【小ネタ】イチモつくね
Added 2019-12-31 14:58:09 +0000 UTC「イチモつくね? なんだこれ」
「お客さんのイチモツとおんなじ大きさのつくねを作るってメニューっす!」
「イチモツってことは……」
「ぶっちゃけチンコっす!」
あまりのくだらなさに俺たちは爆笑した。
ゼミ仲間の男10人で飲みに行く流れになり、大学近くの居酒屋に入った。
「メシはうまいがアホな店」って噂を聞いたことがあるが、こういうことか。
裏に回って店員にチンコを見せたら、等倍のつくねが出てくる。なんというアホなメニュー。
「もちろん勃たせてもいいっすよ! 試しにどうっすか!」
ノリのいい店員がグイグイくる。アホに徹していた好感が持てるほどだ。
「鷹内(たかうち)、お前試してみろよ」
誰かが鷹内をターゲットにした。
(やめとけよ、かわいそうだろ……)
鷹内はゼミ仲間の中でも大人しい方の人間だ。
人と揉めるのが苦手なのか、言われたことを何でも聞いてしまう。
「え、俺? まあ、いいけど……」
やはり鷹内は拒否しなかった。
周囲は「よっ! さすが鷹内!」「男の中の男! カッコいいぞ!」と盛り上がっている。
店員も「毎度! イチモつくね一丁!」と盛り上がる。
嫌なら断っていいんだぞと声をかけたいところだが、俺にそんな度胸はなかった。
鷹内がのっそりと立ち上がり、店員と一緒に店の奥に向かう。
その背中を見ながら、助けられなくてすまんと心の中で謝った。
「おまちどおさまっすー……」
さっきの店員が皿を持ってやってきた。
あれから大分時間が経っている。
鷹内には悪いが、俺たちはイチモつくねとやらの注文を忘れかけていた。
「おっ、やっとか!」
「鷹内のイチモつくね、どんなもんだろうなー!」
みんなギャハハと笑い、一気に場が盛り上がる。
店員がテーブルに皿を置く。
ドンッ!!!
……一気に場が静まり返った。
運ばれてきたつくねが異様な大きさだったからだ。
長さは20……いや、25センチはありそうだ。
直径も間違いなく5センチ以上ある。
形も異様だ。
亀頭がデカく、カリの段差がエグいことになっている。
女を殺す凶器。体内でこんなモノが暴れるかと思うとゾッとする。
「ハ、ハハッ……店員さん、冗談キツイって! 何だよこれ! ハハッ……」
しんとした空気を打ち破ろうとして誰かが笑い飛ばした。
だが、店員は引きつった表情をしている。
「冗談かどうかは本人に聞いてみるといいっすよ……」
力なく言葉を発して店員が立ち去る。
入れ替わるように鷹内が帰ってきた。
いつも通り穏やかな表情をしている。
「お待たせ。んっ? どうした?」
「いや、これ……このつくね……」
「ああ、リアルだよなぁ。形もこんな感じだし」
穏やかに、平然と言ってのける鷹内。
それを聞いて黙り込む男たち。
驚愕、屈辱、畏怖、尊敬……
鷹内に対して色んな気持ちが渦巻く。
他の男たちも同じだろう。皆一様に顔が強張っている。
「鷹内、チンコでかいんだな……自慢だろ?」
誰かが口を開いた。言葉と表情に、敗北感と悲哀と嫉妬が混じっている。
「別に自慢じゃないけど、自信にはなるかな」
「……自信?」
「誰から何言われたって平気なんだよな。
『こんなこと言ってるけど、俺よりチンコ小さいんだよな』と思うと、全然腹が立たないんだ」
鷹内がどれだけいじられても全く怒らないのは、あんな化け物チンコを持っているからなのか。
特に日頃から鷹内をいじっている奴は、顔が赤くなっていた。
いじるたびに鷹内から内心チンコが小さいと馬鹿にされていたのだ。
そして、これほど巨大なチンコの持ち主には粗チン扱いされても何も言えない。
「さあ、とっとと食おうぜ」
鷹内の言葉で俺たちはつくねに手を付けた。
10人で分けられるくらいボリュームのあるイチモつくね。
俺たちは自分の男としての劣等感に打ちひしがれながら味わった。
その日から鷹内は、俺たちの中の頂点に立つ男になったのだった──