金ピカの贈り物
Added 2022-05-27 15:00:00 +0000 UTC俺は金子社長から頂いた金ピカの置物を丁寧に家の中へと運び入れた。 静まり返った部屋に、金ピカの置物を運び入れて乱れた自分の呼吸だけが響く。 俺は目を閉じて、目の前の金ピカの置物の呼吸音を聞いてみる事にした。 全く身動きができない状態で、運ばれてきた中の人は一体どんな気持ちなのだろう。 緊張して呼吸が浅くなるのを必死に抑えて、自分の存在を消している。 そんな健気な姿を想像するだけで興奮してくる。 残念ながら、金ピカの置物の中身は紗羅さんではなかった。 紗羅さんは事務所の自席に座っていた。 “では、中身は誰なんだろう?“ そんな事を考えながら、耳を澄ませるが一向に呼吸音は聞こえてこない。 “ん?!“ いくら我慢できたとしても長過ぎる。 俺は金ピカの置物をじっくりと観察する。 そして、一つ気づいた事が。 金ピカの置物の背面の曲げた肘の辺りにあった穴がない事を。 打ち合わせの間にすり替えられてしまったのか? それはそうだろう、人が入った置物を身内以外に渡せる訳がない。 少し考えれば分かる事だった。 俺は金ピカの置物の前で膝をつき、土下座するような格好で崩れ落ちた。 週末にこの金ピカの置物の中身を調べて、楽しもうと思っていただけにショックは甚大。 立ち直れずに、土下座からそのまま体を丸めた。 疲れから眠気が襲ってくる。 特に予定もない、動く気力も無くなった俺はその場で眠ってしまった。 遠くで電話の着信音が聞こえてきて、目が覚めた。 慌ててカバンの中のスマホを探して取り出す。 一瞬見えた発信者は金子社長だった。 「いつもお世話になります、岸田です、先ほどはありがとうございました」 『こちらこそありがとうございます、ところで先ほど渡した置物の件で電話させてもらったんだけど』 “すり替えた件だろうか?それとも返却を求めてくるのか?だとしたら社内で俺を笑いものにしていたのか?“ 金子社長の心理が分からないので話を続ける。 『先ほどの置物と今、手元にある置物を取り替えて欲しいんだが、構わないかね?』 呼吸をする金ピカの置物に代わるのなら願ってもない申し出。 「はい、私は一向に構いません、今から社の方へお持ちしましょうか?」 『いやいや、こちらから持って行くので、住所を教えてくれないか?』 俺は住所を金子社長に告げて電話を切った。 “今度こそ呼吸するあの金ピカの置物が俺のものに“ 気づけば俺は部屋の中を飛び跳ねてガッツポーズをしていた。 金子社長は特に時間の事を言っていなかったので、いつ到着するかも分からない。 始めはテンションも高く、金子社長の到着を今か今かと待ち受けていたが、なかなか来ないため、ソファーに座りテレビを見始めた。 どのチャンネルも興味がなく退屈だったため、眠くなってきた。 その時だった、マンションのエントランスのインターホンが鳴った。 俺は飛び起き、インターホンに出た。 金子社長だ。 金ピカの置物はカメラには映っていないが、エントランスを開くと、俺はエレベーターまで金子社長を迎えに行った。 上がってきたエレベーターには金子社長1人。 金ピカの置物は見当たらない。 扉が開くと台車に乗ったダンボールが見えた。 俺は正直、少しガッカリした。 受付で見た呼吸する金ピカの置物が来ると思っていたから。 台車を俺が押して部屋まで案内する。 持ち帰った金ピカの置物は玄関入ってすぐ。 金子社長に部屋に上がってもらおうと思ったが、用事があると言って台車からダンボールを下ろし、代わりに金ピカの置物を台車に載せると帰ってしまった。 そして、金子社長が帰る際にこう言った。 「大事に扱ってくれよ、それと月曜の朝には返して欲しい」と。 “要返却物か、仕事が増えたな“ そう思いながら、ダンボールの中身も確認しないでソファーへ戻った。 返却が必要ならダンボールは開封しない方が手間がいらないから。 何かワクワクする週末が酷いものになってしまったと思い溜息をつく。 