〇同人、夏の祭典が間近に控えた連休の中、私は思い立ってホニャホニャROIDをネットで注文した。英語はよくわからないが商品ページの画像からは音声ソフトであることがわかった。イベントに参加するつもりはないが、その空気にあてられて少し舞い上がっていたんだろう。
〇数か月が経ち購入したことを忘れかけていたある日、一人空しくカップラーメンを食べていると玄関の呼び鈴が鳴った。一人暮らしのアパートに鳴るその音はだいたい宗教や商品の勧誘で、悪ければ強盗や警察でなにか恐ろしい事件が発生しているかもしれないと、嫌な予感と焦りが急激に湧き上がってくる。とはいえ、居留守をするのも悪いので渋々立ち上がり、玄関に顔を出すことにした。
〇「…… ……」
〇木の葉も落ちきり冷たい風が吹く中、扉の前に立っていたのはどこかで見たことのある…… あの商品ページに描かれていたキャラクターそのものだった。
〇サンプルボイスで聴いたあの声でユヅキユカリと名乗った以外、全く口を開かず棒立ちでいるので思わず家に入れてしまった。
〇「ど、どうぞ……」と声をかけると、彼女は冷ややかなふうにも見える瞳のまま「はい」とだけ応え居間へと歩いて行った。
〇私がカップラーメンのところに座ろうとしたところ、ユヅキさんは居間に入ったまま、また棒立ちでそびえていた。私は腰掛けようとしていた身体を戻し、冷蔵庫の天然水をコップに注ぎ彼女に「どうぞ」と言って手渡した。
〇彼女は「ありがとうございます」とつぶやき両手で持ったコップに口をつけた。よほど喉が渇いていたのかそのまま一杯をのみほしてしまった。
〇私は呆気にとられたが、とりあえず空になったコップにもう一杯水を注ぎパソコンの前に行く。ちらりと彼女に目をやると直立のまま顎を上げてその水を飲んでいた。一杯目より時間はかかっているようだがやはり息継ぎもないまま全て飲み切ってしまった。
〇空になったコップを胸元まで下ろすと、こちらをじっと見つめてきた。少し苦しそうに口をつぐみながらも、目つきは一切変化しない。ここで私は彼女が“普通”ではないことに気が付いた。330mlのコップ2杯、少なくとも500mlはあったはず。なぜ荷物一つ持たず彼女がここに来たのかもわからない。そしてただ黙って立ってこちらを見ている。何と聞けばいいのか。手がかりを求めてあのナントカROIDの商品ページを探した。
〇見つからない。商品ページはおろか、購入確認時のメールすらも見つからない。どうしよう……
〇私は口ごもりながら「きみは……」と尋ねる。
〇「ユヅキユカリと申します」
〇玄関先で聞いたままの言葉が返ってきた。
〇……彼女は人なのか、まさか、そのナントカという“アンドロイド”……なのか…… ……
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ボイロを入手したらゆかりさんが家に来たけどマニュアルがなくて難しかったシリーズ
みたいな感じでやってみたいです。
枚数が貯まってきたらpixivにもアップするかもしれぬ