SamSuka
ごむらば
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綾子はやり手のキャリアウーマン。

黒いエナメルのハイヒールに黒のタイトスカートのレディーススーツを身に纏った姿が綾子の定番スタイル。 髪は後ろで一本に纏め、ビシッとしていて清潔感もある。 綾子は社内でも一二を争うやり手のキャリアウーマン。 そんな彼女もいつしか仕事に追われて疲れ切っていた。 綾子は、休憩に入ったカフェで居眠りをしてしまう。 注文したブラックコーヒーにはあるものが仕込まれていた。 それは地球外生命体のウィルス。 疲れから抵抗力が落ちていた綾子は簡単にウィルスに侵入されてしまう。 眠っている間にどんどん体を侵食されていく綾子。 ウィルスはハイヒールの素材であるエナメルを増幅し足元をブーツに変え、そのまま綾子の体を取り込んでいく。 気がつくと綾子の体はハイヒールと同じ黒の光沢あるエナメルに包まれていた。 頭の先から足の先まで全て黒のエナメルで覆われてしまった綾子。 着ていたスーツは黒のエナメルに変化していた。 気がつくと周りが好奇の目で自分を見て、ざわついている。 自分の変わり果てた姿に気づいた綾子はどうしていいか分からずに持ち物のカバンとダウンコートを手にして店を飛び出した。 綾子に接していたカバンとダウンコートも黒いエナメルに覆われていることに気も留めずに。 動けばギシギシと音を立ててしまうが、とにかくダウンコートを羽織り、フードを深く被りカフェを後にした。 変わり果てた体を隠すように家に向かう綾子だったが、急げば急ぐほど体が擦れて大きな音を立てる。 ダウンコートを着たのだが、こちらもいつのまにかエナメルの黒いダウンコートに変わってギシギシと音を立てて周りの注目を集めてしまう。 【もう訳が分からない】 綾子は頭を大きく降って地下鉄へと駆け込んだ。 ダウンコートのフードを深々と被り、人目につかないようにして急いで家へと向かう。 ホームで電車を待つ間も周りの声が気になる。 それはそうだろ、全身エナメルの黒尽くめ、自分もそんな人がいたら見てしまうだろう。 中にはスマホで綾子を撮影する人もいた。 【早く電車来て!】 綾子の思いに反して中々やって来ない電車。 ホームに滑り込んできた電車に素早く飛び乗った。 だが、電車の中でも状況は変わらない。 むしろどこへも逃げることのできない状況下で好奇の目に晒され続ける。 下を向いて一心不乱に最寄り駅に到着するまで周りの好奇の目と声に耐えた。 最寄り駅に着くと雨が降り出していた。 ギシギシと音を立てながら走り、必死に家を目指す。 途中、足と一体となったブーツで足がもつれて何度も転びそうになりながらもなんとか家に辿り着くことができた。 誰かに追われている訳でもないが急いで玄関の錠をかけると、そのままドアを背に崩れるようにその場に座り込んだ。 【なんなの?いったい?】 叫ぼうとしたが声は出なかった。 周りの目を気にして自分の外見以外の状況に気づいていなかった。 口の中にはゴムのようなモノが入っており、呼吸は楽にできるが声は出せない。 玄関の姿見に映る姿をゆっくりと立ち上がり確認する。 帰宅時、無我夢中で走り息はかなり荒くなっていた。 目の所に開いた細かな穴からの呼吸、何度もエナメルが顔に張り付く。 その度にエナメルの下の綾子の顔が浮き出る。 家に帰って改めて自分の置かれた状況を確認した。 冷静になり全身を確認すると、エナメル素材の継ぎ目が糸で縫われていることに気がついた。 カッターを用意し、一つ一つ丁寧に体に傷をつけないように縫われている箇所の糸を切っていく。 足の縫い目の糸を全て切り、ブーツと一体となった足を取り出した。 しかし、その足は綾子のものではなかった。 ピンクがかった肌色だが質感はゴム。 パニックになりそうな自分を必死に抑えて綾子は、体を傷つけないように丁寧に縫い目の糸を切った。 