お天気お姉さんはダルマちゃん8
Added 2023-04-30 03:00:00 +0000 UTCラバースーツの重ね着で両手両足まで使えなくされて黒いダルマのようにされてしまった私、達磨 美晴(だるまみはる)は番組終了後に思わぬトラブルに巻き込まれましたが、大事に至る事はありませんでした。 一つ間違えれば大変な事になる事を実感し、誰かの補助がなければ何もできないそんな状況も興奮に変えて、今日も天気予報が外れて罰ゲームのラバースーツの重ね着は続きます。 でも、両手両足が全く使えなくなるほどラバースーツを重ね着させられて、まだ私に着せるラバースーツがあるのかと正直疑問に思っています。 そんな私がラバースーツ6枚を重ね着し、いつものように控え室で待機していると、女性スタッフがノックとともにラバースーツを持って入ってきました。 控え室には今までに着たラバースーツは全て置かれています。 だから女性スタッフが持ち込むラバースーツは新しい物になります。 今回持ち込まれたラバースーツは今までのものとどこか様子が違います。 女性スタッフに私の疑問をそのままぶつけてみます。 「あのー、そのラバースーツって今までのものと何か違いませんか?」 女性スタッフはラバースーツの違いに私が気付いてくれたことに笑顔で説明を始める。 「美晴さん、よく気付きましたね、これ厚みが違うんですよ!ウエットスーツなんかで使われるネオプレーンゴム素材を使ったラバースーツなんです」 “へー、そうなんだ“ と思いながらも女性スタッフが広げてくれたラバースーツを見るが、ダルマにされたラバースーツとは大差がないように思えた。 私はまだこの時、自分がとんでもなく悪い方向へと転がり始めていることには全く気付いていませんでした。 いつものように女性スタッフに途中から介助してもらいながら重ね着させてもらい、前回までのラバースーツでのダルマ状態となった私は最後にウエットスーツ素材のラバースーツを着せてもらいます。 厚み以外に特に違いはないと思っていました、 天気予報をお届けし終わるまでは。 いつものように天気予報が終わると私はラバースーツを重ね着されてどんどんゴムの塊にされていきます。 そして、ウエットスーツ素材のラバースーツを着せられた時、初めて首周りがかなり分厚く作られていることに気付きました。 私の首はほとんど無くなり、見た目は本当のダルマに近づいたような気がします。 それに唯一動いた首がほとんど動かせなくなりました。 そんな私の変わりゆく姿には誰も触れずに番組は進行していきます。 翌日もそのまた翌日も私の天気予報は外れ、私の体はラバースーツを重ね着させられて、本当のダルマのような姿になってしまいました。 そこで久々に司会者が私の変わり果てた姿について触れます。 「美晴ちゃん、もうすっかりその姿はゴムのダルマだねー、ここまで天気予報が外れるとは正直思ってなかったよ、そこで美晴ちゃん救済の緊急企画、来週月曜日は年度が変わるという事もあり出演者全員で初のロケに出たいと思います!」 大盛り上がりのスタジオで、私だけは黒いゴムのダルマ姿で何のリアクションも取れないまま番組は終了。 月曜日のロケ先がどこかも教えて貰えずに当日を迎えることとなりました。 番組終了後、いつものように女性スタッフが私を控え室へと運んでくれるのですが、今日は何故か男性スタッフも同行してきます。 控え室に入ると、スタッフ2人掛かりで、ダルマとなった私の体の計測を始めました。 男性スタッフが計り、女性スタッフが記録を取るといった具合です。 計測が済むと男性スタッフは「お疲れ様です」の挨拶とともに控え室を出て行きました。 残って私の介助をしてくれる女性スタッフになぜ計測をしていたのか聞いてみましたが、上からの指示で計測しただけとの事。 詳しい事は何も聞かされていないようでした。 言い知れぬ不安に襲われる私に女性スタッフが一つ教えてくれたのは、来週もこの上からまたラバースーツを重ね着させられるという事。 そして、ロケ地は都内のお寺だという事を教えてもらい、私はある事が頭を過ぎりました。 それは共演者が私が初めてダルマのように手足を使えなくされた時に言った言葉です。 【あっ、達磨といえば、あるお寺の池に達磨に願い事を書いて放り込むと願いが叶う池があったような】 私はロケで手も足も首さえも動かせないゴムダルマ姿で池に放り込まれるのではないかという想像をし、急に不安に襲われました。 “まさかね“ 一つ間違えれば命を落としかねないような事をテレビの生放送でやるとは考えにくいとは思うのですが、不安は拭いきれません。 そして月曜を迎えるのです。 気づけば私は体を全く動かせないラバースーツの重ね着でダルマ姿にされて宙吊りにされていました。 眼下には池とお寺の境内も視界に入ります。 私の想像通り、ダルマ姿でこれから池へ落とされてしまうようです。 首が全く動かせないので見えませんが、私の体には錘が巻きつけられてようで、体がもの凄い力で下へと引っ張られています。 「カウントいきまーす!」 司会者の号令とともに共演者が笑顔で声を張り上げています。 「3、2、1、GO!」 私を吊るしていたワイヤーが外れて落下していく。 スローモーションのように私の目には共演者たちが私を見て笑っている姿がしっかりと見えました。 『バシャーン!!』 大きな音と水飛沫を上げ、私は池に落ちた。 そんな私を見ながら、司会者も共演者も手を合わせて何か呟いている。 “そっか、ダルマを池に落として沈むまでに願い事を言えば願いが叶うんだ、じゃあ、私はいったいどうなるの?“ そう思っている間にも、お世辞にも綺麗とはいえない池の中へとどんどん沈んでいく私。 視界はすぐに濁った水で見えなくなり、春とはいえ冷たい水が重ね着したラバースーツの中に入り込んでくる。 “冷たっ!“ そう思った時、呼吸できない事に気づいて慌てるがどうしようもない。 濁った水の向こうに見えていた撮影用の照明もほとんど届かなくなり、真っ暗闇の中へと私の体は沈んでいく。 “誰も助けてくれないんだ“ 力なくそう思い諦めた。 『ドンドンドン!』 「大丈夫ですか?美晴さん!私、次の仕事があるので行きますね」 それは女性スタッフの声だった。 私はラバースーツを重ね着したまま、シャワーを浴びている途中で疲れて座り込んで眠っていました。 天気予報が的中しない不甲斐なさと置き物のような扱いをされるために、21時の番組の合間のニュースを読み上げると、すぐにこの控え室に来てラバースーツの重ね着をする日々に疲れていたのでしょう。 シャワーもそこそこにラバースーツを脱ごうとして座り込み、そのまま眠ってしまっていたみたいです。 私は深呼吸すると立ち上がり、ラバースーツを脱いで帰り支度を始めました。 夢で見た事が現実にならない事だけを願って。