『逸品』
Added 2018-10-01 13:28:27 +0000 UTC「邪魔するよ」 「へい、いらっしゃい」 身なりの良い白髪の老紳士が、帽子を脱いで暖簾を潜る。 皺一つない白い板前法被と和帽子を纏った黒髪の男が威勢の良い挨拶で出迎える。 淡い光で照らされた小料理店はとっくに閉店時間を迎え、客も従業員もいない。 だが、店長の三代目は上客の紳士のため、特別に閉店後に店を開けているにした。 勿論貸し切り。やんごとなき身分の老紳士には相応しい待遇である。 ゆっくりと三代目の目の前の席に座ると、老紳士はきらきら輝く期待を込めた瞳で見つめる。 「さて、今日はどんな料理を出してくれるんだい?」 その言葉を待っていたように、三代目はほんのりと笑顔を浮かべる。 入店時間から逆算して仕込みを終えていた小鉢を、ゆっくり焦らしてカウンターに置く。 置かれた小鉢の中から食欲をそそる臭いの湯気が溢れ出し、丸い形の白いぷるぷるの周りに野菜が浮かぶ琥珀色の温泉が広がっている。 「そろそろ肌寒くなってきましたからねぇ。今日はとろとろに煮込んだ豆腐に、生姜風味の野菜餡を掛けてみました。熱いですのでゆっくり食べて下さいね、爺様」 「おぉ、これは冷えた体に染みそうだ。ネギにエノキに……水菜か。具だくさんで美味そうだ」 早速レンゲを手に取って豆腐を餡に絡めて掬う。 絶妙なとろみの案がレンゲの中から湯気と共に溢れ、煌めく琥珀色で具材を優しく包み込んでいる。 食欲をそそる生姜の臭いが腹の虫を鳴らし、手の震えにぷるぷる動く豆腐が何とも愛らしい。 餡をこれ以上零さないように口元を寄せて豆腐と餡を一気に啜る。 「あふっ、おほっ。ほっほっほっほっ……」 だが、まだ早すぎたようだ。 食欲に負けて一気に流し込んだ熱い豆腐と餡が口腔に絡み、思わず老紳士も唇を尖らせ肩をすくめてしまう。 口から機関車の様に湯気を噴き出しながら熱さに耐えるが、その表情はどこか楽し気に見える。 「ありゃりゃ、だから言わんこっちゃない。大丈夫ですか?」 「ほふっ、ほっふっ、ほっふっ。だ、だいじょぶ……おふぉー」 心配そうな、だがどこか嬉しそうな三代目を尻目に、老紳士は暫く熱い豆腐と餡に果敢に挑戦していた。 漸く程よい温度に下がって味わうと、噛まなくとも蕩けていく豆腐がほのかに甘く、歯ごたえが残る新鮮な野菜に絡んだ醤油ベースの出汁がきいた餡が後を引く美味しさを残す。 呑み込んだ後も喉を優しく温め、腹の中までほっこり暖かくさせてくれる。 「ふひー……死ぬかと思ったぁ」 「うーん、もうちと冷やしとくべきだったかなぁ。俺もまだまだ未熟です、先先代や先代に追い付くのはいつになるやら」 「何を言ってる。こうやって熱いのにわちゃわちゃやるのも醍醐味じゃないか。他の客は知らんが、ワシはこれが一番おいしい」 とは言いながらも、今度は少しずつ丁寧に豆腐と餡を啜る老紳士に、三代目は呆れながらも、水の入った湯飲みを差し出して次の料理の準備を始める。 老紳士も水を飲みながらゆっくり料理を堪能すると、満足げな溜め息と共に笑顔を浮かべる。 「ふー美味しかった。最初からこれだと、次の料理も楽しみだ」 「それはありがとうございやす。爺様のために腕によりをかけてみせますんで、是非楽しみにしてください」 「こらこら、ワシなんかのためよりも、昼間のお客さんのために本気を出しなさい。全く、調子の良いところは三代続いて似ておるな」 そういうと、老紳士は上半身を乗り出して三代目の顔を見つめる。 太く男らしい眉毛とそれに負けないくらいの目力がある瞳。 髭の剃り跡が残る精悍な顔立ちは平均的な日本人顔とも言えるが、老紳士にとっては心が落ち着ける親しみを覚える顔である。 そして、胸の奥が切なさで締め付けられる、愛おしさに満ちた顔でもある。 