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ごむらば
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金ピカの呼吸する置物

仕事のため、訪れた会社の無人受付横には奇妙な呼吸する像があった。 打ち合わせのため訪れた会社の呼び出し用の内線電話のみが置かれた受付。 その呼び出し用の内線電話の横にオスカー像のような金ピカの物置があった。 今まで何度も訪れているが、こんなものはなかった。 金色に輝くその像は姿勢良く台座の上に立っていた。 オスカー像のようなと表現したのは、明らかに女性の像だったから。 スタイル良く作られた像は、20cmほどの台座を含めても170cmほど。 実際に小柄な女性が中に閉じ込められていても、このくらいのサイズになら収まりそうだ。 内線電話で社長を呼び出したが全く出ない、忙しいのだろう。 アポイントを取ってやって来たのだが。 今日中に済ませなければならない用件のため、仕方なく内線電話横のベンチに座って少し待つ事にした。 しばらくスマホいじっていると、俺以外の呼吸する音が聞こえる。 俺が顔を上げて辺りを見渡すが、周りには誰もいない。 気のせいかと思い、スマホに視線を落としてしばらくすると、また呼吸音が聞こえる。 俺は立ち上がり、呼吸のような音の出どころを探るが音は止んでいる。 金ピカの置物の前で、しばらく息を潜めていると、聞こえてきた。 『フゥー、フゥー、フゥー』 先ほどより音も大きく聞こえ、さらに苦しそうに速く浅く呼吸するような音。 それは必死に俺にバレないように精一杯音を出さず呼吸する事を心掛けているようだった。 呼吸のような音が聞こえてくるのは、金ピカの置物の背面の曲げた肘の辺りから。 手で探ってみると小さな穴がある。 見つけた時は指先に温かく湿った空気を感じたが、それはすぐに止まってしまった。 俺はその穴を指の腹で塞いでみる事にした。 しばらくすると、小さな穴から圧を感じたり、吸い付いたりするのを感じる。 俺の中でこの金ピカの置物の中には人が入っているという推測を確信に変えた。 「やあ、岸田さんお待たせしたね」 背後で声がした。 振り返るとそこには社長が立っていた。 着ぐるみやイベント用の置物を製作する会社の社長 金子 靖幸(かねこやすゆき)だ。 俺はすぐに金子社長に向き直り挨拶する。 「お忙しいところ申し訳ございません」 金子社長は金ピカの置物に抱きつくようにしていた俺を見て何か思ったのだろう。 「岸田さん、その置物気に入ったのかい?試作品だけど良かったら持って帰ってもいいよ!」 俺の背後で呼吸音に混じって驚いたような音がした気がした。 「え!いいんですか?」 俺の声の上擦りに社長は少し笑顔を見せた。 「ああ構わないよ、先に用件を済ませてしまおう、応接室を取ってある」 社長に先導されながら応接室へと向かう。 俺はチラッと金ピカの置物を見た。 応接室に入ってソファーに腰を下ろして社長が言った。 「あ、資料を準備してなかった、すぐ取って来るので、ゆっくりしといてもらえるかな」 「あと、今日はちょっと人手が少なくてお茶も用意できないんだけど構わないかな?」 「ええ、構いませんよ、お気遣いなく」 俺の言葉に軽く頷くと社長は応接室から出て行った。 いつもなら、この会社の美人事務の菊川 紗羅(きくかわさら)さんがお茶を運んできてくれるのだが、今日は応接室への移動中も事務所に彼女の姿はなかった。 “もしかして、あの金ピカの置物の中に身長的にも紗羅さんが入っているのでは!?“ そんな事を考えていると、社長が戻って来た。 「すまない、打ち合わせを始めようか」 そして、用件の打ち合わせが始まったのだが、俺は金ピカの置物の事が頭から離れない。 それでも何とか打ち合わせを終えた。 打ち合わせの内容が全く頭に入って来なかったが、気持ちのこもっていないメモだけは手帳に記されていた。 打ち合わせを終えて、いよいよ金ピカの置物を頂いて帰る。 ワクワクとドキドキが混在している俺。 事務所のカウンター越しに紗羅さんがいた。 紗羅さんは俺と視線が合うと笑顔で会釈してくれた。 今日は社長が言っていたように忙しいのだろう。 いつもは淡々と業務をこなしているイメージの紗羅さんの額に汗が滲み、髪も少し乱れているように見えた。 こうして、金ピカの置物のところへ金子社長と戻ってきた俺。 金ピカの置物をダイレクトに担ぎ上げようとする俺を金子社長が制止する。 「岸田さん、腰痛めてしまうぞ!台車を用意するから待ってなさい!」 金子社長自ら台車を押して戻ってきた。 2人がかりで金ピカの置物を台車に載せて営業車まで運んでもらい後部座席の荷台部分に積み込んだ。 社長にお礼を言って引き揚げる。 “今日は時間的にも遅いから、このまま直帰しよう!“ 俺はワクワクしながら、車を走らせた。 俺を見送ってくれる金子社長、その横に上半身は事務員服に下半身が金ピカのラバーを着用している紗羅さんが立っている事にも気付かずに。 つづく

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ごむらば

楽しみです\(^o^)/

isyoya


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