」 「アァイッ!」 居酒屋の店員がオーダーを受けたかのような返事だ。 まあ、明るく元気な返事ではある。 こうして1対1で向き合うと、堤田という学生がイケメンなのがよく分かった。 チャラついた感じはするが、かといって軽薄そうには見えない。 むしろ真っ直ぐな目をしていて、誠実そうだ。快活そうな笑顔もとても好印象。 顔だけ見れば合格だ。 「まず、志望動機を聞かせてもらえますか」 「アァイッ!……ええーと、んーと……御社の将来性と福利厚生がいい感じだったからです!」 このテキトーさ。舐めているのか? 俺より10歳くらい年下だが、まるで友達のようなフランクさだ。 今すぐ面接を中止して追い出してもいいだろう。 しかし、帝多という学生がニコニコしているのを見ていると、そんな気にはなれなかった。 なんというか、子犬が楽しそうに走り回っているのを見ているような気分だ。 一通り面接をしてやるか。 俺は定番の質問をしてやった。 ウチの会社が第一志望なのか、学生時代に何を頑張ったこと、自分の長所と短所…… 相変わらずテキトーな回答だったが、会話のキャッチボールはできていた。 面接官になると分かるが、会話が全然噛み合わない学生は多い。 でも、普通に会話ができるのは、全く緊張していないからだろう。 そして、全く緊張していないのは、恐らくウチに入社したいという熱意がないからだ。 内心ため息をつきながら、お決まりの質問を続ける。 「では、堤田さんの自己PRをしてください」 「アァイ!!! 俺はガタイがいいです!」 そういえば。 顔や表情、テキトーな受け答えにばかり目がいっていたが、ガタイがかなりいい。 シュッとして見えるリクルートスーツは、胸板や腕の太さが分かるほどパンパンになっている。 今まで意識しなかったのが不思議なほどのガタイのよさだ。 「そうですね、ご立派な体格です。それで?」 「ええーと、俺を採用するメリットなんですけど――」 ガタイがいい奴を採用するメリット? まさか「力仕事なら任せてください!」とでも言うつもりか? 「――俺を採用すると、俺とセックスできます!」 「……はあぁ~?」 あまりに突拍子もない発言に思わず侮蔑の声を上げてしまった。 「だからー、俺とセックスできます!」 「聞こえなかったわけじゃない! 呆れているんだ!!」 語気を荒げてしまう。 ふざけているとしか思えない。 「でも、凄いメリットじゃないですかね。ほら」 そう言って堤田は胸を張った。 そして、その広い胸板をビクン!ビクン!!と動かした。 なんて大きな動きなんだ……。 シャツとジャケットの胸元がダイナミックに暴れ回る。 なんというか、爆竹が弾けまくっているような激しさがある。 俺は思わず堤田の胸元から目が離せなくなってしまった。 (完成まで頑張ります! 進捗は今後もご報告予定です!)