金子社長が持ってきたダンボールを見ながら思う。 “金ピカの置物の方がまだ、あの受付での出来事を連想できて良かったなぁ“と。 そんな事を考えていると、ダンボールが動いた。 今は動いていないが明らかに少しだけだったが動いた。 俺は驚き口を開けたまま、ダンボールに駆け寄る。 そして、ダンボールを開封し始めた。 開封されていると分かると大人しくなるダンボール。 ダンボールの中にはビニールに包まれた金色のモノが入っている。 そして、手紙が添えられていた。 【君たちの想いは通じ合っている、仲良く!】 金子社長の手書きである事は独特の文字ですぐに分かったが、意味が分からない。 とにかく、ダンボールからビニールに包まれた金色のモノを取り出す。 ビニールを開いて俺は固まった。 人が金色のものに包まれて真空パックされていた。 金色のものはゴムのような匂いがする。 「ラバーか?これ?」 包まれていたビニールにも潤滑剤のようなものが付着している。 真空パックされた人は女性である事は胸の膨らみなどで分かる。 呼吸についてもラバーの袋の天辺からチューブが伸びているのでそこから呼吸しているので命を落とす事はないだろう。 どうやって、中の人を取り出せばいいか分からないが、俺はそれよりもやってみたい事ができた。 真空パックされたラバーの袋から伸びるチューブを指で塞いでみたい、すぐに実行する。 真空パックされた女性は始め、必死に呼吸をしようと吸ったり吐いたりをする。 その時俺は思った、あの時と同じだ。 あの呼吸する金ピカの置物の呼吸口を塞いだ時と全く同じ。 俺の中である事を確信した。 あの金ピカの置物に中にいた人は今、目の前で真空パックされている女性と同一人物である事を。 そうなると、中の女性が誰なのかますます気になり、呼吸穴を塞いでいられなくなった。 呼吸用のチューブが伸びるラバーの袋を閉じている結束バンドを切って中身を取り出す。 しかし、中身は金色のフェイクレザーで全身を覆われた女性。 顔には一つも穴がなく、一見すると視覚も呼吸も奪われているように見える。 だが、呼吸用のチューブはフェイクレザーで覆われた女性の肘から伸びていた。 “なるほど!あの時の金ピカの置物も呼吸穴が肘辺りにあったのはそう言う訳か!“ 俺は一人で納得し頷いていた。 フェイクレザーで全身を覆われた女性の背後に回ると背中を縦にファスナーが走っている。 “これを下せば、中の人に会える!“ 俺はドキドキしながら、ゆっくりとファスナーに手を掛けて下ろしていく。 しかし、出てきたのはまたしても金色のラバー。 一体何重に着せているんだ。 俺がそんな事を思っていると、金色のラバーは自らフェイクレザーを脱ぎ始めた。 中からは金色のラバーに包まれた女性が出てきた。 出てきた金色のラバー女性の鼻には呼吸用のチューブが刺さったまま。 その横顔から目や口は確認できない。 見えそうにないのだが、俺の部屋を見回している。 どうやら見えているようだ。 金色のラバー女性は自ら鼻に刺さったチューブを引き抜くと、背後に立っている俺の方を振り返った。 俺の姿を見つけてビクッとする金色のラバー女性。 恥ずかしそうにモジモジしている仕草は可愛く見える。 そして気づいた事が一つ。 金色のラバーは薄く彼女の体が透けて見える。 最初に俺の視線を釘付けにしたのは、彼女の大きな胸。 胸の先には乳首が勃っており、乳輪と乳首が透けて見える。 裸でもないのに透けて見えるというのは、非常にエロさを感じた。 そして必然のように俺の視線は下へと降りて行く。 陰毛部分も黒くて透けている。 ピッタリとしたラバースーツは女性の股の割れ目もクッキリと浮き彫りにしている。 当然顔も透けていると思ったのだが、少しラバーが分厚く作られているのか、女性の顔が透けて見える事はなかった。 金子社長が箱詰めにしたと考えると、中身は従業員の可能性が高い。 社内にいたのは紗羅さんと若槻さん、2人とも美しくスタイルもいい。 