お持ち帰り【偶然編】
Added 2021-12-08 15:00:00 +0000 UTC返却して家とは反対の方へ足を伸ばして食事する所を探したが、食べたいものは見つからなかった。 しかし、本屋に立ち寄った際、欲しくて探していた本が見つかり購入できた。 やはり、家の近くのお気に入りの定食屋を目指して通りを戻っていた時、先ほど俺がラバードールを返却した細い路地から1人の女性が出てきた。 黒いニーハイブーツに黒いフェイクレザーのミニスカートにダウンコートの女性。 何か体に力が入らないようにフラフラしている。 もしかすると俺と1日過ごしたシリコン人形の中身の女性ではないかと思い声をかけた。 「大丈夫ですか?」 振り向いた女性を見て驚いた。 「先輩、若槻先輩!」 彼女は俺の入社時の指導担当だった若槻亜里沙さんだった。 「あ、水木くん、ちょっとね、空腹なだけ」 それにしてもフラフラな若槻先輩。 「あ、そうだ、今から一緒にご飯行かない?」 「いいですね、丁度ご飯どこで食べようか迷って彷徨っていたんです」 それを聞いて笑顔になった若槻先輩。 それで2人でご飯を食べながら飲む事になった。 居酒屋に入りスピードメニューと生ビールを注文した。 すぐに注文したものは届き乾杯する。 「お疲れさま」 何に疲れたのだろうかと心の中でツッコミを入れる。 土曜に仕事でもないのに、若槻先輩と飲めるなんてなんでラッキーなんだ。 俺は若槻先輩に入社して指導を受けながらどんどん惹かれていった。 男勝りで上司にでも食ってかかる先輩に憧れていた。 俺はこんな格好いい女性と付き合いたいと思っていた。 しかし、若槻先輩は金曜に半休を取り早く帰ってしまう事があった。 週末のお泊まりデートがあるだと思っていた。 若槻先輩の美貌なら彼氏がいてもなんら不思議ではないからだ。 今週の金曜も、今と同じ服装で帰っていくのを見た。 “同じ服装!?“ 若槻先輩とたわいもない話をしながら、思いを巡らせる。 金曜と同じ服装で土曜の夜に、あの細い路地から出てきた。 という事は、1日半以上あの店にいた、あるいはシリコン人形としてお持ち帰りされていたという事だろうか。 「水木くん、水木くん、聞いてる?」 「でさぁ、課長がね………… 」 一度、そう考え出すと若槻先輩の声も俺には届かなくなっていた。 俺は突然聞いてみた。 「若槻先輩、ラバードールって知ってますか?」 若槻先輩は俺の言葉に動揺した様で咽せる。 口をおしぼりで押さえながら答える。 「何それ?何か今流行りのお人形?」 「いえ、女の人に聞いたら何か知ってるかなって思いまして」 一旦、こちらから話をはぐらかす。 動揺しているのか、警戒しているのか、それとも何を話していいのか分からずに困っているのか、若槻先輩は極端に口数が減った。 お酒が増えて酔いがまわり始めた先輩は、取り繕うように男性の話し始めた。 「水木くんに聞きたいんだけど…… 」 呼吸制御されて弄ばれた男の事を話し出す。 でも、なぜかそのプレイが気持ち良かった事も、 私は変態じゃないと連呼し、否定しているが本音はそういうプレイが大好きだと言っているようにしか聞こえなかった。 どんな男か聞いたが、顔は知らないという エッチは上手だったと顔を赤らめた。 俺にラバードールの事がバレないようにと、必死に喋っている様にも見えた。 若槻先輩はかなりお酒が進んで、自分では歩けなくなったので、おんぶをして俺の家へと運ぶ事にした。 俺の家に連れて帰っている途中で酔いが覚めてきたようで、若槻先輩は自分の足で歩き始めた。 俺が支えて密着しながら。 そのまま、先輩が帰ってしまうのは惜しい気持ちはあったが会社の先輩を無理矢理という訳にはいかないので、彼女がどうするかは彼女自身に委ねる事にした。 若槻先輩は俺の家に行きたいと言ってくれたので、飛び上がってガッツポーズをした。 俺の家に向かいながら、コンビニでアイスを購入してから家へ辿り着いた。 俺の家でアイスを食べながら話していると、ほとんどお酒も抜けてきた。