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ごむらば
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お持ち帰り【来店編】

週末の仕事帰り、小さな飲食店が立ち並ぶ通りを歩いていると、今の時代を反映するようにお持ち帰り、テイクアウトの文字が目立つ。 外食するよりも家に持って帰って食べる流れになっている事をつくづく実感する。 そのお持ち帰りできますの中に妙な看板があったのに目が止まったが、一度は通り過ぎてしまった。 嘘だろうと思い看板を確認したが、俺の見た看板に間違いはなかった。 【ラバードール お持ち帰りできます】 そう書かれた店舗だけは、飲食店の立ち並ぶ隙間の通路をかなり奥に行ったところにある。 店の外観と漂う雰囲気から人が入ったラバードールだとは思うのだが、実際はただのフィギュアの可能性も否めない。 物は試しと、そのお店に入る事にした。 ブラックライトと紫の照明でかなり怪しい雰囲気の店内。 自動扉を入るとすぐに18禁の暖簾が現れた。 サッと暖簾をくぐり先へと進むと、奥にはホテルのようなカウンターがあった。 受付の人は立っておらず、呼び鈴で呼ぶシステムの様だ。 カウンターにはお持ち帰りラバードールの料金システム、コースが書かれたものが貼り付けられていた。 身長、体型、スタイル、色が選択できるようになっており、どのタイプも一律料金のようだ。 お持ち帰り1泊2日で6000円と思っていたよりも高くない。 オプションがあり、それを追加する事で料金は上がっていくシステムになっていた。 まあ、当然だがラバードールを傷つけた場合は、別途費用を請求させて頂くという旨も記載されていた。 呼び鈴で受付を呼ぶと奥から女性?が出てきた。 タブレットで、身長小さい、体型普通、スタイル普通を選択し、挿入可、ラバードールという事でラバースーツ1枚は標準で付いてくる。 オプションでラバースーツをレッドを1つ、バキューム式スリーピングバッグ2つとした。 他にもヒトイヌスーツやバキュームベッドなどもあったが今回はやめておいた。 支払いは全部で本体6000円、オプションが一つ2000円が3つで6000円、お持ち帰り用スーツケースが1000円で13000円を支払った。 準備には少々お時間頂きますという事で、10分ほど待つとスーツケースが運ばれて来た。 それでは明日の19時に返却下さいと言われ、スーツケースにも空港で荷物を預けた際につけられる帯状の紙を付けられた。 紙にはローマ字でHENKYAKU 2021.12.12.19:00の文字と航空会社っぽいロゴが入っていた。 俺はそれを受け取ると、また細い路地を戻り帰路に着いた。 家に帰ると早速スーツケースを開けてみる。 そこで俺は固まってしまった。 中身はシリコン製のただの人形だった。 人形のウィッグは運ぶ際の振動で外れており、頭から背中まで丸見えになっているのだがファスナーなどは見当たらない。 中に人が入っているとしたらファスナーがあるはず、ダメ押しはシリコンの肌に触れても温かみはない。 物のような冷たさだった。 これは人形にラバースーツを着せて着せ替え人形の様に遊べる大人のおもちゃに過ぎなかったのだ。 確かに店内では照明や雰囲気からラバードールの中に女の子がいて、お持ち帰りできるものだと勝手に思い込んでいた。 よくよく考えてみれば、女の子を1泊2日でレンタルし、さらにオプションまでつけて13000円は格安だ。 第一に女の子の給料を考えると、13000円は安過ぎる。 拘束時間が24時間と考えるとあり得ない。 それが人形だとすると、この値段は頷ける。 挿入の件もそうだろう。 人形に着せて愛でる人と欲望を満たす人に分かれる。 自分はそういう類いの人間ではないので、全く価値のない13000円に終わった。 ウキウキして帰ってきた気持ちを返して欲しいとさえ今は思う。 また、これを返却するのかと思うと仕事の疲れが一気に打ち寄せ、腹まで減ってきたので外食に出掛ける事にした。 ラバードールはスーツケースに入れ、そのままにして。 遠出する元気もないので、近くのラーメン屋へ行った。 まだ、13000円が悔やまれる。 無駄遣いをしたのでラーメンだけを食べて、サッと店を出た。 なんとなく人形の待つ部屋に帰るのが億劫になっている。 しかし、俺は切り替える事にした。 せっかくお金を払ったのだから存分にラバードールを楽しむ事に。 そう考えを変えると足取りが少し軽くなった。


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