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ごむらば
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どっきりカンガルー

新人タレントがレポーターを担当する番組の1コーナー。 今回のタレントは音歌 心優(おとか みゆう)。 動物園で最近生まれたカンガルーの赤ちゃんをレポートしてもらう。 動物園の前で心優は自己紹介をした後、園内のカンガルーの所へと向かう。 そして、カンガルーの柵の前で担当飼育員にインタビューする。 飼育員からは赤ちゃんカンガルーはお母さんのお腹の袋に入っていてなかなか出てきてくれないという。 どうしたら見ることができるのかと尋ねると、接近してお母さんカンガルーのお腹の袋の中を直接見るしかないと教えられた。 インタビューをしながら、柵の中にいるカンガルーのお母さんを見つけた心優。 必死に遠目で赤ちゃんカンガルーを見ようとするが、お母さんカンガルーの袋からは赤ちゃんカンガルーの耳だけが辛うじて見える程度。 「じゃあ、もっと近くで見てみましょうか?」 飼育員に促されてバックヤードへと向かう。 「近くで見ても大丈夫なんですか?」 心優が心配そうに尋ねる。 「ルミ(カンガルーのお母さん)は大人しくて人を襲ったりしないので大丈夫ですよ」 飼育員が自信満々に答えるので、心優はルミに近づいて赤ちゃんカンガルーを直接見ることとなった。 柵の中に飼育員とともにはいり、お母さんカンガルールミへと近づく心優。 人間が警戒するようにカンガルーも警戒している様子。 だが、ゆっくりと徐々に距離を縮めていく心優。 心優の目の前にはお母さんカンガルールミの姿がある。 「こんなに近くでカンガルーを見るの私初めてです」 心優が飼育員に小声で呟くように伝えると、飼育員はウンウンと頷く。 飼育員さんがお腹の中を覗いてみてと、身振りで心優を促す。 心優がゆっくりとルミとの距離を詰めた時だった。 突然、死角からルミに向かってくる雄のカンガルーが飛び掛かってきた。 雄と分かるのは大きなペニスが見えたから。 そのままルミの背後から襲いかかる。 ルミは何が起こったのか分からずに前のめりになり、心優に覆い被さった。 そして、事もあろうに雄のカンガルーは腰を振り始めたのだ。 ルミからは鳴き声が漏れる。 「うー、うー!」 心優はその場から動けず驚いた様子で、覆い被さるルミをジッと見ている。 雄のカンガルーがより一層腰を激しく振り始めた時だった。 「うぅぅぅ、あん、あぁぁぁ!」 ルミからくぐもっているが明らかに女性の声が漏れた。 心優は目をまん丸にしてルミを見る。 真近で見ても本物のカンガルーにしか見えない。 心優にはお構いなしに腰を振り続ける雄のカンガルー。 「いや、ダメ、あぁぁ、あん、あぁぁ!」 ルミからは喘ぎ声が止まらない。 「ダメっ、ダメっ、逝っちゃう、逝っちゃうぅぅぅぅ!」 大きな声を上げて、ビクンと体を震わせてルミは逝ってしまった。 そのまま力なく心優に覆い被さるルミ。 動けないでいる心優をルミの下敷きにならないように、飼育員が素早く救出する。 「大丈夫ですか?」 放心状態に近い心優に飼育員が声をかけたが、心優は心ここに在らずといった具合で、ルミをジッと見ている。 「ごめんなさいね、驚かせてしまって、カンガルーは今が発情期なの」 飼育員さんがそう説明してくれたが、心優の目の前ではもっと衝撃的な事が起こったばかりで、心優は処理が追いついていない様子だった。 心優がルミを指差して言う。 「あのカンガルー!」 飼育員はウンと頷く。 「大丈夫よ、カンガルー同士だから」 心優が伝えたい事はそんなことではないのだが、飼育員は心優の肩を抱くようにして、柵の外へ。 ルミはすっかり地面に押し倒されたまま、雄カンガルーにされるがままになっていた。 「ごめんなさいね、突然のことでビックリしたでしょ!」 心優はルミの中に女性がいる事を必死に伝えようとしたが、飼育員がことごとく心優の言葉を遮る。 そして、飼育員にルミの事を伝えようとする心優は背後からハグをされた。 硬く茶色の腕に心優はビックリしてハグを振り解いて振り返る。 そこにはカンガルーのルミの姿があった。 その傍らにはさっきルミを襲ってきた雄カンガルーの姿もあった。 ここは柵の外、ビックリして飼育員の後ろに隠れる心優。 ルミは赤ちゃんカンガルーの耳を引っ張り出すと、耳の下には【どっきり大成功】の文字。 「騙された!」 心優は力が抜けてその場に座り込んでしまった。 飼育員は番組スタッフ、そしてこの番組が深夜のどっきり番組である事を種明かしする。 