スーツアクトレス杏奈
Added 2022-03-20 15:00:00 +0000 UTC【スーツアクトレス】の杏奈目線のお話です。 数日後、映画の衣裳合わせのため私はドキドキしながらスタジオに入った。 というのも久しぶりに大好きな主任に会えるから。 張り切り過ぎてかなり早くスタジオに入ってしまった。 仕方なく今日衣裳合わせで着る予定の着ぐるみを着る事にした。 まず、裸になり白いゼンタイに着替える。 そして全身一体型の着ぐるみの中へ足を通していく。 体を着ぐるみに全て収めた時、ドアがノックされて女性スタッフが入ってきた。 「あれ杏子ちゃん、もう着ぐるみ着てるの?」 私は着ぐるみからゼンタイのノッペラボウの顔を出して答える。 「おはようございます、やる事もなかったので、一度着てみようと思って」 そう言うと「すぐに手伝うわ!」と言って私が着ぐるみを着るのを手伝ってくれた。 着ぐるみのファスナーを閉める前にスタッフが聞いてきた。 「どうする?もう、ファスナー隠しちゃう?」 スタッフの問いに私は少し悩んだが、どれくらい着ていられるかも、確認して欲しいと事前に言われていたので、ファスナーを閉めた後、本番さながらにしてもらうようにスタッフにお願いした。 こうして私は着ぐるみ姿で主任と再会する事になった。 主任は指定された時間の10分前にスタジオにやって来て、女性スタッフが迎えに行った。 ドアがノックされて、女性スタッフに続いて主任が入ってきた。 私は主任に飛びつきたい気持ちをグッと我慢した。 そして、彼はというと私を見るなりビクッとしている。 彼は頼り甲斐があるのだが、すごくビビりな面もあるのでこの反応は私にとっては想定内だった。 着ぐるみだと分かるとジックリと私の観察を始めた。 体のラインから女性である事は分かるが、まさか私だとは気づかないだろうと思うと、ドッキリを仕掛けているようでなんだか楽しくなった。 私の事を興味深げに観察している彼に頭を下げた。 彼は少し驚いたようだったが、頭を下げて挨拶を返してくれた。 女性スタッフが私を紹介してくれる。 「彼女は杏子(あんず)ちゃん」 彼は杏子という女優を知らないらしく、何か思い返しているような顔をしている。 そういえば、ヒーローショーの仕事を辞めてからは、全く連絡も取っていなかった事を思い出した。 だが、それは好都合、杏奈という存在を隠していられると思った。 この場にいる3人で、女性スタッフも私と彼が知り合いという事を知らないというのもワクワクさせた。 女性スタッフは自慢げに私の紹介を続ける。 「杏子ちゃんはスーツアクターもこなすのよ」と。 彼はスーツアクトレスをいっぱい見てきているので、それほど驚いてはいなかった。 彼は私に興味を持ってくれた、というか着ぐるみに興味を持った。 一言断ってから私の周りをぐるっと回る。 スタッフの女性が「貴方にも今から着てもらいますね」と彼に声をかけて、奥の部屋へと誘導する。 私がついて行くのも変なので一人で彼が着替えるのを待つ。 しばらくすると、女性スタッフが奥の部屋から出てきた。 彼が着替えを始めた事に他ならない。 出てきた女性スタッフが言う。 「彼、流石ね、少し説明しただけでほとんど理解してくれたわ」 私は思った。 “私の大好きな彼ですもの“ しばらくして、着ぐるみまで着た彼が部屋から出てきた。 「大丈夫でした?一人で」とスタッフの女性が声をかけると、彼は頷いた。 「早速ですが、ファスナーを隠しますね」 女性スタッフはそう言うと彼の背後に回りファスナーを隠すべくゴムを溶かし始めた。 ほどなくしてゴムの溶ける匂いがして、彼も私と同じ姿になった。 そして、女性スタッフはこう言った。 「今から1時間このままでお願いします」 「ただ、部屋は出ないで下さい」 「この部屋の中でしたら、ご自由にお過ごし下さい」 そう言い終えると部屋を出て行ってしまった。 私は主任と久しぶりに2人きりになれた、着ぐるみを着て顔は見えないが。 テーブルを挟んでイスに座り彼と向かい合う。 彼は何かモジモジしているようにも見える。 私を彼の知らない女優として見て、どうしていいか分からないでいるように見えた。 部屋の中には沈黙が続くが、私はそれで十分だった。 ジッと互いを見ているだけで、私は満足だった。 着ぐるみの中には紛れもなく、彼がいるのだから。 だが、彼は沈黙に耐えきれなくなったのか声をかけてきた。 