18禁アート
Added 2023-05-30 03:00:00 +0000 UTC高校の文化祭で、美術部の【18禁アート】というものに凄く気になり惹かれて俺は中に入った。 入口の受付で学生証を提出して18歳以上である事を確認してもらってから、案内の用紙とガムテープを渡されて部屋の奥へと進む。 奥の部屋へ進むと遮光カーテンで真っ暗にされた部屋の中央に赤い光が当てられた棒状の物が見えてきた。 キラキラと光を反射している物は少しだが動いているようにも見える。 床にはブルーシートが敷かれ、その中央にそれはあった。 近づいて分かったことは棒状の物は天井から鎖で吊るされているという事。 そして棒状の物と思っていた物は人であるという事。 足元はヒールの高いブーツを履いており、黒い体に密着する一体型のスーツの様なものを着ている。 マスクも被っているようだが、ガスマスクをしているので、顔まではハッキリとは見えない。 ガスマスクのホースの先は天井の方へと伸びていて呼吸音までは聞こえない。 全身がラップで覆われているので、それ以上の情報は得られなかったのだが、一つ分かったことはこの棒状の物は女の子であるという事。 ヒールの高いブーツを履いていても俺より身長が低く、ラップ越しでも分かるほど大きな胸が潰されていたから。 入口で渡された用紙に目をやると、【18禁アートにご協力を】とあり、【入口で渡されたガムテープを使ってあなたのインスピレーションの赴くままのアート作品を】と続いていた。 つまり、俺が手にしているガムテープをどう使おうと俺の自由ということになる。 俺は目の前の棒状の物と化した女の子にガムテープを足元から丁寧に巻いていく。 おそらく、この後いろいろな人が彼女にガムテープをくっ付けていくだろう。 それが物ではなく女の子だと分かれば抱きついたりイタズラする輩が出てくるかもしない。 そう思いガムテープで女の子の体を全て覆い尽くし人である感じを無くした時、俺が手にしていたガムテープも無くなっていた。 取り敢えずこれで大丈夫だろう。 俺は拘束され棒状の物と化した女の子に声をかけた。 「頑張って下さいね」と。 女の子が少し頷くように動いたように見え、俺は部屋を後にした。 俺があの棒状の物にされていた女の子に優しくしたのには理由がある。 それは美術部だから。 俺の幼馴染みの早川 千夏(はやかわちなつ)も美術部。 俺と千夏は幼馴染みの関係であったが、俺はずっと片想いをしている。 大学進学で俺は地元の大学へ、千夏は都心の芸術大学への進学が決まっている。 だから、この文化祭終わりに俺は告白しようと思っている。 千夏に会うために、そして妙なネーミングの【18禁アート】が気になり、いち早く足を運んだのだが千夏には会えなかった。 あの物にされた女の子に優しくすれば、その事が千夏に伝わって俺の評価が少しでもよくなるのではないかと思い紳士的に対応したのだ。 明るい場所へ移動して【18禁アート】で渡された用紙に目を通す。 9:00〜ガムテープアート 9:40〜ビニールテープアート 10:20〜スプレー落書きアート 11:00〜粘土アート 11:40〜ペンキペイントアート ガムテープアートの後は入れ替えが行われて、ビニールテープアートになるのか。 俺はそう思い9時40分を待って、千夏に会うために再び【18禁アート】を訪れた。 同じように入口で案内の用紙と好きな色のビニールテープを選んで受け取る。 だが受付に千夏の姿はなかった。 中に入ると遮光カーテンが外されていてブルーシートが敷かれた部屋はそのまま。 部屋の中央には初めて見た時と変わらず、棒状の物と化した女子がそのまま鎖で吊るされていた。 ガムテープが乱雑に貼られた上から、すでにビニールテープが幾つか巻かれている。 胸の辺りだろうか巻かれていたビニールテープに合わせ統一感がでるように俺もビニールを巻いていき、野暮ったいガムテープの塊が少し艶やかになった。 