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【限定公開】呪い殺したい。-1-

「どうして……」 目の前の人影がすすり泣きながら言った。 おぼろげな人影とくぐもった声。 どうやら男のようだが、それ以上のことは何も分からない。 さめざめと泣く男に何か声をかけようかと思った、その時—— 「叶わぬならいっそ!!!!!」 男が俺を睨みつけ、叫んだ。 その目は鮮血のように赤く光っている。 殺される——!!!! -------------------- ——ハッ!!! ……夢か。 寝汗で全身がぐっしょり濡れている。 それだけ夢の中の出来事に恐怖していたってことだろう。 本当に不気味な夢だった——んっ? 今、何時だ? 手元の目覚まし時計を確認する。 げっ! もう12時過ぎてる! いつの間にか目覚ましのアラームを止めていたらしい。 12時半に翔馬(しょうま)と待ち合わせをしているのに……。 俺はベッドから跳ね起きて、急いで身支度を整えた。 -------------------- 9月7日、土曜日。 今日は翔馬の誕生日だ。 お祝いに俺が昼食をおごることになっている。 高校生の俺は財力に乏しいから、おごるのは安さが売りのファミレスで。 まぁ、俺と同級生である翔馬も同じく財力に乏しいから、それでも喜んでくれていたけれど。 腕時計で時刻を確認する。 12時45分——かなり急いだが、遅刻だ。 翔馬と約束していたファミレスに入店すると、ウエイトレスが近寄ってきた。 「いらっしゃいませ。おひとり様でしょうか?」 「いえ、待ち合わせです。えっと……」 店内を見渡す——あっ、いた。 ウエイトレスに待ち合わせの相手がいたことを伝えてから、翔馬がいるテーブルに向かった。 「悪い、遅れた」 俺はテーブルに着くなり翔馬に謝った。 「いや、いいって。今日はおごってくれるんだろ?」 上機嫌な翔馬。俺の遅刻にいらだっている様子は全くない。 翔馬がここまで機嫌が良さそうな表情をしているのも珍しい。 普段の翔馬は、眉間に皺をよせ、口を真一文字に結んでいることが多い。 本人は決して機嫌が悪いわけではないと言うが、その固い表情は周囲をビビらせてしまう。 とはいえ、周囲がビビるのは、翔馬の表情が固いことだけが理由じゃないだろう。 一番大きな理由は、恐らく、翔馬の肉体だ。 翔馬は身長が190センチ以上あり、かなりデカい。 俺も175センチあるから身長が低い方ではないが、 翔馬の隣に並ぶと小さく見えてしまう。 それに、翔馬はいわゆるゴリマッチョで、かなりゴツイ。 俺も鍛えているから、そこそこ筋肉がついている方だと思うが、 翔馬の隣に並ぶとヒョロく見えてしまう。 そんな具合で翔馬はかなり厳ついから、周囲はビビッて近寄れないのだ。 実際に話してみると、結構気のいい奴なんだけどな。 「翔馬、もう何か注文した?」 「いや、まだだ……——っっ!!!?」 翔馬が俺の顔を見て目を見開いた。 唇が小刻みに震えている。 お化けでも見たかのような顔だ。 「何だよ、翔馬……俺の顔に何かついてる?」 翔馬は俺の問いかけに答えることなく深呼吸を繰り返している。 とりあえず、翔馬が落ち着くのを待とう。 翔馬の顔色は真っ青になっている。これは只事ではないはずだ。 やがて落ち着いたのか、翔馬は俺にこう言ってきた。 「笑わずに聞いてほしい」 こんなマジなトーンで言われたら、どんな面白い冗談を言われても笑えないだろう。 続けて翔馬はこう言った。 「——お前は……呪われている」 ——はぁ? 俺は笑いはしなかったが、大変戸惑った。 唖然とする俺に、翔馬は言葉を続ける。 「このままだと、お前は近々……死ぬ」 ”死ぬ”…… 無茶苦茶な話だが、ここまで真剣に言われると、 医者から余命宣告をされたかのような衝撃がある…… 余命宣告されたことがないから実際のところは分からないけど。 