(全体公開)転校先の国語の先生 ~出会い~
Added 2020-09-26 06:06:41 +0000 UTC今日から俺はこの高校に転校……いや、転入っていうんだっけか?
とにかく、今日からこの学校に通うことになった。
担任の女教師(美人!!)が俺を紹介し、俺も軽く挨拶をすると、クラス中の奴らが「おぉ~!!」と盛り上がった。
「とかいんひちきたよー」
「なめーかっけえのー」
「てれびんなけしかあんしゃべんきかんなー」
……なっ、何言ってんのか全然分かんねぇ……。
先行きがかなり不安だ……。
親の都合で転校することになった。
高校生にもなって嫌だと駄々をこねるような真似はさすがにしなかったが、実際引っ越してみるとかなりの田舎。
買い物するところも遊んだりするところもまるでなく(いや、スーパーはあるし公園もあるんだけど、俺が求めてんのはそういうのじゃない)、すげぇヘコんだ……。
そのうえ、こうして新しい学校へ行ったら何か訳分からん言葉でベラベラ喋ってて「気が合う奴いなそう……」と本気でヘコんだ。
あぁ……東京に帰りたい……。
「じゃあ、あの席に座ってくれるかな?」
「あ、はい」
担任(美人)の喋り方は普通だ。もしかしたら俺に気を遣ってくれてんのかも。
指定された席は窓に面したの一番奥の席。かなりいいポジションだな。
朝のホームルームが終わり、1時間目の授業が始まるまでの間、俺の机はクラスの奴らに取り囲まれてしまった。
「ぶかつんゆるんー?」
「よびなんきむっよー」
「どこんこしたんー?」
いやいや、ちょっと待て……。本気でさっぱりなんだけど……。
「わっ、悪いけど、ゆっくり喋ってくれないかな……?」
たまらずそう言うと、「おぉ~」と盛り上がる……馬鹿にされてんのか?
ちょっと不快に感じていると、目の前にいた3人の男子が急にふわっと浮き上がった。
「1時間目始まってるぞー」
……でっけぇ男が3人まとめて抱え上げてる。何かとんでもなくでけぇぞ。
3人の胴体に腕を回してもまだまだ腕の長さに余裕があるし、頭が天井つきそうだもん。
「ごめんてせんせーおろしてー」
お、これは分かる。「ごめんって、先生。降ろしてー」だ。
先生と呼ばれたでけぇ男は男子生徒らを降ろして教壇へ向かった。
俺を囲っていた奴らもそそくさと席に着く。
「転入生が困ってるから、お前らほどほどにしとけよー。
転入生がいるから一応自己紹介しとくな。
このクラスの国語を担当しているサイトーだ。サイトー・リョーイチ。よろしくな」
「せんせー、なんかはなしかたんけえとらん?」
「方言丸出しで授業してたら転入生が聞き取れなくて困るだろ。
転入生、今こいつは『何か話し方変えてない?』と言ったんだぞ」
……正直分からなかったから助かった。
授業を聞き取れるように配慮してくれるのもありがたい。
「まぁ、転入生もそのうち慣れると思うが、お前らも話しかける時は気を遣ってやれ。
じゃあ、授業始めるぞー」
サイトー先生は教壇の上に乗らなかった。上に乗ると頭をぶつけるからだろう。
黒板との距離は結構あるが、サイトー先生の長い腕なら余裕のようだ。
教卓を挟んでも十分黒板に届く。
ただ、でかい身体が邪魔でなかなか黒板が見えない。
サイトー先生が頻繁に右へ左へうろうろしているのは、生徒が板書をとれるようにするためだろう。
(身長が高すぎるってのも大変だな……)
そんなことを思いながら、1時間目を無事に終えた。
その後も授業の度に先生から自己紹介され、休み時間の度にクラスメートに囲まれ(サイトー先生の忠告のおかげなのか、みんな標準語で話そうとしてくれた)、やっと転入初日の最後の授業になった。
今日の最後はロングホームルーム。クラスメート全員が俺のために自己紹介してくれた。
何だか申し訳ない気がしたが、みんな喜んで自己紹介してくれてるっぽかった。
一通り紹介が終わると、俺のクラス内での係や委員会を決めることになった。
候補を挙げられ、「どれがいい?」と担任(美人。名前忘れた)
係と委員会はどちらか一つになればいいらしい。さて、どうしよう。
数学係や英語係、体育委員会や図書委員会など色々あるが……。
「……国語係で」
俺はサイトー先生に何となく興味がわいて、国語係を選んだ。
「そう。ふふっ、結構大変かもよ」
美人先生(仮名)が妖艶な笑みを浮かべる。
(サイトー先生って意外と厳しいのか?……それにしても美人だなぁ~)
そんなことを思いながら俺の新しい高校生活1日目は終わった。
続く。