なぜ、深夜なのかというと大人なシーンを含んでいたため。 そう、お母さんカンガルールミを演じた仕掛け人の菊本 瑠美子(きくもとるみこ)はセクシー女優。 そして、ルミを襲った雄のカンガルーアクタは男優 須津 亜久太(すつあくた)であった。 心優はどっきりと分かり安心したのか、泣き出してしまい番組は終了となった。 「お疲れ様でした!」 心優と同行していたロケ班も、もちろん全てを知っていた。 心優は泣き止み落ち着いたところで、ルミに向き合う。 カンガルーが着ぐるみだと分かっていても、本物にしか見えない。 心優がルミに話し掛ける。 「触ってもいいですか?」 「どうぞ!」 ルミに許可をもらって、心優はカンガルーの体のあちらこちらを触り始める。 太ももは筋肉質なカンガルーらしく太くて硬い体も全体的に硬いという印象を受けた。 興味深げにカンガルーのルミを見ている心優にディレクターが声を掛ける。 「心優ちゃん、もしかしてカンガルーになってみたい?」 心優は目を輝かせてディレクターを見る。 「え!私もカンガルーになれるんですか?」 ディレクターは笑顔で答える。 「心優ちゃんさえ良ければ、なれるよ」 「ただ、コンプライアンスとかうるさい時代だからね、ここに一筆貰えるかな?」 心優は喜んでサインをした。 「よし、じゃあ、行こうか」 ディレクターはスタッフに心優を任せる。 そして、カンガルーになっている2人にも言う。 「もう少しそのままでお願いできるかな?3匹で撮影したいので!」 「分かりました!」 2匹のカンガルーは返事をする。 瑠美子は170cm、亜久太も180cmあり、カンガルーの着ぐるみを着ると本物と見間違えるほど。 さらに心優が140cmと小さい事もあり、3匹並ぶと親子に見えるので、その画を撮りたいとディレクターは付け加えて説明した。 一方、カンガルーになるべく移動した心優はスタッフに言われるまま、ラバースーツに着替えていた。 スタッフに手伝ってもらい裸でラバースーツに着替えた心優。 早速カンガルーの着ぐるみへ。 準備されていた着ぐるみは、浮き輪のような空気で膨らむフロートのカンガルー。 心優は首を傾げている。 その傍らには、ルミと同じカンガルーの毛皮がある。 心優はそれを見て頷いた。 “なるほど!“ カンガルーと人間では体型に大きな違いがある、それをフロートでカンガルーに近づけるのだと理解したようだ。 心優は目と口がしっかりと開いたラバーマスクを被り、ラバースーツの全身に透明な液を満遍なく塗ってもらってからカンガルーのフロートへ中へと入る。 フロートは二重構造になっていた。 スタッフが心優に尋ねる。 「フロートを膨らませると内側も圧迫されるけど、大丈夫かな?」 心優もここまできて引き下がれない。 それに瑠美子さんもカンガルーになっていたのだから、私も大丈夫だろう。 そう思い返事を返す。 「はい!大丈夫です!お願いします」 カンガルーのフロートを膨らませる前に先にカンガルーの毛皮が被せられる。 顔の位置を調整すると、スタッフは背中側で何かしている。 しばらくして、「じゃあ、膨らませますよ!」とスタッフの声。 心優が軽く頷くと、カンガルーのフロートが膨らみ始めた。 “ん!?“ 心優はカンガルーのフロートは膨らんでいくのだが、太ももに違和感を感じた。 しかし、確認はできない。 今の心優には身を任せる事しかできない。 急に不安になってくる。 “私、書類にもサインしたよね“ 書類に書かれていた事をろくに読まずにサインした事が悔やまれる。 そんな私の不安を打ち消す様にスタッフが飲み物を用意し、心優が飲めるようにストローを着ぐるみの中へ差し入れてくれた。 「暑いでしょ着ぐるみ、もう少し時間がかかるから、飲み物どうぞ!」 すでにラバースーツ内に汗が滲んでいた心優はスタッフの厚意を素直に受けた。 “あれ、なんか変わった味だな?“ 心優はそう思いながら、意識が遠のいていく。 “あれ?どうしたんだろ私“ カンガルーの着ぐるみは完成したが、心優は着ぐるみを着たまま、体を横たえていた。 心優が最後に覚えているのは、スタッフが心優のラバースーツのクロッチファスナーを開いたようで、股に風を感じたのが最後だった。 「ディレクター、心優ちゃんの方は毛皮を縫合し、フロートには発泡ゴムの注入が終わり準備完了です」 「はい!はい!口内麻酔も完了してます、はい、もう寝ていますので、こちらにスタッフを回して下さい!」 心優、瑠美子、亜久太の3人が気がついた時には、柵の中へと戻されていた。 そして、来園者の姿もチラホラ見えるが、肝心のテレビクルーの姿が見えない。 キョロキョロとテレビクルーを探すカンガルーたち。 