「俺より呪いに詳しい奴がいるから、そいつをここに呼ぼう」 そう言って翔馬は誰かに電話をかけ始めた。 -------------------- 翔馬の電話から10分ほど経った後、一人の男子が入店してきた。 「こっちだ、こっち」 翔馬がその男子を呼ぶ。 男子がこちらを向き、近づいてきた。 中性的な美男だ。 背は俺と同じくらいだが、かなり細身だ。 「初めまして。西原(にしばる)です」 爽やかではあるものの、どこか不気味な雰囲気がある。 彼が翔馬の言う”呪いに詳しい奴”に違いない。 「早速ですが、確かに、あなたは呪われています」 ……本当に”早速”だな。俺はまだ西原さんに自己紹介すらしていないというのに。 「死ぬ恐れがある強力な呪いですが、すぐに効果が出るではありません。 少なくとも明日は死ぬことはありませんので、安心してください」 「いやいや、『明日は死なない』と言われても安心できないんですけど!」 俺は反射的に突っ込んだ。 「では、なるべく早く解呪できるように頑張りましょう」 ……”なるべく早く”ではなく”大急ぎで”解呪してほしいところだ。 と思いつつ、実際のところ、自分が呪われているかどうか半信半疑なのだが。 「あなたにかけられた呪いには『愛情』と『破滅』の香りがします。  最近、恋人をふったりしませんでしたか」 ——心当たりがある。 西原さんは本当に何らかの力を持っているのかもしれない。 「一昨日、告白されましたが……断りました」 俺がそう言うと、翔馬が「お前は本当にモテるな」と口を挟んできた。 「確かに、おモテになりそうですね。 顔は今時のイケメン。体は程よい筋肉質。モテないはずがないでしょう」 西原さんまでそんなことを言う。 否定するのも面倒だ。 俺は二人の言葉をスルーして西原さんに質問した。 「告白してきた相手が俺に呪いをかけたってことですか……?」 「その可能性はあるでしょう。 あなたに『愛情』があるのに報われないため、 やけになって『破滅』の道を選んだということが考えられます」 それが本当だったら、逆恨みもいいところだな……。 参っている俺に翔馬が「告白してきた奴ってどんな相手だ?」と聞いてきた。 俺はスマホを取り出して、告白してきた相手の画像を探しだし、二人に見せた。 画像を見た二人はしばらく絶句していたが、やがて西原さんが口を開いた。 「……男性、ですか」 そう、俺に告白してきたのは男子だ。 隣のクラスの東風(こち)という男子。 画像の中の東風は学生服姿だから男子だと分かるが、 これが私服姿だったら、彼を知らない人は女子だと思ってしまうかもしれない。 仕草も女子っぽいからゲイじゃないかと噂されていたが、その噂は事実だった。 「では、早速この方に会いに行きましょう。 直接この目で見なければ、呪いをかけたかどうか判断するのは難しいです。 さあ、どこか人気のない場所に彼を呼び出してください」 「ずいぶん行動が早いですね……」 「あなたの命がかかっていますからね。 さあ、早く。急いで。ダッシュで。ほらダッシュダッシュダッシュダッシュ……」 西原さんが真顔で淡々と急かしてくる。そして、急かし方が変わっている。 「分かりました! 分かりましたから……」 翔馬の方を見て、(お前の友達、何なんだよ)を目で訴える。 翔馬は眉間に皺をよせ、口を真一文字に結んで (すまないな……)と目で答えていた。 -------------------- 東風と連絡を取り、俺の家に呼び出すことにした。家族はみんな明日まで出かけている。 一昨日俺にフラれたばかりの東風だが、俺の家に誘うとすごく喜んでいた。 何だか東風を騙しているようで、少し胸が痛んだ。 みんなで俺の家に移動してから30分ほど経った頃、東風が俺の家に到着した。 俺の部屋に案内すると、翔馬と西原さんもいたため、東風は戸惑っていた。 「えっと、翔馬君と……どちら様ですか?」 「初めまして。西原と申します」 「そうですか……えっと……それで? 