しかし、出てきたのは体は足と同じピンクがかった肌色のゴム。 全てのエナメルを取りは除いて出てきたのは髪は無くのっぺら坊の顔。 顔も体も人らしい凹凸はあるものの、穴が一つもない。 鼻も口も耳もお尻もそしてアソコも。 【なんなのよ!一体!】 大声で叫んだつもりだったが、声は出なかった。 そのままリビングのソファで横になる綾子。 テレビをつける。 目はないがちゃんとテレビは見ることができた。 悲しみに暮れるが涙は出ない。 声を上げて泣きたいがそれもできない。 そのうち、疲れから綾子はウトウトし始めた。 “ ギシ ギシギシ ギシギシ ギシ “ カフェから始まった悪夢を彷彿させる音。 綾子はソファから飛び起きた。 “ギシギシ“ 両手を見ると肌色のゴムではなく、黒いエナメルに覆われている。 足はブーツに戻っていた。 【何コレ!元に戻ってるじゃない】 顔を押さえ頭を振る綾子。 綾子の後ろには黒いスーツにサングラスをした長い黒髪の女が2人。 施錠したはずの部屋の中にいつの間にか入ってきていた。 2人の女は綾子に大きなビニール袋を被せ封をする。 【何するの?】 これも声にならない。 必死に振り解こうとするが、寝起きでエナメルに覆われている綾子は思うように動くことができない。 その間に女たちはどこからか取り出したドライヤーのようなものでビニール袋に熱を加える。 ビニール袋はどんどん収縮し綾子の動きを封じていく。 手足を曲げ体を小さく丸めた状態にされた綾子。 脱出しようにもビニール袋は収縮硬化して全くダメだった。 女たちは持参したスーツケースにビニール袋で密封され動けなくなった綾子を詰めるとそのまま部屋を出て行った。 部屋ではただテレビの音だけが虚しく響いていた。 スーツケースをある場所へと持ち帰った女たち。 「個体AYK-03を回収して参りました」 「ご苦労」 部屋の奥に座る大柄な男が女たちに声をかけると、女たちは一礼して部屋を出て行った。 個体AYK-03は体を維持できなくなっていたので回収した。 個体AYKとは地球外生命体で、人間の血液や遺伝子を組み込むことで人間として生きていけるか実験を行った。 人間よりも能力は高く、見た目もスタイルも良く完璧と思われたが、自分の体を制御できず負荷をかけ過ぎ、体を維持できなくなった。 ただ、体は維持できなかったが、心は人のまま維持できることが分かりたいへん有意義な結果を得られた。 fin. 【あとがき】 エナメルラバーフェチで名の知れたセクシー女優 渚 夕子がフェティシズムの監修を行った。 駆け出し女優 夕凪綾香は撮影を通して夕子色にどんどん染められていった。 そんな彼女だからこそこの話の主人公 綾子を演じることが出来た。 冒頭に出てきた全身エナメル姿はエナメルスーツを着てから、縫製し綾香を完全にエナメルスーツへと閉じ込めて撮影が行われた。 もちろん、ワンテイクとはいかないシーンもあり何度も取り直しが行われたが、完全密閉されたエナメルスーツを着ての撮影は想像を絶する。 すぐにはエナメルスーツを脱ぐ事の出来ない状況に綾香の体力面の心配もかなりされていた。 それで替え玉という案も出たが、綾香は自分から志願し綾子を演じ切った。 そんな綾子役に情熱を傾ける綾香はまた夕子色に染められ自らリアリティを追求していく。 このエナメルスーツを自ら解体するシーンでは、中に実際にラバースーツも着込んで撮影に臨んだ。 そしてそのラバースーツは当然のように脱着用のファスナーのないものを着て。 脱着用のファスナーのないラバースーツは、綾香がラバースーツを着た後、開口部を接着剤で完全に封をし出られない状態にした。 綾香か情熱を傾けて演じたこの作品は残念ながら、ヒットはしなかったが、綾香自身は満足していたと聞いている。 完


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