老紳士は徐に椅子から立ち上がり、そのままやや足早にカウンターの端から中に入り込む。 料理に専念している三代目の背後に近付くと、そのまま優しくも力強く両腕で抱き着く。 「……すいません、今は次の料理の準備が……」 声色を変えずに三代目が注意をする。まるで気にする素振りも見せずに赤みの一冊を一切れずつに切り分ける。 しかし、顔は若干紅潮し、呼吸は平常時よりも乱れ始める。 それでも、老紳士は離れようとはしない。 三代目の肉体を抱き寄せる両腕には力が入り始め、節だった指先が板前法被の中に潜り込み、下半身の白い前掛けの中に入り込む。 「そのぶっきらぼうな態度、本当にお前の爺さんと親父さんにそっくりだ」 筋肉と脂肪が重なった絶妙な揉み心地の胸板に指を食い込ませ、激しくなる心臓の鼓動を様子を指先で楽しむ。 薄い反応とは裏腹に、前掛けの下で着実に体積を増やす股間の竿を、激しく弄り回そうとする本能を抑えつつじっくり焦らしながら刺激する。 「あ……ふっ、ん……っ。はぁ……は……はぁ、ん……っ」 冷静に料理をしていた三代目が、皿に刺身を盛りつけようと掴んだ菜箸を床に落とす。 タイル張りの床に菜箸が落ちた音が響き、荒ぶる呼吸に小さな嬌声が混じる。 三代目の両腕が絡み付く老紳士の腕をつかむ。体から剥がそうとするが、淫らな快感に力が入らない。 「それに、その敏感で淫乱な肉体も、三代そろってそっくりだ。逸治にも、逸郎にも……のぅ、逸貴」 初代たる祖父の逸治、二代目たる父親の逸郎、そして三代目たる息子の逸貴。 順々に名前を呼んでいき、逸貴の耳に熱い吐息を吹きかける。 「はああぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ、あんっ、やっ、やめっ……店じゃ、だめ……。じい、さまぁ……っ!」 鼓膜にかかる熱い息に逸貴は背筋を震わせ、両足から力が抜ける。 カウンターに両手をついて体を支える。業物の刺身包丁が弾き飛ばされて流し台に落ち、大きな音を店内に響かせる。 俎板の上の刺身が何切れか思いがけず掌に潰され、綺麗に整えられた形が一瞬にして崩れる。 その隙に、老紳士の指先が更に逸貴の肉体を貪る。 板前法被の前重ねを解き、シャツを捲り上げて丸みを帯びた腹と肉厚な胸板を露出させる。 容易に勃起した乳首を乾いた指先で擦り、乳輪をなぞって執拗に、だが時間をかけて堪能する。 腰紐を解いて下履きを踝までストンと落とし、使い古したブリーフの中で息苦し気に脈打っていた肉棒を掴み、扱く。 鈴口に溢れる先走りを指先に絡めながら亀頭を擦る。滑り気を増やしていきながら亀頭を掌で包み、拳全体で捏ね繰り扱く。 じゅぶじゅぶと粘り気を帯びた水音が響き、指の間から白濁に泡立った先走りが糸を引いて溢れ出す。 白い前垂れにも先走りは噴き出し、純白の生地に生臭い染みが少しずつ広がり、拳を外せば勃起して雁首を拡げた亀頭の雄々しいシルエットが浮かび上がる。 「ああ……ああぁ……あっ、ふぅ、ん……っ」 「ほれ、乳首もチンポももうこんなバキバキに硬くなりおって……折角の仕事着が台無しだぞ」 肉棒を扱く速度を上げれば、逸貴の腰が逃げるように引かれてしまうが、背後から腰を突き上げて強引に肉棒を差し出させて扱き続ける。 老紳士に肉棒もズボンの中で年甲斐もなく勃起し、押し付けた尻の谷間に入り込んで物欲しげに何度も擦り付ける。 「そんなに我慢戦でも良いぞ。今ここにはワシとお前しかいないのだぞ。思う存分大声で喘げ。……お前の爺さんも親父も、そうやってワシに食べられたんだぞ」 「はぁっ……ああっ、ああんっ!!んぁ……んなこと……い、いま言わない、でぇ……っ!