『組体操』
運動会の組体操、競争とは違いみんなが主役になれる。
そんなの嘘!
かけっこ以上にどうしようもない格差を思い知らされるんだ。
僕のようにスクールカースト底辺の子は否応なしに四つん這いになり、
上位の子に踏みつけられるところを観覧に来た家族に見られるんだ。
僕の上に乗るのはクラスの人気者のタクヤ君だからすごく目立つ。
踏みつけられる僕も必要以上に大勢から見られちゃうんだ。
タクヤ君はグラウンドの土のついた汚れた足で、
僕の背中に容赦なく飛び乗る。
僕よりも少し背が高くて体重が重いタクヤ君が乗ると背中がミシっとする。
タクヤ君はお調子者だから大袈裟にバランスを取るように僕の上で動く。
本人は気づいているかわからないけど、僕の頭に足を乗せてきたんだ。
同い年の人に頭を踏みつけられるなんて、すっごくみじめな気分。
でもいやがってタクヤ君がバランスを崩したらクラス中からヘイトを買ってしまう。
僕は頭を持ち上げ、必死に耐える。全身に力が入る。
歯を食いしばってると、こめかみがドクドクする。
そうしていると辺りの音が遠のいていく。
あるのはタクヤ君の温かい足の裏の感触。
体操服が捲れて肌に直接触れる。坊主頭にも感触が伝わる。
タクヤ君が左右に動く度、僕の身体に足が食い込んでくる。
タクヤ君は目立とうとするのに躍起になって、今生きている人間の上に乗っているなんて、これっぽっちも考えてない。
でも僕は、なぜかこの状態がずっと続いて欲しいと考えてしまった。
今になって思えば、僕はこの時に自分がどういう奴なのか理解したのかもしれない。