若槻さんは既婚者と聞いた事があるような気がする、それに彼女は背が高い。 消去法で導き出されたのは紗羅さん。 急に金子社長の言葉と手紙の事が頭を過ぎる。 「大事に扱ってくれ」 【君たちの想いは通じ合っている】 金子社長の言った言葉は理解できる。 でも、想いが通じ合っているって、なぜ俺の想いまで分かっているんだろう。 もし、金色のラバー女性が紗羅さんで俺の事を思ってくれているのなら、俺の行動に応えてくれると考えた。 俺はゆっくりと両手を開いて笑顔を見せた。 金色のラバー女性は胸の辺りで祈るようにしていたが、俺が両手を広げたのを見て俺の胸に飛び込んできた。 その瞬間、金色のラバーマスクの下に笑顔の紗羅さんが見えたような気がした。 俺は金色のラバー女性と抱き合った。 ラバーに塗られた光沢剤で自分の服が汚れる事も気にせず。 何も言葉を発せずとも、想いが伝わって来たような気がして金色のラバー女性をお姫様抱っこして寝室へと運ぶ。 ベッドに下ろすとそのまま覆い被さった。 金色のラバー女性も素直に受け入れる。 ラバー越しに唇を重ねていると、金色のラバー女性は自分の頭の辺りに手をやった。 そして、ファスナーを下ろして顔を出した。 中身はやはり紗羅さん。 額には汗が滲んでいて、顔を赤らめて少し恥ずかしそうにしている。 俺はそんな彼女に笑顔で応えると、再び唇を重ねて激しく抱き合った。 もう、俺と紗羅に言葉は要らなかった。 お互い着ているものを全て脱ぐと激しく抱き合った。 そして、ようやく落ち着いた時、俺は言葉を発した。 「紗羅さん、俺は君の事ずっと好きだった、結婚を前提にお付き合いして頂けませんか」 答えは分かっている。 だが、男としてきちんと言葉で伝えたかった。 「もちろんです、よろしくお願いします」 俺は紗羅をギュッと抱きしめた。 裸で抱き合いながらいろいろな話をした。 俺は紗羅に会うのを楽しみに来社していた事や後輩に担当替えされそうになった時、必死に断って担当を死守した事。 紗羅も俺が来る予定を知るとウキウキしていて、周りもそれに気づいてお茶を出すのを紗羅に任せていた事などを教えてくれた。 そして、今日は会社に入って初めて置物になった事。 社長に置物を持って帰っていいと聞いた時は思わず声を出すほど慌てた事、そして俺が帰る際には置物から出て何食わぬ顔で会釈したが、上半身が事務服で腰から下はラバースーツを履いていた事も教えてくれた。 俺は忙しいのかと思ったが、置物から出てバタバタしていたから珍しく髪が乱れ、額に汗をかいていた事も理解できた。 さすがにその滑稽な姿で見送ってくれていた事までは気づかなかったが。 想像もしていなかったほど幸せな週末が訪れた、一つの問題を除いては。 一つの問題とは紗羅の服がない事。 会社で全裸になって、ラバースーツを着て梱包されたので月曜の朝までラバースーツを着て過ごさなければならない紗羅。 でも、俺にとっては裸同然の紗羅を見ながら過ごせるので幸せな事には変わりないと前向きに考えた。 しかし、俺が想像していた状況は来なかった。 紗羅はラバースーツを着た上から、フェイクレザーのスーツも着て顔を出して過ごしていたから。 紗羅の可愛い顔が見れるので、これはこれでいいのだが、涎掛けのようにぶら下がるマスクは気になる。 俺は何度かふざけて紗羅にラバーマスクを被せて、フェイクレザーのマスクも被せて呼吸制御してやった。 紗羅は嫌がる素振りは見せるが、本気では嫌がってない。 その証拠に自分でも背中のファスナーを下ろして脱げるのにあえてしないで、俺に抱きしめられていたから。 こんなアブノーマルで可愛く少しエッチな紗羅と過ごしていける。 俺は金色のフェイクレザーに包まれた紗羅をギュッと抱きしめた。 紗羅は苦しくなってきたのか、俺の背中をタップした。 完
Comments
良いお話\(^o^)/
isyoya
2022-05-27 15:53:34 +0000 UTC