じいさまは……じいさまは……」 逸貴が亀頭を捏ね繰る老紳士の拳を掴み、若さに任せて力づくで引き剥がすと、自身の先走りでべっとり濡れた掌を強引に顔に押し付け、大口を開けて舌で舐め上げる。 指一本まで舐め啜りながら顔面全体を先走りで濡らし、同時に老紳士の肉体に舌を這わせる恍惚感に震える。 そして、靴を脱いでズボンも脱ぎ捨てると、生臭い気泡塗れになったブリーフの穴から肉棒を掴み出し、その真っ赤に反り上がった肉棒を一気に扱き出す。 一通り舐め終わった老紳士の手が老紳士の昂ぶる肉棒をズボンのチャックから掴み出しても、 指先がブリーフの隙間から尻に谷間に食い込み、疼き濡れていた肛門に到達しても、 自身の先走りと涎で濡れた指先が、肛門の菊門を解し崩し、そのまま複数本を一気に挿入しても自慰行為を中断しない。 「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!あっイクッいきますっ!じ、じいさま……お、俺の雄臭ぇ料理ができんの……ちゃんと見てて……んんんんんっ!?いっ……いっぐぅぅぅぅぅぅぅ…………っ!!」 肛門に挿入された複数本の指を強く咥え込みながら、逸貴は板前法被を着たまま射精した。料理人の聖域である調理場の中で、一方的に弄ばれながら。 勃起した肉棒に捲り上げられた前垂れを抜けて、噴き出た精液は勢いに任せて老紳士が座っていたカウンターにまで届く。 当然目の前の調理台にも精液は大量に降り注ぎ、切り揃えられた赤身の刺身にもねっとりと精液が絡んでしまう。 逸貴は肉棒を調理台に乗せて更に扱き続け、何度も背筋を震わせて射精を繰り返す。 溢れる精液は刺身を狙って何度も降り注ぎ、鮮度に気を使った鮮やかな色の赤身は完全に生臭い白濁の雄汁の下に埋もれてしまった。 精液塗れの震える両手で精液の中に手を入れて刺身を掴み出すと、それを元々刺身用に準備していたこだわりの刺身皿に盛り付ける。 盛りつけると言っても、精液ごと掌で掬った刺身を皿の上に乗せただけで、高い位置から落とした衝撃で精液が飛び散り、店全体に濃厚な雄の臭みが広がっていく。 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……ど、どうぞ、爺様。こ、これが……当店の隠れた『逸品』……『雄盛り野郎の種汁盛り』で、ございます……!」 背後から老紳士の腕が伸び、精液の中に隠れた赤身の刺身を指で掴み出す。 粘り気の強い精液の糸を垂らしながら、ゆっくりと口元まで運び凝縮された雄の臭いと熱を嗅覚と視覚、触覚で堪能する。 「おぉ……流石は生粋の雄好きだな。跡取りも作らずワシ意外の雄にも『逸品』を食わせているにもかかわらずこの量と臭さ……逸治や逸郎以上の絶倫だな」 いやらしい笑顔を浮かべながら逸品を舌の上に乗せて口に入れる。噛めば噛むほど絡み付く肉厚な刺身と、濃厚な精液。 呼吸すればするほど鼻腔に雄臭さが逆流し、空気を混ぜて甘かった精液を徐々に苦くしていき舌の上で踊らせる。 刺身の生臭さと精液の生臭さが混ざり合い、双方の苦みを強調しながら背徳的な歯応えを覚える。 喉に流し込めば、喉の襞に絡み付く精液が熱く焦がし、絶倫な雄肉の後味を感じさせる。 老紳士は逸貴の『逸品』を堪能しながら、逸貴の肉体の中に隠れた名器を貪る。 突き出された肛門に肉棒を挿入し、長い年月の中で陰茎増大手術を受け、幾つもの真珠を入れて淫乱玩具となった老紳士自慢の逸品で、豪快に喰らい尽くす。 「ほ……れぇっ!ほぅれっ!ほぅれっ!おうらっ!ワシのグロチンポはどうだ!?爺や父親の汚ぇ汁が染み込んだチンポだ!三代続いてワシのチンポに食われるのはさぞ気持ち良いだろう」 興奮した老紳士の激しい腰つきは、容赦なく逸貴の奥底を削る。