「着ぐるみ、暑くないですか?」 私はどう返事を返していいか分からず動けなかった。 彼の質問が続く。 「今日は衣裳合わせ、何時から入ったんですか?」 私は別の意味で緊張して返事もできず、そして動けなかった。 彼は沈黙に耐えられないようで質問が続く。 「スーツアクターをやってたんですか?」 私は彼の質問には答えずに立ち上がった。 こんなに近くに彼がいるのに何もできないなんて。 私は彼の元へと向かう。 そして彼に立ってもらうような手振りをした。 彼はゆっくりと立ち上がった。 着ぐるみを着ていても彼を感じる。 “もう我慢できない!“ 私は彼に抱きついた。 彼は突然の事で驚いているようだが、私を優しく抱きしめてくれた。 言葉はいらない、ずっとこうしたかった。 しばらく抱き合っていて心の声が漏れる。 「主任、好き!」 「え!」 彼から出たのはそれだけだった。 私はそのまま彼をテーブルへ押し倒す。 「前もこんなことあったよね」 「杏奈、ちょっと待て」 彼はすぐに私に気づいてくれた。 彼は声を上げたが、体は言葉に反して私を強く抱きしめてくれた。 「主任と最後に思い出を残したくて」 着ぐるみ越しに私の思いを伝える。 私は女優デビューしてから間もなく、とある有名俳優と付き合い始めたのだが、その俳優がハリウッドへと拠点を移すことになった。 私も彼についてハリウッドへ行くことになった。 主任の反応から叶わぬ恋だとは分かっていたが、最後にもう一度だけ彼との時間を過ごしたいと思い、監督にお願いして彼にオファーを出してもらった。 上京してからもあの時のカメレオン怪人の着ぐるみを部屋で、彼の事を思いながら1人で着ている事が多かった。 この作品で彼と共演し私の中で区切りをつけ、カメレオン怪人の着ぐるみも処分しようと決めている。 久々に着ぐるみ越しとはいえ、ゆっくりと彼と話ができ、一緒に時間を過ごせて私は満足していた。 私は恥ずかしがり屋なので、面と向かっては彼と緊張してまともに話はできなかっただろう、また着ぐるみに助けてもらったような気がする。 ずっと抱き合って話していたが、1時間が経つ頃には、元の場所へ戻り向かい合うように座り女性スタッフを待つ。 女性スタッフは戻ってくると、私たちに体調が大丈夫かを確認した。 まさか、女性スタッフも着ぐるみを着たまま2人が抱き合って語り合ってたなんて夢にも思わないだろう。 先に彼から着ぐるみを脱ぐことになり、その日彼は着替えてそのまま別々の帰宅となった。 数日後、いよいよ撮影が始まった。 研究者2人が脱力し、その場に崩れ落ちるシーン。 私は女優として演技をする。 周りの誰よりも主任の視線が気になった。 彼は私を見て頷いている。 我ながらいい演技ができたと思った。 脱力し崩れ落ちる前にカットが入り、腕や顔にメイクが施される。 脱力し崩れ落ちるとカットが入ってメイクが追加された。 そして、研究者が2人が床に横たわったところで再びカット。 ここから研究者の体が溶ける部分はCG加工し、着ぐるみのシーンとなる。 私は着ぐるみに着替えのため移動、俳優の方は用意された席へと移動した。 私の演技を凝視していた彼も着替えのために呼ばれている。 彼の近くに居られる、そう思うだけで私はテンションが上がっていた。 私と彼は別々の部屋に入って、着ぐるみに入る準備を始めた。 着ぐるみに着替えると部屋から顔を出して女性スタッフに声をかける。 女性スタッフは背中のファスナーを見えないように熱で封印してくれる。 着ぐるみの上から先ほどよりも大きな研究者の白衣を身につける。 部屋から出ると、彼は着ぐるみで待ってくれていた。 着ぐるみを着ているので、互いの顔は見えないが私はテンションが上がり足取りも軽かった。 彼はどことなく緊張しているようだった。 スタジオに戻ると、野々宮ほのかちゃんのシーン撮影は済んだようで、彼女の姿はもうそこにはなかった。 さて、これから私、スーツアクトレス杏子の着ぐるみでの撮影が始まる。 研究者2人が横たわった姿勢を入念に確認してから、同じ場所へと横たわる。 横たわった場所には、寒天のようなゲル状のものが撒かれている。 「スタート!」 の声とともにゆっくりと立ち上がろうとするが、ゲル状のものに足を取られて上手く立ち上がることができない。 呻き声を上げ何度も滑りながら立ち上がり扉へと歩いて行く。 