SamSuka
ごむらば
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拘束されたマネキン

モデルの仕事をしている私は咲良(さくら) 現場に行くとラバースーツを渡された。 全身がラバーに覆われるタイプのもの。 顔を売りたいが収入がないのも困る。 仕事の好き嫌いを言ってられない。 全身が黒光りするラバーで覆われた私はスタジオでの写真撮影。 気になったのは、カメラマンの横でずっと動画撮影をしている事。 次はゼンタイに着替えて欲しいと言われた。 メタリックブルーのゼンタイを手にして控え室に戻ろうとした私にカメラマンが言う。 「ここで着替えてよ」 躊躇したが、どうもラバースーツの上からゼンタイを着ろという事らしい。 ならば、全然構わない。 躊躇したのはラバースーツの下が全裸だから。 ゼンタイを重ね着して撮影再開。 撮影が進むと今度は縄で縛り上げるという。 ゼンタイの上から縄をかけられて、アレよアレよという間に縛られてしまった。 足は厳重に縛られて足首、すねが2箇所、膝下、膝上、太ももが2箇所ずつといった具合に縛られた。 上半身も同様に細かく厳重に縛り上げられた。 体は一本の棒のようになり、腕は胸のところでクロスさせたまま、縛られている。 フェチな撮影にはよくある事だと気にも留めていなかった。 撮影は続く。 次は身動きの取れない私をラップで足元からスタッフ3人がかりでシワなく、隙間なく力を込めて巻いていく。 頭やつま先までしっかり巻かれた私は体を自分の意思では全く動かせなくなってしまった。 ギチギチに拘束されたのに抵抗しないのは仕事のためでもあるが、私が真性のマゾヒストだから。 視界もラップの透明の向こうに景色がぼやけて見える。 頭をラップで拘束される際、口も厳重に巻かれたので、言葉を発する事も困難になってしまった。 そんな私の撮影は続く。 次はスタッフがおそらくはビニールテープを持ち出した、色は黒。 私の動けないラップの体をビニールテープで黒へと変えていく。 ビニールテープを巻き終えると、また撮影が始まった。 ここまで2時間以上さすがに暑いし、そろそろ休憩を入れてもいい頃だ。 そんな私の体が浮いて、どこかへ運ばれている。 降ろされたのはクッションが効いていることからベッドのようだ。 やっと、休憩だと思っている私。 しかし、一向にビニールテープもラップも外そうとする様子がない。 動ける範囲で体を揺らしてアピールしてみた。    私の思いが届いたのか、足が持ち上がる。 “そうそう、早くビニールテープを外しちゃって“ そう思っているが、ビニールテープはなかなか外されない。 その代わりに何かに入れられているような感じがする。 音はそれほどしないが、薄手の言うなればストッキングかタイツのようなモノのような感じがする。 そして私の頭までタイツに入れると頭の上で口を縛っている。 そして今度は頭から先ほど同じようなモノが被せられ足裏で口が縛られている。 “えー、まだ休憩じゃないんですか?“ そう思っている私をよそにタイツはかなりの数を頭と足裏で交互に口を縛り続け、私への拘束は続いた。 “ここまで来たらさすがに思う、やり過ぎじゃない?“と。 それに呼吸が苦しくなって来た。 私の気持ちを無視して撮影しては拘束が繰り返される。 次はまた縄で縛られているようだ。 何重にも被せられたタイツが食い込むような感じがする。 足先から頭までロープで縛られた私は今、一体どんな姿になっているのだろう。 体を揺すったりしてみるが、僅かしか動かない。 “もういい、やり過ぎだよ!“ そう思っている私の足元が持ち上がった。 また何かされるんだ。 『ピチ、パチン』と今日スタジオ入りしてすぐに着たラバースーツのような音がしている。 “ラバーの寝袋にでも入れられているのかしら“ そう思っているとラバーの寝袋を着せられるのは胸の辺りで止まった。 “ラバーは滑りが悪いから簡単にはいかないわよね“ そうラバーについて知ったかの私の頭が持ち上がって、何かが被せられる。 『ピチ、パチン』とラバー寝袋と同じ。 ラバーのマスクを被せられている。 気づいた時には肩までしっかりと被せられた。 マスクは首までありヒダのようなものが肩まであるんだと思った。 そう思っていると、途中で止まった寝袋を被せるのが再開する。 ラバー寝袋は首までしっかりと着せられたが、撮影は始まらない。 程なくしてけたたましい音がする。 “掃除機みたいなだと思っていると、急に体が真空パックされるように今まで以上に圧迫と圧縮が私の体を襲う。 “ラバー寝袋で真空パックされたんだ“ ネットで見た事はあった、中の人が彫刻のように浮き彫りになっていた。 今度の拘束はすごい体が一ミリも動かせなくなった。 “早く撮影終わらないかな、暑いし苦しいし“ そんな私の耳にスタッフの声が飛び交う。 「お疲れ様です!」「お疲れ様でした!」 “やれやれ、やっと終わりだ“ “いっぱい汗かいたからシャワー浴びて帰ろう“ 私の近くに人の気配。 ラバー寝袋で真空パックされた私の体が転がされる。 ベッドのシーツで簀巻きにされているようだ。 何重かのシーツに簀巻きにされた私の体はロープで縛られる。 “あれ?そんな事したら私出られないじゃん“ “ドッキリか何かかな?“ そう思っていると、布団でも簀巻きにされている様子。 暑さが一気に増す。 “早く解放してよ、ねぇ、撮影終わったんでしょ!“ 布団の簀巻きが出来上がると、また縛られている。 “暑いよぅ、早く出して!“ いくら懇願しようとも解放されない。 それどころか、スタッフの言葉に愕然とする。 「これどうしたらいいですか?」 「細長いビニール袋に詰めて粗大ゴミ置き場に置いておけ」 暑くて死にそうな私に冷や汗が流れて、体温が急に下がった気がした。 体も動かせないし、声も出せない、助けを呼ぶ事も自分の、存在を誰にもも伝える事なく処分される。 恐怖しかない。 布団の簀巻きにはビニールが被せられる。 息苦しさと暑さが襲いくるが、抵抗する気力も体力も残されていなかった。 体が浮いて粗大ゴミ置き場へと運ばれる。 “誰か助けて!私に気づいて!“ 私にできる事は必死にそう思い祈ることだけだった。 ゴミ収集車の音が遠くで聞こえた。 「今日は本当にすみませんでした、失礼します!」 誤って粗大ゴミとして捨てられ処分される寸前に私は回収された。 拘束を全て解かれた私はスタジオに立っている。 真っ白な肌にスラリと長い手足に均整の取れた体、可動域は限られ、支えの棒とその台がないと立っていられない。 鼻は高いが目も口も耳も曖昧な感じ。 髪型と呼べるか分からないが、頭に張り付いている。 そんな私だが今は控え室に立っている。 「ゴメンね、大丈夫だった、怖かったでしょ」 そう言いながら、白いマネキンの背面に白いネジを外しながら話しかけてくれる女性スタッフに私は答えられなかった。 本当に怖かったから、死んじゃうと思ったから。 マネキンの白いネジが外されて、私は裸で冷たい空気を全身に感じる。 控え室で女性スタッフと2人きりという事もあるが、生きている事に喜びを感じ、恥ずかしいという概念は吹っ飛んでいた。 憧れていたモデルの仕事でたまたまマネキンを演じるように言われてマネキンの中に閉じ込められた。 そして、マネキンの中で怖い夢を見ていた。 そして気づいた時には本物のマネキンとの取り違いが起きていて、本当に危うくゴミとして処分され命を落とすところだった。 マネキンが私に何かを伝えたかったのか、それとも私にとってモデルが不向きだったのかは分からない。 私はモデルの夢を諦めたのに、どこかスッキリした気持ちでスタジオを後にした。 おしまい


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