今日は何の用なの?」 そうだ。東風を呼び出したものの、何をすればいいんだ? まさか「俺を呪っているのか?」とダイレクトに聞くわけにはいくまい。 「東風さん、この方を呪っているんですか?」 (ダイレクトに聞いたあああーーー!!?) さすが西原さん。この人、本当にどうかしている。 「西原さん! そんなダイレクトに聞いて『はい、呪いました』と答える人はいないでしょう!?」 「はい、僕が呪いました」 「答えたあああーーー!!?」 「だって……こんな素敵な人と結ばれないなんて!!! 悲しすぎる!!! 僕のものにならないなら……それなら、いっそ……いっそぉぉぉーーー!!! 死んでしまえばいいんだぁぁぁーーー!!!」 一気にボルテージを振り切った東風の姿に恐怖を覚えた。 悪霊に憑りつかれているような狂気……怖い。 「あなたを呪ったのは、間違いなく東風さんですね」 「でしょうねぇ!!?」 この期に及んでも冷静な西原さんも怖い。 「この手の呪いを解くのは簡単です。あなたが東風さんとセックスすれば解呪できるでしょう」 「せ、せせせ、セックスぅぅぅ!!?」 「あなたとセックスをすれば、東風さんの想いが満たされ、呪いを維持できなくなります」 「西原さん、そんなこと言われてもですね……」 「こちらをどうぞ——コンドームです。セーフセックスを推奨します」 翔馬の方を見て、(どういう展開だ、これは!?)を目で助けを求める。 翔馬は眉間に皺をよせ、口を真一文字に結んで (セーフセックスは大事だ……)と目で答えていた。 -------------------- 死ね!! 死ね死ね死ね死ね死ね!!!!!!! 好き……好き好き好き好き好き……!!!!!!!! 死ね好き好き死ね死ね好き死ね死ね死ね好き死ね好き好き好き死ね好き 好き好き死ね好き死ね死ね死ね好き死ね好き好き死ね死ね死ね死ね好き 好き死ね死ね死ね好き好き好き死ね好き死ね好き好き死ね死ね好き死ね 僕の頭の中が、アンビバレントな感情でいっぱいだ…… 分かるのは、僕は今、まともじゃないってこと…… きっとあなたも呆れている。 僕が好きになった、あなた。素敵な素敵な、あなた。 ……死ね好き好き、死ね死ね死ね死ね、好き、死ね死ね死ね…… えっ……どうしたの……服を、脱いでる……? ……死ね好き好き、好き好き死ね好き、死ね、好き好き好き…… 筋肉質な上半身が露わになる。 きれいな顔からは意外に思えるほど、男らしいカラダ。 でも、僕はあなたがこんなカラダをしているって、知ってる。 体育の授業の着替えで、こっそり覗いていたもん。 全体のシルエットが美しい逆三角形を描いている。 意外と広い肩幅、意外としっかり鍛えられた広背筋が織り成す芸術だ。 胸板は厚く、大胸筋の形がはっきりと分かる。 腹筋はきれいに6つに割れ、脂肪が微塵も感じられない。 美しい……神々しいほどに、信じられないほどに。 「セックス、したいか?」 「……はい、もちろん……」 あなたから夢のような問いかけ。 ……そうか、これは夢なんだね。 だって、そうじゃなきゃ、あなたは僕にこんなこと言わない。 それに、これほどまでに美しい肢体が現実に存在するなんて、ありえない。 「セックスしたいか。それなら下も脱がないとな」 あなたが不敵に笑い、ズボンを脱いだ。 青のトランクス。少し意外かも。何となくボクサーパンツを履くタイプだと思ってた。 そんなことを思っていたら、そのトランクスが一気に脱がされた。 (ああ……好き……) ダランとぶら下がったソレは見事な露茎で……おっきい。 すごくエッチで、僕の粗末なモノも反応してきた。 僕のが大きくなったところで、今のあなたのモノより小さいだろうけれど。 「お前も脱ぐんだ」 言われるがままに僕も服を脱いだ。 ズボンを脱ぐのは恥ずかしかったが、あなたとセックスできると思えばなんてことない。 僕の体……ガリガリに痩せていて、みっともない。