彼も私もスーツアクターだ、演技は完璧なはず、特にカットも入らなかったので一発OKだった。 続いてはスタジオを移動して、民家へ立ち入り娘を探すシーン。 化け物扱いされ、さまざまな物が飛んでくる。 当然、飛んでくる物は柔らかく作られており、当たっても怪我はしないが、物が当たると呻きながらその場に膝をついて痛がる演技をする。 最後は街中でのシーン。 娘を止めるために街中に現れた研究者の2人はゾンビのような存在になっている。 そこで逃げ惑う人たちを助けるべく、軍隊が現れ捕獲のため、とりもちで攻撃をしてくる。 このとりもちはホンモノで、着ぐるみに着くと伸びるが取れない。 とりもちを取ろうと動けば動くほど、とりもちが体に絡みつく。 そのうちバランスを崩した彼は私とぶつかった。 私と彼はトリモチでくっついてしまい、ますます動けなくなってしまった。 私は少し嬉しくなり、トリモチから逃れる演技をしながら、唸り声を上げながら彼に抱きつく。 着ぐるみ越しでも彼と少しでもこうしていたい。 トリモチのついた体はもがけばもがくほど、彼とくっついて離れられなくなってしまう。 私は唸り声を上げながら、もがいた一秒でも長く彼と一緒に居たい一心で。 私が目一杯もがいたので、彼とくっついて本当に動けなくなってしまった。 私はそれでも幸せだった。 撮影は続く、そんな動けなくなった私たちに軍隊から捕獲のためのネットが発射される。 ネットで捕獲され、ますます私と彼は密着しおまけにネットまでとりもちに絡みつきどうしようもなく、動きも取れなくなった。 私は一人この状況を喜んでいた。 “彼を離したくない!“ 気がつけば演技よりもそれが優先されていた。 ここでカットがかかり、ネットから解放されると思った。 また、彼と離れ離れになるのかとガッカリしていると撮影はそのまま続行。 私と彼を捕獲したネットの先は車に結びつけられる。 これから車で引き摺られる事を心配するよりも、彼と一緒にくっついていられる事の方が嬉しかった。 そのまま基地まで車で引っ張られていく。 彼は女優となった私が怪我をしないよう、かばうようにして車に引き摺られる。 車はそれほど速くはなく、着ぐるみを着ているので、痛くはないが彼は終始私を守ってくれていた。 すごく嬉しくて涙が滲んだ。 そしてしばらく引きづられた後、とうとうカットがかかった。 ついに彼から引き離されると思っていたのだが、意外にもネットからは解放されず、そのまま軍隊の基地のセットへ運ばれた。 私は運ばれている間、トリモチで動きがかなり制限された中で、目一杯彼に甘えるように抱き着いていた。 彼は私が車に引き摺られて怖い思いをしたと思ったのか、ギュッと抱きしめてくれていた。 基地の中のセット。 吊るされたままネットから解放されて、地面に落下する。 落下した先にはマットが敷かれており、落下したがそれほど痛くはなかった。 しかし、トリモチで満足に動くことはできないまま。 私にとっては嬉しい限り。 そこへ白衣を着た医者らしき役者が彼に注射を打つ。 彼は注射を打たれると台本通りにぐったりとして眠ったフリをする。 一方、私はは呻き声をあげながら暴れようとするが、トリモチに阻まれる。 私は手錠をされ、トリモチを外されそのままどこかへ連れて行かれる。 彼と離れたくなくて、唸り声を上げながら必死に抵抗した。 監督はその演技が鬼気迫ると褒めてくださったが、本当に彼と離されるのが嫌だっただけだ。 だって、このシーンが終わったら彼の出番が終わってしまうから。 もう、会えないかもしれないから。 私は彼から引き離されて、解剖のシーンへ。 私は着ぐるみのまま、解剖台に載せられて解剖されるのを唸り声を上げて抵抗する。 私の頭の中にあったのは、早くこのシーンを終えないと彼に会えなくなってしまうという事。 もうそのことしか頭になかった。 注射を打たれて、脱力する。 その後のシーンは別の着ぐるみに着替えて解剖されるのだが、それは明日以降の撮影となっていた。 私の今日の撮影はこのシーンで終わり。 解剖台で唸り声を上げている時も、私は彼の事を考えていた。 彼は比較的しっかりとシャワーを浴びてから帰るタイプの人だ。 着ぐるみを脱がせてもらって、シャワーを浴びて着替えを済ませて、門の所まで行くのにどれだけかかるかを私は頭の中でシュミレーションしていた。 女性スタッフを捕まえて、着ぐるみのファスナーを開けてもらう。 