挿絵 C-PULSE様
郊外の山中で正体を表した黒幕・マージィ。
それは過去に封印された古代の悪魔であった。
封印を期せずして解いてしまったエンヴィの願いを叶えるという形で、ミレーヌたちを召喚したマージィ。
負のエネルギー『マイナート』を集めるため、人々に恐怖を抱かせるために怪獣を出現させてミレーヌたちを消耗させていく。
そしてついにエンヴィを巨大化させて街を蹂躙しようとするが、リオナとソフィが身を挺して足止めする。
一方、市街地に残っていたミレーヌと灯も、なんとか大量発生したエンヴィ軍団を退けることに成功する。
しかしなれない世界で力の回復ができないことで、ミレーヌは消耗してしまう。
そしてリオナたちの足止めも虚しく、巨大エンヴィはゆっくりと市街地に向かうのだった…
ミ「はぁ…はぁ…」
消耗したミレーヌを休ませるため、灯は寮に一度戻っていた。
ベッドに横になり、荒い息をで胸を上下させるミレーヌ。
外にはサイレンの音がけたたましく鳴り響く。
巨大エンヴィの接近により避難警報が発令されたことで、春野市街からは一般人の避難が進んでいた。
いきなり現れた巨大生物という災害に困惑する市民ではあったが、最近の怪獣騒動がいい緩衝材になったのか、粛々と避難し始めていた。
灯「ミレーヌさん辛そう…何かできることはありませんか?」
外傷は見られないものの、苦しそうなミレーヌを前にあたふたする灯。
すると、外から光の玉が窓をすり抜けて入ってくる。
灯「…!敵!?」
身構える灯。
すると、灯を安心させるかのように後ろからミレーヌが声をかける。
ミ「大丈夫…それはお義姉さまのアルティマサイン…私たちの間の交信手段の一つなの。」
身体を起こしたミレーヌの前に光の玉が近づき、その身体の中へと吸い込まれていく…
ミ「これは…お義姉さまのエネルギー…ほんの少しだけれど…体が軽くなったわ。」
アルティマサインには、メッセージと共にリオナのエネルギーが含まれていた。
おそらく最後の力で自らのエネルギーを託してくれたのだろう。
今の状況では自身の体力の回復が見込めないことを考えると、ミレーヌにとってとてもありがたいものであった。
しかし、それはリオナの敗北を暗に意味していることを察し、ミレーヌの表情が曇る。
ミ「ダメダメ…こんなことではお義姉様に怒られてしまうわ…」
気を取り直して前を向くミレーヌ。
体力が少し回復したことによりクリアになったミレーヌの頭に、リオナのサインに込められたメッセージが浸透する。
それと同時に、窓からシャインが部屋に入ってきた。
愛「二人とも無事だったのですね…よかった…」
変身を解き、山中での顛末を説明する愛菜。
愛「申し訳ありません…お二人がむざむざやられてしまうのを見ていることしかできず…」
ミレーヌに深々と頭を下げる愛菜。
しかしミレーヌは、フルフルと首を横に振った。
ミ「いいえ、二人はまだ生きています…それに私へのメッセージ…」
愛「銀河守備隊教本の78ページ…ですか?」
それを聞いたミレーヌはクスリと笑う。
ミ「ふふっ…お義姉さまのアルティマサインにも同じ内容が込められていました…これで私が覚えていないと言ったら怒られちゃいますね。」
灯「それで一体どんな内容なのですか?私たちにも協力できることがあれば…」
灯の言葉に、ミレーヌは力強く頷いて見せる。
ミ「ごめんなさい…これにはお二人のうちどちらかに協力いただかなければならないの。それもかなりリスクが伴う…おねがいしてもいいかしら?」
そのセリフに灯と愛菜は同時に頷き、肯定の意志を見せた。
灯「もちろんです!私たちの世界のことに巻き込んでしまっているのに…こちらからもお願いします!」
愛「でも、危険をはらむのであれば実行するのは私です…私は大人として灯さんを護らなければ…」
愛菜がそう言いかけたところで、灯がすっと手を上げた。
灯「いえ…そういうことでしたら、私がやります…さっきのお話だとあのおっきいエンヴィ…あれは悪魔なんですよね。それなら、先生の『ご実家』なら街を護る対応策があるはずです。ミレーヌさんのお手伝いは私がやります!」
強い意志を秘めた灯の瞳と言葉に、ミレーヌは嬉しそうにほほ笑む。
ミ「愛菜さん…私の全力をもって灯さんのことは守ってみせます…どうか、任せてもらえませんか?」
二人のまっすぐな視線に、愛菜も覚悟を決めて頷いた。
愛「わかりました…くれぐれもお気をつけて…灯さんのこと、お願いいたします。」
こうして最後の打ち合わせをするミレーヌたち…
街に迫る巨大エンヴィとの決戦に向けて、三人はそれぞれに行動を開始するのだった…
ヌプププ…
市街地でミレーヌたちに浄化されたエンヴィ軍団のかけらが集まり始め、一つに合体していく。
まだマージィと巨大エンヴィは離れたところでリオナたちに足止めされているため、露払いとして街を襲うために姿を現したのである。
マージィと切り離されているためしっかりした形をとれないのか、軟体生物のような姿で進行し始める怪獣『エンヴィスラッグ』。
街に差し掛かろうかというその時、光とともにアルティマミレーヌが現れる。
ミ「セアッ!…うぅっ…」
ピコンピコンピコン…
登場したばかりのミレーヌのエナジータイマーはすでに点滅を始めていた。
すでに息も荒く地面にへたり込んでしまうミレーヌ。
ミ「もうエネルギーが…でも、お義姉さまから分けてもらった力でなんとか食い止めて見せる…ハンドショット!」
牽制のため矢のような光線を放っていくミレーヌ。
しかしなめくじのように姿を変えるエンヴィスラッグは、すいすいとそれを避けてミレーヌの背後を取ってしまう。
ミ「くぅ…素早くて狙いがつけられない…」
極度の消耗により朦朧としているミレーヌの隙をついて覆いかぶさったエンヴィスラング。
そのまま押し倒してミレーヌの動きを封じようとする。
ミ「ぐ…ぁ…おも…いっ…でも、密着した今なら!お義姉さま…力を貸して!アルティマヒーリング!」
リオナのアルティマサインに込められていたエネルギー…
意図的に体内にため込んでいたその力を集中し、浄化技として開放するミレーヌ。
もともと得意ではない技であったが、リオナの力を介することで威力を上げて撃ち出すことができていた。
ヌププププ…
エンヴィスラッグは塩をかけられたナメクジのように静かに消えていく。
その残滓がまだ郊外にいるマージィのもとへ帰っていくのを確認し、ミレーヌは胸をなでおろした。
ピピピピピピピ…
高速で点滅するエナジータイマー…
そしてついにその輝きが費える時が来てしまう。
ミ「あとは…おねがい…灯ちゃん…」
そういって光の粒子となって消えていくミレーヌ…
戦いの終わった街には、静寂だけが広がっていくのだった…
⑩に続く…
syonnai_hito
2025-08-11 06:33:51 +0000 UTCyukimi
2025-08-09 15:19:31 +0000 UTC