挿絵 らすP様
タケシの前に降臨した新たなる姿のルクリア。
その身体からは、凄まじい浄化と破壊の力が漲っているのが一目にわかるほどであった。
「いやはやすごいな…そこまでの絶対的な力を手にしてアンナ先輩はどうするんですか?その力を盾に迫れば、僕から望む答えが引き出せるかもしれませんよ…」
圧倒的な力によってイニシアチブを取り返される…
先程までと完全に立場が逆転したことで、タケシは苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
「別に力で言うことを聞かせたいわけじゃないわ…でもこうなって初めて対等に話せることもきっとあると思うの。私はタケシくんとちゃんと『対話』することで、お互いの気持ちに向き合いたい。そのためにあなたに比肩する力が必要なら、私も成長することを諦めない…私のしつこさ、身をもって味わってもらうわよ!」
笑顔でタケシを見据えて構えるルクリア。
タケシはその半ば狂気を孕んでいるようにも見える相手に、改めて畏怖の念を抱きつつあった。
「しっかりせんか!お前の世を怨む昏い意思はそんなものではなかったであろう!」
突如室内にゴーデスの喝が響き、ルクリアとタケシはハッと我に帰る。
「全く…わしの知らんところで勝手に諦められてはたまらんわい。お主に投資した分をまだまだこれから返してもらわんとならんというのに…」
やれやれといった様子で、室内に突如現れたゴーデス。
しかしそのサイズはタケシの肩に乗るほどまでに縮んでいた。
「こっちはとりあえず準備完了じゃ…ルクリア、お主こんなところでのんびりしている場合ではないんじゃないかの?」
外界と隔絶されたセーフハウス内にいるルクリアには、確かに外の様子を窺い知ることはできなかった。
「ゴーデス…あなたいったい何を…」
それを確かめに外に出れば、おそらくこの場でタケシとの決着を図ることはできないだろう。
しかし、外のことがわからない以上、ゴーデスの忠告を放置して被害を拡大させるわけにはいかない…
ルクリアは即座に判断を下してタケシたちに向き直った。
「タケシくん、一旦この場は引かせてもらうわ!この続きはまた会うときまで預けるわよ!」
そう言ってルクリアが念を集中した瞬間、その姿は室内から消えていた。
「このセーフハウスにはかなり高度な結界を設けてたんじゃが…あっさりと帰っていきおったわい。とりあえず仕切り直しじゃなぁ…」
ため息をつくゴーデスに、タケシはふと疑問に思ったことを質問する。
「そういえば…最大の懸念だったグレイスは大丈夫なのか?」
タケシの問いに、ゴーデスはため息混じりに破顔して見せるのだった…
一方そのころ…
「ぐぅっ…このっ!」
多数の触手に絡まれて動きを抑えられてしまうアルティマレディ・グレイス。
触手の正体は、月の裏側の特異点付近の宙域に突如現れたゴーデス細胞で作られたゴーデスモンスター。
ゴーデスたちに逃げられた後、地球で守護についているアルティマレディと接触していたグレイスは、その反応を検知して宇宙へと飛び出していた。
彼女が検知したゴーデスによく似たモンスターは特異点に向かってまっすぐ突っ込んでいく。
「…いけない!あのままでは別の次元にゴーデス細胞が!」
ゴーデス細胞はその一片でもあれば、別の生物を侵食して増殖してしまう。
今取り逃がせば特異点を抜けた先の新たな銀河で、ゴーデス細胞による被害者が生まれることは必須である。
なんとか阻止しようとゴーデスモンスターに取り付いたものの、多数の触手に拘束されたグレイスは身動きが取れなくなってしまっていた。
ジリジリと特異点に向かって移動するモンスター。
特異点の入り口には強力な重力が渦巻いており、グレイスたちを飲み込もうとしていた。
「このままじゃ…」
最悪、このモンスターと共に特異点に飲まれたとしても、自分が対応すればいい…
しかし、この次元のゴーデスが野放しになってしまう…
「いったいどうしたら…」
触手の締め付けにより、グレイスは思考が乱されていた。
しかし次の瞬間、テレポートで一つの光がグレイスの前に降り立った。
「グレイス!今助けます!」
初めて見るアルティマレディ…かと思いきや、グレイスにはその声に聞き覚えがあった。
「あなた…ルクリアなの?」
地球に降り立った際、敗北寸前に追い込まれた上に、グレイスが刺そうとしたトドメから敵を庇ったアルティマレディと同じ声…
しかし、同一人物とは思えない力強い姿を前に、グレイスは困惑していた。
「そのまま動かないで!コズミューム光線!」
ルクリアから発射された光線が、グレイスにまとわりついた触手を引き剥がして浄化していく。
ゴーデスモンスターのみが消失し、グレイスは無傷…
奇跡のような光線にグレイスも一瞬見とれてしまう。
しかし、消失しかけたモンスターはその隙をついて最後の意地で触手をしならせ、グレイスを特異点の方向へと投げ飛ばした。
「ぐっ…抜け出せない…」
特異点の発する重力圏に捕まったグレイスは、一気にその中へと吸い込まれようとしていた。
ゴーデスを残して別の次元にいくわけには…
焦るグレイスの目に、自分を助けようと手を伸ばすルクリアの姿が映る。
先程の力…それを彼女が使いこなせるなら、ゴーデスにも対抗できるだろう…
決意を固めたグレイスは、意識を集中しルクリアに向けてアルティマサインを送った。
『この世界はあなたに任せます!』
それを受け取ったルクリアは、グレイスに向けて笑顔で頷いてみせた。
グレイスからの短い言葉に込められた想いを理解したルクリアは、特異点の重力圏に飲まれる前に地球へと引き返していく。
その姿を見て、グレイスは満足そうに特異点へと飲み込まれていくのだった…
続く…
ガチピン@ご支援感謝
2025-03-06 16:58:22 +0000 UTCガチピン@ご支援感謝
2025-03-06 16:57:21 +0000 UTCsyonnai_hito
2025-02-26 15:22:28 +0000 UTC132as
2025-02-25 09:41:14 +0000 UTC