皮をかぶった粗末なモノも、みっともない。こんな体……あなたの肉体美の前に晒すのは恥ずかしい。 「白くてきれいな肌だな」 あなたが褒めてくれた。我ながら単純だけど、気持ちが一気に明るくなった。 「さあ、ベッド行こうぜ」 あなたがベッドに腰掛けて僕を誘う。 吸い込まれるように僕は横に座った。 あなたと僕が全裸で向き合う。 夢であっても嬉しいな。 と、その瞬間。 あなたがいきなり口づけをしてきた。 唇と唇が重なる。 それだけで僕は勃ってきたが、さらに、あなたは舌を入れてきた。 あなたの舌が僕の口の中を愛撫する。 優しい動きなのにとても刺激的。 まるで物理的に股間を揉みくちゃにされているように激しく勃起した。 「キスしただけで、こんなになっちまって」 あなたが笑いながら、僕のモノに触れた。 じわりとカウパー液が溢れて、あなたの指が濡れた。 「ごめんなさい、指を汚しちゃって……」 美しい芸術作品を汚損させてしまった、そんな罪悪感。 でも、あなたは「これからセックスするんだから、気にするなよ」と笑ってくれた。 身も心もふわふわしていて、いつの間にかベッドに仰向けになっていた。 あなたのリードは実にエレガントだ。 僕はいつの間にか股を開いていて、その間にあなたが膝立ちになっている。 「……おっきい」 あなたのモノが勃起している。 まっすぐ天を衝くように伸びていて、長さはおへそを超えている。 それに、ぞっとするほど太い。 「コレでお前を犯す。楽しみか?」 「……ちょっと怖い。ううん、本当は、すごく怖い……」 「大丈夫だ。俺に任せろ」 「ああっ!!!」 あなたの指が僕のアナルに侵入してきた。 「お前が先走りで濡らしてくれたから、指がスルスル入るよ」 「えっ、嘘!? そんなに出てた!?」 「嘘だよ。ローションだ」 あなたがいたずらっぽく笑いながら、ローションの容器を見せてきた。 僕が「ふふっ」と吹き出したら、あなたは「そうだ、リラックスして」と満足気。 計算していたのかな。策士だね。 「そろそろか。俺のコレ、挿れるからな」 大きなモノを指差しながら、あなたが言う。 いよいよか……少し緊張する。 「まだ怖いか?」 顔が強張っていたのか、あなたが聞いてきた。 「ううん、もう怖くない。優しいあなたと、一つになれるんだから」 「そうだな。これで、一つだ……!!!」 「ああああっっっ!!!」 指とは全然違う。 ずっしりとした質量を感じる。 その辺の普通の男子のモノじゃ出せない、この圧迫感。 僕の体内におもりを仕込んでいるような、この重量感。 「好き……好き好き、大好き!!!!!」 「おいおい、まだ挿れただけだぞ。楽しいのはここからだ」 「ううっ!!!!」 あなたのモノがゆっくりと後退する。 おっきい亀頭が僕の体内をえぐっていく。 痺れるような快感が全身を襲う。 「ああっ、嘘、こんな気持ちいい……!!!」 「セックスは気持ちいいもんだ。ほら」 今度はモノが前進してくる。 刺激に敏感になっているのか、最初よりも快感が強まっている。 「嘘っ!!! こんなの……!」 「『嘘』って言うの、やめな。本当だから」 今度は後退。さっきより速く。 次は前進、そしてまた後退。どんどん、どんどん速くなる。 「あああああああああっっっ!!!!!」 すごく速いピストン。 あなたの割れた腹筋がさらにバキバキになって滑らかに動いている。 こんなに激しく動いているのに、あなたは余裕たっぷり。 さすが、全身にバランスよくついた逞しい筋肉は伊達じゃない。 「これは、嘘じゃないし、夢でもない」 「んんっ!! ううううっっ!!!! あああああっっっ!!!!」 自分の声であなたの声がかき消される。 でも、こんな快感、刺激……声を出さないなんて無理だ。 「なあ、俺のこと、好きだろ?」 激しく腰を振っているのに、あなたの声はぶれない。 底知れない体力の持ち主なのが分かる。 「あああぅぅぅ!!! 好きぃぃ、大好きぃぃぃ!!!」 