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ごむらば
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売れない俳優Ⅴ

真空パックされて絶対絶命のシーン。 城ヶ崎が部屋に飛び込んできて、周りが慌ただしくなっている時に俺は拷問されるシーンをともにした彼女の事を知ることになるとは夢にも思っていなかった。 真空パックされ身動きの取れない状態で顔を密着させた彼女は小さな声で話始めた。 「羽田 和希さん、私は五條 若菜です」 「昔見た舞台であなたを見て役者を目指す様になりました」 俺はビックリして上手く言葉が出てきません。 まさか、この映画の主役が顔も見えないラバーマスクを被せられて拷問される演技をしているなんて想像もできなかったから。 そして、最後の最後でまさかの告白を受けたのですから。 「え、うそっ!」 驚きのあまり俺から出た言葉それだけでした。 なぜなら、俺は五條 若菜ちゃんの大ファンで今回の映画の話も生活の事もあるが、もしかすると若菜ちゃんに会えるかも知れないと思っていた節もありました。 撮影中も拷問をともに受ける彼女の事を気にしながらも若菜ちゃんをこっそり探していました。 それがまさか一緒に演技していたなんて夢にも思いませんでした。 「少し苦しくなってきましたね」 若菜ちゃんの言う通り、真空パックされた状態で話しているので苦しく感じる。 「失礼しますね」 若菜ちゃんはそう言うと、唇で俺の顔をなぞり俺の唇を探し当て唇を重ねて来た。 ラバーマスクの口には穴が開いていないが、鼻には穴が開いている。 俺は若菜ちゃんと唇を合わせながら、お互いの鼻に開いた穴を合わせる事で呼吸の交換をする。 同時にどちらともなく重ねた唇から舌が伸びてラバーマスク越しに舌を絡ませた。 時間にしてほんの数分であったが、夢のような時間でした。 拷問されるシーンが全て終わり、俺の出演シーンは全て終わりました。 また、名前も書かれていない倉庫のような控え室へと帰ってきました。 脱力しパイプ椅子に腰掛けます。 項垂れて大きな溜め息。 五條 若菜ちゃんと一緒だと分かっていたらもっと話しかけたのに。 後悔が後を断ちません。 「何やってんだ俺!」 そうは言っても出てくるのは溜め息だけです。 『コンコンコン!』 俺の控え室をノックする音。 俺は慌ててラバーマスクを脱ごうとしましたが脱げません。 城ヶ崎の言っていた事が嘘ではなく本当だと気づきますが後の祭り。 とにかく、控え室の扉を開けてみました。 そこにはスタッフらしき女性が立っていて、傍には小さなスーツケースがありました。 「これを」 それだけ言うと、女性は小さなスーツケースを控え室の中へ入れると去っていきました。 控え室の扉を閉め、再びパイプ椅子に座り後悔の続きを再開しようとして思い出します。 「あ、マスク脱げなくされてたんだ」 芝居の中で城ヶ崎の言っていた首に巻かれたものが融着してラバースーツが脱げなくなると言うのは本当だったのだと、鏡を見てしみじみ呟きます。 「ここまでリアリティ要らないのに」 そう言いながら、鏡を見ながらなんとかならないかやってみますが、どうにもなりません。 「これじゃあ、若菜ちゃんも大変だよな」 「うん、大変ですよ!」 くぐもってはいるが確かに声がした。 声がした方には先ほどスタッフが運び込んだ小さなスーツケースがある。 不審に思いながらも近づいてスーツケースをノックしてみる。 『コンコンコン!』 「入ってますよ」 「えー!」 俺は慌ててスーツケースを開くと、中には手足を小さく折り畳んで体を丸めた黒光りするマネキンが入っていた。 「よいしょ、よいしょ」 そう言いながら、マネキンがスーツケースから這い出てくる。 マネキンは手探りで俺を見つけると、抱きついて言った。 「また、会いましたね」 俺は黒光りするマネキンを抱きしめる。 そして言った。 「さっきの続きしてもいいかな?」 俺の言葉にマネキンは顔を上げて唇を差し出してくる。 そして俺はそれに応えた。 今度は楽に呼吸ができるので、ラバーマスク越しに唇を長い時間重ねて互いを確かめ合う。 「今日は撮影終わり?」 「はい!」 若菜ちゃんは元気答えた。 「ところでラバースーツ脱げないんだけど良い方法知らない?」 俺が聞くと若菜ちゃんは後ろに手を回して可愛い仕草で言う。 「ホテルまで私を運んでくれたら教えましょう」 そう言うと、ホテルのカードキーを俺に渡すと手探りでスーツケースの中へと戻っていく。 「閉めて下さい!」 俺は慌てて着てきた服を着て、出来るだけ顔が分からないように隠すと若菜ちゃんの入ったスーツケースを持ってホテルへと向かった。 無事にホテルに着いた俺と若菜ちゃんはラバースーツのまま、戯れてからスーツケースの中にあった剥離剤を使って無事にラバースーツを脱ぐ事が出来た。 その後、俺は五條 若菜と付き合い始めた。 彼女が一流女優となっていく傍ら俺も売れない俳優として、いつか彼女と同じ舞台に立てる様に今は必死に頑張っている。 完

Comments

コメントありがとうございます♪どう上手くまとめるか最後が難しいですが、ハッピーエンドでまとめられたと思います。

ごむらば

深刻に成りそうなシュチを続けて、 最後にめでたし\(^o^)/ ありがとうございましたゞ

isyoya


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