前立腺を擦り、結腸を無理やり広げて脳天まで衝撃を貫かせる。 吸い付く肛門から肉棒を引き抜き、再度な元まで突き刺す。大きな動きを繰り返して抑揚のある攻めで理性を削り取り、調理台に顔を押し付ける。 「ああっ!はあんっ!あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!そこっ!そごおっ!そごもっとほしいでずっ!!じいさんみたいにフィストしでぇ!!おやじみたいに腹ボコさせでぇっ!!!もっと……もっどおれをいちばんエロぐ犯じでぐだざいぃっ!!」 「はっはっは!親子三代で良い肉便器だ!だがまだお前は青い。自分の漏らした種汁でも啜っておけ」 調理団に顔を押し付けられて、逸貴は言われた通りに溢れ出た精液に顔を沈め、大きな音と共に舐め上げて啜り飲む。 頭に被った和帽子がずれて脱げそうになるが、老紳士に両目を塞ぐまで深く被されて視界を奪われ、更に一方的に肛門を犯される。 真珠が内壁の襞に引っ掛かって刺激を強め、肛門の隙間から溢れ出す腸液が容易に泡立ち、床に脱げ捨てられた白い板前法被の下履きを黄色がかった白で濡らす。 風雅な雰囲気の漂う小料理店は、余りにも簡単に板前と客だけが盛り合う発展場と化した。 そのあまりにも淫らな光景は、逸貴自身が幼い頃から覗き見ていた祖父や父親の痴態と瓜二つであった。 両目を隠された現状でも脳裏にしっかりと蘇る。喘ぎ乱れる祖父や親父が白濁塗れに穢され犯される痴態や、こちらの存在を意識して凝視する攻め役の姿を。 そして、そのいずれでも同じ男が祖父たちを淫らな変態野郎へと変えていた。 今まさに逸貴の肛門を解し、掴み出した肉棒で一気に前立腺を結腸を犯し尽くそうとしている老紳士によって。 老紳士は『逸品』が盛りつけられた皿を口に寄せ、精液を大きな音と共に啜り飲みながら刺身ごと一気に喉に流し込む。 皿にこびり付いた精液も長く伸ばした舌で丹念に舐め取りながら逸貴の雄の味を堪能し、空になると流し台に軽く投げる。 「あぁーこの粘り、この苦み、この臭み……やっぱりワシの中の雄を昂ぶらせてくれる。……逸貴、三度目の正直だ。今度こそお前をワシの物にしてやるぞ……その雄狂いに目覚めた肉体をなぁ……」 「はぁー……はぁー……はぁー……はぁー……じいさま、じいさま……しゅき、すき……爺さんよりも、おやじよりも……もっと、もっとおれのこと……」 「……逸貴…………」 「じいさんの……おやじの……かわりでもぃい……。だから、じいさまに……ずっと……おれ、たべられたい……です……っ!」 「……そんな戯言なんぞ、ワシのチンポで忘れさせてやるから、覚悟してくんだぞ、三代目」 そう厳しく、だが寂しげに呟きながら、老紳士は再び腰を激しく動かす。 店内に反響する逸貴の淫らな雄叫びを聞きながら、既に引退した先先代や先代の顔を思い出す。 妻帯者を無理矢理ゲイに落として得た達成感と背徳感。 だが、いつかは妻に戻って行く相手の寂しさ。 料理は美味いく、腹は満たせるが、心までは満たせない。パトロンとしてどんなに金を落としても。 心を奪われた者の弱みでパトロンを止めることもできず、ただ同じ顔、同じ匂い、同じ精力の雄を抱き続けた。 そして、ついに自分から近寄ってきてくれた三代目。 でも、長きに亘った片思いはそう簡単に本心を語らせてはくれない。 求めるままに、求められるままに、料理を出し、料理を食べ、肉体を晒し、肉体を貪る。 今度こそ、告白しよう。 その三代にわたって向けられた純朴な思いは、いつになったら伝えられるのだろうか。 それは老紳士自身にも分からない。 そして、告白を待ち続けている逸貴自身にもわからなかった。 ただ、その告白が本当の逸品になるには、そう時間はかからないのだろう。 了