【18禁アート】の部屋を出た俺はドキドキしていた。 アートの項目毎に入れ替わるとばかり思っていたのに、そのままだったから。 そして俺が初めに見たラップを巻かれた女の子は未だに誰の目にも触れていない。 それは俺が全身を覆うようにガムテープを巻いて女の子をただの物と化したから。 だから後の人は全てただの棒状の物にガムテープやビニールテープを貼り付けた、ただのアート作品だと思っているだろう。 俺だけがガムテープの下に拘束され隠された女の子の存在を知っている。 そして、拘束された女の子は時間毎に決められたプログラムに沿ってアート作品として姿を変えていくと思うと堪らなく興奮してくる。 次は10時20分〜スプレー落書きアート。 初めの方だと変化が見られないので、開始から15分ほど置いて【18禁アート】の部屋へ行くことにした。 意外にも混み合い始めた【18禁アート】に俺は締切のギリギリでスプレー落書きアートの受付をする事ができた。 受付で好きな色のスプレーを手に取り部屋の中へ。 窓は全開でシンナーの匂いも立ち込めている。 部屋の中央では鎖で吊られたアート作品にはビニールテープが無造作に貼られ、見るも無惨にスプレーで落書きされていた。 アート作品には程遠い出来にはなっていると思ったが、見る人が見ればアートなのかも知れない。 こんなにガムテープやビニールテープを貼られ、スプレーで落書きされているアート作品の核がまさか人間、しかも女の子だんなんて誰も思わないだろう。 アート作品には【死ね】や【クソ!】、【殺す】といった心無い落書きも見られた。 俺はそんな文字を手にした青いスプレーで上書きし消していった。 俺がスプレーを使い切ると美術部員が入って来て、次の粘土アートの準備を始める。 スプレーで無惨な落書きをされたアート作品に黒っぽい布を巻き付けていく。 それを見ていると、美術部員に出口へと誘導される。 「次の粘土アートは11時からになります」 俺は促されるまま部屋を出た。 そして【18禁アート】の部屋を出て気づいた。 いつの間にか千夏よりもあのアート作品として拘束されている女の子に心を奪われている事に。 次は11時から粘土アート、それほど待たずに受付が始まるが、俺はまたギリギリに滑り込むことにした。 次の準備も垣間見ることができるから。 そして、終わり間際だとアート作品の変わりようが一番楽しめるから。 拘束されている女の子が粘土アートでどんな姿にされてしまっているのか期待しながらその時を待った。 少し腹が減ってきたので、屋外で出している露店に立ち寄り焼きそばを食べてから戻ると、ちょうど受付が終わりかけだった。 受付では白い紙粘土のようなものを渡されてから奥の部屋へと進む。 落書きアート後に巻かれていた黒っぽい布は紙粘土を付着させ易くするものだと部屋に入って分かった。 アート作品はというと、紙粘土でほぼ覆い尽くされ黒い部分は少なくなり紙粘土の白に変わっていた。 アート作品には様々な装飾が施されていた。 左右で大きさも形も違うオッパイが付けられ、股の辺りにはペニスのような物も付いていた。 顔にはタラコ唇が付けられ、飛び出した目玉や大き過ぎる鼻も付いていた。 他にも細かなトゲのようなものだったり、ツノだったり、個人個人思い思いに紙粘土でアート作品を装飾して楽しんだ事が窺えた。 俺はこのアート作品に心を奪われたことから、紙粘土で小さなハートを作って、不揃いのオッパイの左側の少し上にくっ付けた。 俺のあとも数人が粘土アートを楽しんだ。 「次が最後だな!」 ワクワクしながら自然と出た言葉。 11時40分からペンキペイントアートだ。 終わりの方に行ったらアート作品にされた女の子に会えるかも知れないと思った。 今までの傾向からアートの時間は30分。 だから、12時を少し回ってから行けばちょうど最後になるだろうと考えた。 