着ぐるみを脱いで、Tシャツとジーンズに着替えるとシャワーも浴びずに制汗剤を振りかけて部屋を飛び出した。 乱れた髪にキャップを被り、スタジオの門の所へと急ぐ。 私のシュミレーションなら門に向かう途中で、彼に追いつく筈だった。 でも、彼には会えなかった。 最後の望みをかけて門の所で彼を待ってみる。 10分ほど待った時、彼の姿が見えた。 私は嬉しく涙ぐんでしまった。 キャップを深く被り直すと、私の前を素通りする彼の腕にしがみついた。 彼はすぐに私だと気づいたようで、そのまま並んで歩く。 「お疲れ様、ファミレスで美味しいもの奢ってやるよ!」 彼のヒーローショー終わりのみんなを食事に誘ういつものセリフ。 「うん、ハンバーグがいいなぁ!」 私は彼に思いっきり体を擦り寄せた。 翌日からの私は今までとは違った。 なぜなら、大好きな彼からパワーを注入されたから。 早くにスタジオ入りした私は解剖シーンの着ぐるみに着替える。 昨日彼と一緒の時着ていた着ぐるみは同じだがインナーが違う。 白いゼンタイではなく、私を採寸して作られた筋肉や腱や筋の人体模型スーツ。 この人体模型スーツは筋肉や腱や筋を忠実に再現してあり凹凸も付いている。 ただ、普通の人体模型なら色が付いているのだがこれは白一色。 そしてラテックスで出来ていているのだが伸縮性がそれほど良くない厚手のため着るのにも一苦労する。 腰までたくし上げただけでも、ヒーローショーをひとステージ終えたほど汗だくになる。 そしてピッタリし過ぎて、まるで自分自身の皮膚が剥がれて、筋肉や腱や筋が剥き出しになったらこんな感じなのだろうと容易に想像ができるほど。 あまりにも着るのがキツイので、イスに座って一息ついた時、女性スタッフが部屋にやって来た。 「おはようございます、あれ、杏子ちゃんもう着てるの?」 「おはようございます、着るのが大変だと思ったので早めに準備してました」 「そうでしょ、そのスーツは多分一人で着るの厳しいから私もすぐに手伝うわ」 そう言って、女性スタッフは自分のバッグを置いて私を手伝ってくれる。 2人がかりで2人とも汗だくになりながらなんとか着る事ができた。 「少し休憩しましょ!私はいいけど、杏子ちゃんはこれからお芝居しないといけないんだからゆっくりして」 「ありがとうございます」 私は女性スタッフに頭を下げる。 人体模型スーツは頭のみを残して全て着る事ができた。 背中のファスナーが全開なので、背中だけは涼しいが、体の前面からは汗が足の方へ向かって流れていくのが分かる。 今日はさらにこの人体模型スーツの上からコンドームと同じ素材で特注したラテックススーツを身につける。 そして、昨日着た半透明の着ぐるみを着るのだが、控え室で着るのは人体模型スーツだけ。 時間が来たので私は人体模型スーツの中へ頭を潜り込ませて、背中のファスナーを閉めてもらう。 そして、女性スタッフに背中のファスナーをわからなく隠してもらうと控え室を出た。 白い人体模型はかなり不気味だ。 しかも、動きにくく、気を抜くと転んでしまいそうだ。 そんな事も知っているようで女性スタッフは私の手を取り、スタジオまでゆっくりと誘導してくれる。 今日の撮影は昨日載せられていた解剖台の上から。 解剖台に乗る前に白いラテックススーツを着なければならない。 ネックエントリーになったラテックススーツの首の部分を女性スタッフが大きく広げてくれ、私はそこへ足を通していく。 さすがコンドームの素材というべきか異常なほど伸びるが破れない。 そして、このラテックススーツには所々にチューブのような突起物が背中側に付いている。 これは撮影の際、使用する重要な仕掛け。 そして頭にもラテックスマスクを被せられる、かなり呼吸が苦しくなった。 このラテックスマスクにも後頭部にチューブが突き出ていた。 ラテックススーツを着てから、ようやく着ぐるみへ。 私は呼吸の苦しさと人体模型スーツの動きにくさから着ぐるみを着るのにもかなり苦労した。 さらに着ぐるみは既にひと加工が加えられている。 それはラテックススーツの突き出たチューブが着ぐるみの背面から突き出す加工。 着ぐるみを着た私の背面でスタッフが作業している。 着ぐるみの背面にラテックススーツのチューブを引き出している。 それが終わるとそのチューブと解剖台に開けられた穴を接続しながら、私はようやく解剖台に横たわり、手足を磔にされる。 