挿絵 ⓜⓐⓒⓐⓡⓞⓝⓨ様
束の間の平和が訪れていた地球…
しかし、その静寂は長くは続かない。
防衛隊で活躍するアルティマミレーヌの地球での姿・卯月メイ隊員は火山活動の活発になった中部地方の調査に乗り出していた。
表面的には活火山の胎動にしか見えなかったが、一定まで高まったエネルギーがどこかへ消えていく…
そんな不思議な現象が起きていることにメイは怪しい雰囲気を感じていた。
しかしそんな折、別の地方で怪獣が発生したという情報が入り、メイはそちらへ赴くこととなる。
後ろ髪を引かれる思いだったが、ちょうど地球を訪れていた母・ソフィに火山帯の調査を依頼し、メイは出現した別怪獣の対策に出向くのであった…
「ふぅ…ずいぶん暑いのね…」
アルティマソフィの地球での姿・北条ソフィは火山活動が活発になっているという大寅山を訪れていた。
いきなり季節外れの暑さを記録したかと思えばすぐに平年通りに戻ったりと、異常な乱高下を繰り返す気温に地元住民たちは辟易としており、併せて発生している作物を荒らす謎の存在にみな意気消沈としていた。
「これだけの異常な状況…ミレーヌが心配するのもうなずけるわ。まずはこの温度変化が火山によるものなのか、その調査からかしら…」
手始めに新聞記者を装い、ふもとの町で聞き込みを行ったソフィ。
住民たちを困らせているのは大きく分けて二つの現象だった。
一つ目はこの異常気象…
日中に40℃近くまで気温が上がったと思えば、夜を待たずに10℃近いこの季節の平均気温まで下がってしまう。
当然そんな状況では主要産業の農業にも支障をきたす結果になってしまい、住民たちは頭を抱えていた。
そしてそんな状況に追い打ちをかけるかのように最近発生しているのが、苦難の中で育てたその作物を荒らす謎の存在であった。
私たちが何をしたというのか…
そう嘆く住民たちの目から流れる涙に、ソフィは原因の究明を堅く心に誓うのだった…
問題となっている活火山・大寅山の中腹まで登ってきたソフィ。
森林限界が近いはずの高さであったが、南国のような謎の植物が跋扈しており、山の生態系が崩されているのは疑いようがなかった。
「ここだけ古代に戻ったような感じ…一体何が起きているというの…」
登ってくればくるほど暑さも増しており、ソフィの人間体としての限界が近づきつつあった。
「もうこの辺は人もいないし、頃合いかしら。…んっ!」
ソフィは集中し念を込め、その身体が淡く輝く。
次の瞬間、ソフィがいた位置には、彼女本来の姿・アルティマソフィが人間サイズで降臨していた。
「どんな敵が潜んでいるかもしれないし…とりあえずはこの大きさでいきましょう。」
慎重に歩みを進めるソフィ。
すると、目の前の岩陰から何かを咀嚼する音が響く。
がりっ…がしゅ…
「何の音…?」
ゆっくり大岩を迂回するソフィ。
すると、音を立てていた主がヌッと顔を上げる。
「ううっ…これは…」
人間の子供くらいはあるだろうか。
明らかに通常の芋虫よりも巨大化し、まるまると太った怪獣・ケムジロンが、涎を垂らしながらソフィへと顔を向ける。
怪獣の足元には野生動物の骨と思わしき残骸と、むせかえるような血の匂いが充満していた。
カカカカカ…
鋏状の口を鳴らしながらソフィへと迫る芋虫怪獣。
異様な状況に気圧されてしまったソフィは、自らの背後に蠢くもう一つの存在に気づいていなかった…
パシュパシュッ!
背後の茂みがざわついたかと思うと、何本もの蔦が伸び、ソフィを拘束していく。
「ああっ!…くぅ…離しなさい!」
振り解こうとするたびに新たな触手がまとわりつき、ソフィは身動きが取れなくなってしまう。
「これは古代の吸血植物・スフィラム…やはり異常気象で生態系が変化してしまっているんだわ…こうなったら巨大化して…っ!?…あああああっ!」
自らの身体を巨大化させることで触手を引きちぎろうとしたソフィであったが、触手の一部が動きを活発化させて集中を鈍らせる。
「へぁっ…やめっ…ぅぁ…はぁ…んっ…くぅ…」
耳や胸を艶かしい触手が這い回り、ソフィはそのたびに嬌声を上げることになってしまう。
どくっどくっ…
さらに巻きついた触手はソフィの身体からエネルギーを吸収し始める。
ピコンピコンピコン…
ソフィのエナジータイマーが点滅を始め、彼女の危機を知らせていた。
そして吸収されたエネルギーは、大地を伝って火山の中へと吸い込まれていく。
「い…いけな…いっ…なに…か…強大な…力を…かんっ…じ…る…」
凄まじいエナジードレインの前に意識が飛びそうになるソフィ。
ピピピピピ…
エナジータイマーの点滅はそのスピードを上げ、ソフィの最後が近いことを告げていた。
ゴゴゴゴゴ…
大寅山を激しい地鳴りが襲い、ソフィの目の前で大きな岩山にヒビが入る。
ピキ…バキッ…
「これは…なにかの…たま…ご…」
薄れゆく視界の中で岩山と思われていた卵が割れ、真紅の羽に彩られた火山怪鳥がその命を芽吹いていく。
「ウェアアアアアアアアッ!」
空気を劈くような鳴き声が山に響き、その雷鳴のような嗎は王の君臨を全ての生命に誇示するかのようであった。
「い…けな…い…ミレー…ヌ…戦っては…ダメ…」
なんとかアルティマサインを送ろうとするソフィであったが、それすらも許さないとばかりに、エネルギーを吸い上げていくスフィラムたち。
そのエネルギーは全て、新たに誕生した火炎怪鳥・バードラへと捧げられていく。
ピ…ピ……
ソフィのタイマーと瞳から光が消え、その場で力なく痙攣する。
エネルギーを吸い尽くされたソフィの亡骸は、触手によって火山の火口…バードラの巣へと運ばれていく。
果たしてミレーヌはバードラを倒し、愛する母・ソフィを救うことができるのか…
大寅山から噴き出す噴煙がその未来を暗示するかのように、空を黒く染めてゆくのだった…
続く…
ガチピン@ご支援感謝
2023-09-04 12:58:50 +0000 UTCsyonnai_hito
2023-09-04 12:34:08 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2023-09-03 13:08:31 +0000 UTCyukimi
2023-09-03 12:56:21 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2023-09-03 11:11:55 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2023-09-03 11:11:19 +0000 UTCナッツ
2023-09-03 09:59:30 +0000 UTCイースト
2023-09-03 09:53:23 +0000 UTC