あまり早く行くとそのままペンキでペイントして終わってしまうと部屋から出ないと行けないのでギリギリまではやる気持ちを抑えた。 時間12時5分、いい頃合いだ。 俺は立ち上がり【18禁アート】を目指した。 しかし、現地に着いた俺は絶望する。 教室の扉が閉まり、貼り紙が。 【18禁アート】は終了しました 「え、だってまだ30分経ってないよ!」 心からの叫び。 俺は肩を落として【18禁アート】が行われていた教室の前で未練がましく立ち尽くしていた。 俺の背後を行き交う人々、そんな中俺に声を掛ける人物が。 「お!仙道 達也(せんどうたつや)ちょうどいいところにいた!」 俺に声を掛けてきたのは秋元 菜々子(あきもとななこ)、美術部の部長で中学からの付き合いだ。 フルネームで呼ばれたことに突っ込みつつ、何がちょうど良かったのか聞いてみる。 秋元の話では顧問の武田邦夫 先生に手伝ってもらおうと呼びにいったのだが、席を外していなかったらしい。 諦めて戻ってきたところに俺がいたという。 「秋元、何を手伝えばいいんだ?」 「来て!」 俺が手伝ってくれると判断した秋元は俺の手を引いて【18禁アート】の部屋へと入っていく。 ペンキペイントで汚れた部屋の片付けを手伝わされるのかと身構える俺。 部屋に入ると、紙粘土の上から派手にペンキでペイントされたアート作品がそこにあった。 先ほどまで激しくペンキを掛けられたり塗られたりしたのだろう、所々でペンキが滴っている。 そして、その横では美術部員の女の子たちが、天井の鎖を外そうと脚立に上り背伸びをしていたが届きそうになかった。 「仙道、鎖外して!あんた背が高いから届くでしょ!」 「ああ!」 秋元に言われて、俺は美術部員の女の子と入れ替わりで脚立に上り天井から吊るしていた鎖を外した。 「おお!」 拍手が起こるが素直に喜べない。 俺はただ周りの美術部員の女の子たちより背が高かっただけだから。 鎖を外されても直立しているアート作品だがフラフラしている。 軍手をした数人の美術部員がアート作品を支えながらゆっくりと横倒しにした。 そして、床に敷かれたブルーシートでアート作品を包んでいく。 ブルーシートで包まれたアート作品の上下をガムテープで縛るようにしてブルーシートが広がらないようにし、ブルーシートの上側から伸びるホースも引き摺らないようにブルーシートに固定した。 なんだか気合いの入る美術部員たちに部長の秋元が言う。 「あなたたちはこの部屋の片付けをお願い、アート作品は私と仙道で運ぶから」 秋元がそう言うと美術部員たちは教室の片付けを始めた。 「仙道、部室まで運んで!」 「え?2人で運ぶんじゃないの?」 「大丈夫よ、軽いからあなたが運んであげる方がアート作品も喜ぶと思うわ」 秋元の言葉にアート作品が少し動いた気がした。 俺はブルーシートに包まれたアート作品を担いで、秋元に着いて行く。 アート作品から伸びるホースからは温かい空気が出ていた。 美術部の部室の床には十分なスペースが取られその上にはビニールシートが敷かれていた。 そして、アート作品を解体できるように木槌やハサミが用意されていた。 「仙道、これ!」 そう言って秋元は雨合羽とゴム手袋を俺に渡してきた。 「これで汚れないと思うけど、あと慎重に解体してね、じゃあ、後はよろしく!」 そう言うと、秋元は俺とアート作品を残して部室を出て行ってしまった。 “正直、まさかまさかだ“ アート作品が解体され中の女の子を見られるかも知れないと期待していたが、まさか俺一人で解体する事になるとは。 ブルーシートに包まれたアート作品、その上のホースからは呼吸音が今ならハッキリと聞こえる。 そして、俺の心臓の鼓動も聞こえてきそうだ。 ブルーシートに貼られたガムテープを外し、まずはブルーシートを広げた。 ブルーシートにはペンキがあちらこちらに付着している。 