挿絵 ごりらっくま様
とある日…
アルティマミレーヌの地球での姿・防衛隊の卯月メイ隊員は慰問として孤児院を訪れていた。
広報活動にも携わることの多いメイは子供たちにも大人気で、口々に質問が飛ぶ。
にこにこと接していたメイは、少し離れたところでこちらを見つめる瞳に気がついた。
壁際では一人の少年が、ミレーヌを睨め付けるような視線をおくっていた。
「どうしたの?あなたも一緒にお話を…」
メイが呼びかけたところ、少年は何も言わず去ってしまう。
「メイ隊員!あいつ口がきけないんだ。気にしないでいいよ!それよりもミレーヌがカッコよく怪獣を倒したの、そばで見てたんでしょ?その話を聞かせてよ!」
他の子供達から声が飛び、メイは後ろ髪を引かれる思いを感じながらも会話に戻るのだった…
慰問が終わった後、メイの前に白鐘リオナ長官補佐が現れる。
リオナの正体は、ミレーヌの義姉でもあるアルティマリオナその人であった。
「卯月隊員、広報活動お疲れ様です。」
声をかけられたメイはうれしくなり、つい地が出そうになるのを必死にこらえる。
「おね…こほん!白鐘長官補佐も、お疲れ様でした!」
嬉しそうに駆け寄ってくるメイに笑顔になりかけるも、仕事中である事を思い出して表情を引き締めるリオナ。
「何か変わったことはなかったかしら?」
リオナの問いに、先ほどの少年のことを思い出すメイ。
そのことを聞いたリオナは難しい顔で思案する。
「口がきけなくなってしまったっということは、何か精神的なショックを受けるようなことがあったのでしょうね。あなたを睨みつけていたということは、怪獣がらみでなにか嫌な記憶があるのかも…この孤児院の責任者の方に、ケアをお願いしておくわ。」
慰問が必ずしも喜ばれるものではないということはメイも理解していたが、それでもなにかフラッシュバックさせてしまうようなことが無かったかと考え込んでしまう。
難しい顔をした義妹の肩に、リオナは軽く手を置いて励ました。
「私たちの力をもってしても、すべての人を助けることができるわけではないわ…だからこそ自分たちの出来ることをしましょう!」
敬愛する義姉からの励ましに、メイの顔にも笑顔が戻った。
「はい!あっ…」
しかし、その視線の先に先程の少年が現れたことで、メイの顔にまた緊張の色が走る。
「きみ…さっきはごめんね…」
もう一度会いに来てくれたということは、何か話したいことでも…
そう思い、話を切り出したメイであったが、少年の反応はその予想を大きく裏切るものであった。
「卯月メイ…いや、アルティマミレーヌとお呼びするべきかな…我が名はゼラー星人…君へ挑戦する為にここへ来たのだ!」
とっさの反応に身構えるメイであったが、リオナはきょとんとした顔で二人の様子を見ていた。
「ふふふ…私は今、君の義姉に気取られることなく念話を行っている…これだけでもこちらの技術力の高さは分かってもらえるかな?」
メイやリオナの超感覚をもってすれば、自分に向けられたものでない念話やテレパシーでも感じ取るくらいは朝飯前である。
リオナがそれに気づかないということは、この宇宙人の能力の高さの証左であった。
「いったい何が目的なの?」
念話で返したメイに、少年の目が怪しく光った。
「なぁに…君に警告をしようと思ってね…あす、この街に怪獣が出現する。この星の防衛隊程度では歯が立たん奴だ。君は変身して戦うことになるだろうが、いいかい…ティアラッガーだけは使わない事だ。恐らく怪獣は倒せるかもしれない…しかしその瞬間が君の最後の時となるであろう!」
少年は怪しい笑顔を浮かべ、通路の闇へ消えようとする。
「待ちなさい!」
少年を追って走りだそうとするメイの腕を、リオナがつかんで引き留めた。
「卯月隊員、どうしたの?!いきなり血相を変えて走り出すなんて…」
驚いた顔で義妹を止めるリオナに、メイは通路を指さした。
「あの少年…宇宙人だったんです!明日怪獣をけしかけるって…」
まくしたてるメイをけげんな表情で見つめるリオナ。
「何を言っているの…さっきの子はあなたの剣幕に驚いて逃げて行ったんじゃないの?」
まさか本当にリオナに会話を感知させずに接触してきていたとは…
相手の実力の高さにメイは戦慄する。
「お義姉さま…明日、もし怪獣が現れて私が危機に陥ることがあったら、あの少年を探してください…彼は非常に高度な力を有しています!」
人の目があるかもしれないところで自分のことを『お義姉さま』と呼んでしまっていることにメイが気付いていない…
そこまで義妹を焦らせた相手に、リオナも背筋が凍る感覚を覚えていた…
そして宇宙人の予告通り、翌日街には怪獣が出現する。
首から背中を硬い甲羅のような皮膚で強化された怪獣・プルーラの前に、防衛隊の攻撃は大きなダメージを与えられずにいた。
地上で住民避難と怪獣のけん制にあたっていたメイはミレーヌへ変身することを決意するが、その脳裏には昨日の少年の言葉がこびりついていた。