もう、この時点で私は息が上がり、それが着ぐるみ越しでもハッキリと分かるくらい胸が上下していた。 そんな中、撮影が始まる。 解剖医2人が私の両側に来て「スタート!」 一人の解剖医が私のお腹にメスを入れる。 もちろん、そこだけアップで別撮り。 実際はなぞるだけで、着ぐるみのお腹は切れていく。 お腹が切られた事で私は大きく体を揺すり暴れてる演技。 すると、背中側からラテックススーツのチューブを介して、白い粘性の液体が注入される。 ラテックススーツは白い粘性のある液体に満たされて腕や足体の至るところから不自然に膨張が始まる。 解剖医2人が慌てふためく演技をしているが、膨張は止まらない。 私の顔にも白い粘性の液体が注入されて膨れ上がる。 “ちょっと、息できないよ!“ さっきまで激しく動いて呼吸が整っていない所に白い粘性の液体が注入されたので、途端に呼吸ができなくなった。 私は本気で苦しさから、体を動かして助けを求めるように動いたが、演技だと思い助けてくれる様子はない。 “ヤバい、このままじゃ、死んじゃうよ!“ そう思った時、ラテックススーツが膨張に耐えきれずに破裂した。 体は破裂して圧迫はなくなったが、ラテックスマスクだけは別、まだ膨張し続けている。 “もう私、ダメだ!“ そう思った時、目の前の暗闇の中から主任の顔が現れた。 私が主任と目が合ってハッとした時、ラテックスマスクも破裂した。 人体模型スーツの小さな呼吸穴から、白い粘性の液体を排出して呼吸を開始する。 私の演技は着ぐるみと中のラテックススーツが液体に満たされて破裂までは激しく体を動かす事。 破裂したあとは、人体模型姿で解剖台に張り付けにされればいい。 横目で見ると、解剖医2人は白い粘性の液体を浴びていた。 特に女性解剖医は追加で液体をかけられている。 色っぽいというより、卑猥な印象を受けた。 ようやく呼吸が落ち着いてきた頃、解剖医2人が解剖台を挟んで向かい合い皮膚が剥がれて白い筋肉と腱、筋だけとなった私を見ている。 既に絶命したと思い、女性解剖医が私に触れようとした時、右腕に噛み付く演技。 女性解剖医の右腕は引きちぎれ、白衣の右袖が真っ赤に染まる。 それを見て慌てた男性解剖医は、近くにあった棒で私を叩きまくる。 演技にのめり込んだのか、力が入り過ぎたのか分からないが結構痛かったし、怖くなり力が入らない。 叩かれた事で大人しくなった私の手首を縛り上げて、足も縛り上げて動きを制限した。 そうしてから、男性解剖医の力も借りて私を吊り上げる。 “え?こんなシーンあった?“ 女性解剖医は腹いせとばかりに左手でムチを握り打ってくる。 その度に私は痛みに体を振るわせる。 とはいえ、人体模型スーツが厚手のため、ものすごく痛いわけではない。 私は奇声を上げて、散々ムチで打たれて動けなくなる。 棒で突かれて動かない事を確認した解剖医2人。 最後に、ホルマリンの入った大きなガラスケースが運び込まれる。 もちろん、ホルマリンではなくただの水。 それっぽく見せるために、黄色に着色されている。 私は吊り上げられてその中へ。 ガラスケースの蓋が閉じられて、人体模型のような筋肉と腱、筋だけの姿となった女性研究者はホルマリンの中で暴れるが、徐々に動きが緩慢になって動かなくなる。 カメラが寄っていくと、少し泡を吹いて睨みつけて映画は終わる。 私はそのあと、ガラスケースの蓋がなかなか開かずに溺れかけて引き上げられた。 スタッフからはかなり謝られたが、怒る元気はその時はなかった。 こうして、私の大好きな彼と最初で最後の共演となった映画を撮り終えたのだった。 完
Comments
満足頂けて良かったです。今後ともよろしくお願い致します。
ごむらば
2022-03-23 16:25:48 +0000 UTCありがとうございます🙆 満足🈵😃✨しました❗ これからも応援してます😍
フランキー
2022-03-23 16:13:03 +0000 UTC追加しました。ご希望にお応えできたか分かりませんが、宜しければご覧下さい。
ごむらば
2022-03-23 14:38:12 +0000 UTC追加できるように書いていますので、もう少々お待ち下さい。
ごむらば
2022-03-22 05:57:55 +0000 UTC読みたいシーンが明日撮影😭 お願いいたします🙇 どんな辛いシーンの撮影なのかが楽しみです😱
フランキー
2022-03-20 15:46:25 +0000 UTC