ガムテープを貼る前の姿を見ていなければ、目の前に転がるペンキで汚れた歪な物体の中身が人だなんて絶対思わないだろう。 俺はまず木槌を手にしてペンキの塗られた紙粘土を壊す事にした。 ただ、解体するだけなら力一杯叩けばいいのだが、そういう訳にはいかない。 『トントン』と優しく丁寧に紙粘土にヒビを入れては手で剥がしていく。 紙粘土の大半が剥がれ、中から黒っぽい布が現れる。 それを今度はハサミで中身を傷つけないように外していく。 ようやく、黒っぽい布が外れた時には一緒に紙粘土も外れ、部室の床は大変なことになっていた。 緊張の中、慎重に解体作業を進める俺の額には大粒の汗が滲んでいる。 解体もそうだが、雨合羽を着ているので俺の体温が逃げないのもある。 ふと、思ったアート作品の中の人は汗だくになっているのでは、午前中ずっと閉じごられていたのだから相当キツイだろ。 スプレー落書きアートを下のビニールテープ毎一気に剥がして取り除いていく。 うまい具合にガムテープまで取れることもあったが、道のりは長い。 ビニールテープにガムテープが交錯し、簡単には剥がせないところも多い。 そんな時は慎重に引っ張りながらハサミを入れていく。 ペンキに紙粘土、黒っぽい布切れにビニールテープやガムテープが部屋中に散らばってようやく、俺が初めて見たラップに包まれたガスマスク姿が現れたが、まだそれは一部。 それから汗で視界を歪ませながらも、体や頭に巻き付いたビニールテープやガムテープを必死に外した。 最後にラップを爪を立てて破り、アート作品の核である女の子の解体を済ませた。 ラップの下から出てきた体はラップと同じくテカリの黒色をしている。 だが、こんなに長時間に渡って拘束され、アート作品になっていたのに汗一つかいていない。 女の子は自らガスマスクを外したのだが、出てきたのはガスマスクの覗き穴から見えていた黒いノッペラボウな顔。 俺はガスマスクのレンズがサングラスのようになっていると思っていたのでかなり驚いた。 全身が黒光りしヌメヌメとした体にノッペラボウの女の子。 俺は夢でも見ているのかと驚いていると、女の子が俺に抱きついてきた。 ヌメヌメとして冷たそうに見えた体はかなりの熱を持っている。 ノッペラボウの女の子は俺の耳に顔を近づけて言う。 「達也ありがとう、好きだよ!」 到底人には見えない黒光りしたヌメヌメとした人のようなものが今日初めて発した言葉がそれだったから。 そしてその声には聞き覚えがある。 俺は黒光りするヌメヌメとした体を抱きしめて言う。 「千夏、今日ずっと探してたんだよ、告白しようと思って……先越されちゃったな」 俺がそう言うとノッペラボウの顔が近づいてきて俺と唇を重ねた。 直接ではないが、温かく柔らかい唇。 俺は人には見えない黒光りするヌメヌメの千夏としばらく唇を重ねた。 その後、俺は一旦部室から出て着替えを済ませた千夏と文化祭を手を繋いで回ることに。 千夏が着ていた黒光りするものはラバースーツというらしい。 背中にファスナーなどもなく、本当に驚いた事を伝えると千夏が教えてくれた。 ラバーつまりゴムなので生地を伸ばして着ることができるらしい。 ちなみに汗が外へ出さないようにラバースーツもノッペラボウのマスクも重ね着していたらしい。 文化祭を回りながら、俺はお願いしてみた。 今度は俺だけの【18禁アート】をやらせて欲しいと。 千夏は俺から逃げるようにして答える。 「達也が良い子にしてたらね」 そんな千夏からは制汗剤の匂いに混じって汗の匂いがした。 “暑かったんだろうね、千夏!“ おしまい
Comments
コメントありがとうございます。けしからん高校をもっとあればいいなぁと思いますね。
ごむらば
2023-06-02 22:34:48 +0000 UTCけしからん高校です、是非!潜入したいです。(゚_゚)/
isyoya
2023-06-02 16:12:16 +0000 UTC