「ティアラッガーを使った時が私の最後…ううん、そんなことを気にしていては被害が広がってしまうわ…今はまず、怪獣を止めなくっちゃ!ミレーヌッ!」
輝く光に包まれたメイは、本来の姿・アルティマミレーヌへと姿を変える。
地球を守る守護女神の登場に、避難する人々からは歓声が上がった。
「てぁっ!」
まずは接近し、プルーラに打撃を加えていくミレーヌ。
プルーラは防御に特化しているのか、ミレーヌの打撃で倒されようが起き上がり弘法師のように難なく立ち上がってきた。
「ガアアアッ!」
そして口からは光線を吐き、ミレーヌを追い込んでいく。
「くっ…強い…ならこれでどう!ミレニウム光線!」
腕を十字に組んで放つミレーヌの必殺光線がプルーラの頭部に襲い掛かり、大きな爆発が起こる。
「やった!」
ミレーヌが笑顔を見せた瞬間、爆炎に包まれていたプルーラの頭部が、そのままミレーヌへと突進してきた。
「きゃああああっ!?」
油断してところにもろに頭突き攻撃を食らった形になったミレーヌは、大地を転がり悶絶する。
「う…ぐ…なんて防御力なの…」
しかし、ミレニウム光線も多少の効果があったのか、プルーラ自身も頭を抱えて動きを止めていた。
「今なら隙を付ける…でも…いいえ、迷っている暇はないわ!ティアラッガー!」
昨日の宇宙人の挑発が一瞬頭をよぎるも、ミレーヌはすかさず頭のアルティマティアラを光刃に変えてプルーラへと投げつけた。
スパァン!
次の瞬間、プルーラの身体と頭は二つに分かれて大地へと倒れ込む。
アルティマミレーヌの危なげない勝利に、避難していた人々からは歓声が上がった。
「倒せた…あの忠告は何だったのかしら…ああっ?!」
いつも通りミレーヌの頭部にティアラが戻って状況終了…そう思われたその時、信じられない光景がそこでは展開されていた。
「くっ…きゃあああっ!」
なんとティアラッガーが持ち主のもとへ帰るのを拒むかのように飛び回り、ミレーヌに襲い掛かっていたのである…
「ばかめ!忠告したにもかかわらずティアラッガーを使いおったわ!こうなればこちらのものよ…」
わざわざプルーラに隙を作らせたりと小細工を弄した甲斐もあり、ミレーヌはまんまとアルティマティアラを使用した。
それを受けて、ゼラー星人は本来の作戦に移行していた。
手元のラジコン操作機のような機械で念波を増幅した結果、アルティマティアラはゼラー星人の支配下へと落ちてしまう。
いままでミレーヌを救ってきた万能兵器は、最強の敵としてその牙をむくのであった…
形状を変えて襲い掛かるティアラの前に、ミレーヌは消耗し弱っていく。
「はぁっ…はぁっ…このままじゃ…」
変身を解くことも考えたが、その場合敵の手にアルティマティアラが残ってしまう可能性が高い。
ミレーヌにとってティアラは母から受け継いだ誇りであり、それを悪の手に渡すことは耐え難いことであった。
しかしそんなミレーヌの思いをあざ笑うように、ティアラは新しい姿へとその形状を変える。
光るロープ状に形を変え、ミレーヌを拘束するティアラ。
「うああああっ…」
巧みに姿を変えて締め付けられたミレーヌに変化が見えたのはその時であった。
ピコンピコンピコン…
エナジータイマーが点滅をはじめ、ミレーヌの危機を知らせる。
そしてロープ状になったティアラは、ミレーヌの身体の弱点などお見通しとばかりにダメージを与えていく。
「あ…んっ…」
胸には桜色の乳首が露出し、上記するミレーヌの口からは甘い声が響きだすのだった…
「これがあの子の言っていた事なの…」
リオナはミレーヌが追い詰められた惨状を前に、孤児院へと走り出していた。
「待っていてミレーヌ…あなたの言う通りだとしたら…あの少年をなんとかしなければ…」
その背後ではミレーヌがロープ状に変わったティアラに拘束され、首無し状態で動き出したプルーラに襲われている…
はたしてリオナはゼラー星人を見つけることができるのか…
そしてミレーヌの運命やいかに…
中編へ続く…
syonnai_hito
2024-06-17 00:46:52 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2024-06-16 16:11:25 +0000 UTC山さん
2024-06-16 12:40:25 +0000 UTCイースト
2024-06-16 08:05:25 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2024-06-16 06:22:28 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2024-06-16 06:21:58 +0000 UTCイースト
2024-06-15 14:06:55 +0000 UTCyukimi
2024-06-15 13:06:08 +0000 UTC