ルミとアクタは本物のカンガルーのように飛び跳ねている。 それは心優とは違い、着ぐるみに入る前にジャンピング竹馬を装着していたから。 心優はというと、自分の足よりも細く長いカンガルーの足に苦戦しながらも、恥ずかしさからバックヤードの方へと移動する。 バックヤードにもテレビクルーの姿はない。 その代わりに、柵の向こうのガラスに紙が3枚並んで貼られているを見つけた。 その紙に目を通す。 誓約書と書かれた紙には、いろいろな注意事項や責任をテレビ局側は一切負わないと明記の後に、私、音歌 心優はカンガルーとして3日間動物園のカンガルーとして従事し、動物園スタッフに従う事を誓約しますとある。 カンガルーの名前はミユで呼ばれて可愛がってもらうという内容が細かくツラツラと書かれた後に、心優のサインが日付と共にあった。 愕然としながらも、心優の隣の誓約書を見ると内容は同じ。 名前だけが菊本 瑠美子はルミとなり、須津亜久太はアクタとなっていた。 2人とも形式的な事で内容は読まずにサインしてしまったのだろう。 しっかりと、心優と同様に2人のサインもあった。 呆然自失の心優だが、この事を早く2人に伝えようと動き出すが上手く歩けない。 お客さんもいるが、大声で2人を呼ぼうとしたが声が出ない。 心優はあのスタッフに差し入れてもらったドリンクにより声が奪われたのだと思った。 心優は目を閉じてあの時の状況を思い返す。 ドリンクを飲んで程なくして脱力し、床に横たわった心優の耳にスタッフの話し声が聞こえてきた。 「ディレクター、心優ちゃんの方は毛皮を縫合し、ラバースーツにも接着剤を塗ってから入ってもらい、フロートにも発泡ゴムの注入が終わり準備完了です」 「はい、これで接着剤は3日間外れる事はありません、はい、はい、ドリンクもしっかりと全部飲んで、口内麻酔も完了していますので、声も3日間は出ないです」 「はい!はい!こちらにスタッフを回して下さい」 心優は混濁する中で聞いていた声をはっきりと思い出した。 効果は3日間、どちらにせよ、カンガルーとして過ごすしか術がない事を心優は思い知った。 カンガルーとしての生活がいきなり始まった心優。 始まって早々、飼育員がやって来て水道水を飲ませてくれるのだが、かなり雑。 ホースで直接、カンガルーの顔を狙ってくる。 要らなければ逃げればいいのだが、着ぐるみを着ていてかなり喉が渇いていた心優は果敢に水道水を飲もうとするが上手くいかない。 それでも少量だけだが、水道水を飲めた。 あまり続けていると、溺れてしまいそうなので離れる。 その一部始終を見ていたルミとアクタがゆっくりと近づいて来た。 ルミたちも喉が渇いているのだろう。 同じようにして水道水を飲む。 人間扱いされない悔しさを3日間耐えなければならない。 心優は溢れてきた涙をグッと堪えた。 水を飲み終えたカンガルーたちに異変が起こる3匹とも妙な動きになる。 水道水を大量に飲み尿意をもよおしたのだ。 だが、亜久太はともかく女性の心優と瑠美子はその辺でオシッコをするわけにもいかない。 亜久太はあっさりと事を済ませたが、2人は我慢しながら、それほど広くない柵の中を右往左往する。 だが、我慢の限界はすぐに来た。 それもよりによって、お客さんの前で。 『ジョロジョロ』と音をたて、立ったままオシッコをするルミ。 それを見て開き直ったようにミユもオシッコをした。 恥ずかしくて恥ずかしくて涙が出てくる。 お客さんの「カンガルーオシッコしてるね」や「汚ねぇ!」の言葉は彼女たちの心を深くえぐった。 餌は林檎やパンを朝と夕方の2回与えられれる。 汚れたトレーに入れて差し出された餌を両手を使って食べる。 初日は抵抗があったが2日目以降にはトレーが汚れ、餌も汚れていたが空腹を満たすためにはなり振り構っていられなくなっていた。 次第に餌を与えて貰えるだけでもありがたいと思えるようになっていた。 冷える夜は3人で寄り添う形で3日間を過ごした。 当初はこの3日間が終わればスタッフに文句を言おうと息巻いていたが、時間の経過と共にそんな気力は削がれていった。 3日後、着ぐるみから解放された3人は力なく動物園を後にした。 その後、深夜番組では菊本瑠美子のカンガルーへの着替えシーン(サービスショットを含む)や動物園での生活、餌を貰って食べているシーンやホースで水を飲んでいるシーン、そして、着ぐるみを着たままの排泄もそれぞれ見えないところへ移動しての排泄シーンもしっかりと複数台の定点カメラで押さえられており、その全てが放送された。 完


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