「だったらさ……俺のことを——」 「イクっっ!!! イクぅぅぅぅっっっっーーーー!!!!!」 射精感が込み上げて頭が真っ白になった。 ぴゅっ、ぴゅぴゅっっ!!! 射精した。 とんでもない絶頂感のせいで頭が麻痺したのか、何も考えられない。 余韻が心地いい。疲労感と相まって、眠りに入る直前のような気持ちよさがある。 「気持ちいいだろ、俺とのセックスは」 「へっ? ああ、うん。とっても」 「ははっ、放心状態だな」 「うん、ごめん……」 あなたがモノからコンドームを外し、口を縛ってこちらに放り投げてきた。 僕のお腹の上に乗っかったそれは、たぷっとしていて重みを感じた。 どれだけの量を放出したんだろう。 僕のお腹を濡らす自分の精液の量とは比べ物にならないほどの量。 これだけ逞しいカラダをしているんだもん。精液もたくさん生み出されるんだろう。 生物として、雄として、その辺の男とは比べ物にならないんだ。 そして、僕とのセックスでこれだけ射精してくれたのが嬉しい。 それだけ満足したってことでしょう? 「そういえば、さっき何て言ったの?」 「さっき?」 「僕が、その……イッちゃう直前。 えっと……『俺が好きなら、俺のことを』みたいなこと言ってた」 「ああ。それはな——」 --------------------- 「呪いは無事に解けました」 東風が帰った後、西原さんが俺に告げた。 「それは……良かったです」 実際のところ、俺が本当に呪われていたのかどうかは自分では分からないから複雑だ。 単純に「セックスするところを見られて恥ずかしい」との思いしかない。 (まあ、二人とも気にしないふりをしてくれているからマシだけど……) 「かなり激しいセックスをなさるんですね」 「思いっきり触れてきた!!!」 まったく……この西原さんだけは本当に分からない。 翔馬の方を見ると、翔馬は眉間に皺をよせ、口を真一文字に結んで (かなり激しいセックスだった……)と目で感想を述べていた。 「それにしても、少し不可解なことがあります」 「不可解なこと?」 「はい。呪いをかけることは、それほど簡単なことではありません。 それなりに能力のある者でなければ、呪いをかけることはほぼ不可能なのです。」 しかし、東風さんには、能力があるようには見えませんでした」 西原さんが真剣に考え込む。真面目なのか不真面目なのか分からない人だ。 「逆に能力が高いんじゃないか? 自分が能力者だとを悟られないほどに」 翔馬が西原さんに見解を述べる。久しぶりにしゃべったなコイツ。 「それにしては、呪いのクオリティが低すぎる」 「確かに、能力が低い俺でも呪いに気づけたしな。 能力が高い奴なら、呪いの気配を消せたはずだ」 呪い談義。俺にはついていけない。 「もしかすると、もっと大きな何かが動いているのかもしれません。十分気をつけてください」 西原さんが俺に忠告するが……一体どう気をつければいいんだよ……。 色々あってどっと疲れた。 翔馬と西原さんを送り出してから、自室のベッドに倒れ込んだ。 東風とセックスした現場だが、そんなことが気にならないくらい疲れている。 (とんでもない一日だったが……まあ、無事で何よりだな……) 今日のことを振り返る間もなく、俺は睡魔に身を委ねた。 -------------------- 「どういう意味なんだろう……」 家に着いたけれど、あなたに言われた言葉が気になって耳から離れない。   「そういえば、さっき何て言ったの?」   「さっき?」   「僕が、その……イッちゃう直前。    えっと……『俺が好きなら、俺のことを』みたいなこと言ってた」   「ああ。それはな——」 あなたは僕の耳元に口を近づけて、ひそひそとこう言ったんだ。   「——俺のことを、殺してくれよ」 続く。


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