妻に言われた通り家から少し離れたスーパーへ買い物へ向かった。 歩いてスーパーへ行き、頼まれていたごま油と美味しそうなお菓子もあったので、ついでに買った。 スーパーの買い物が不慣れな俺はごま油を見つけるのに少し時間は掛かったが、ちゃんと見つけて買って帰った。 思ったより時間が掛かったので、家に入るとすっかり夕飯のいい匂いがしていた。 「ただいま!」 玄関から声を掛けるが返事はない。 キッチンに買い物袋を置いて妻を探すが見当たらない。 調子が悪くなったのかと思い寝室を覗きにいくと、ベッドな布団に膨らみがある。 俺は静かにベッドに近づきそして布団の中へ手を突っ込んで妻の体に触れてみた。 いつもなら「もぉう!」と嫌がる妻だが、今日はいつもと違い声がくぐもっている感じがした。 それに何か手触りが気持ち良かった。 布団を思いっきり捲ってみて俺は驚いた。 そこには先ほど見たマネキン人間が横になっていたから。 「え?あれ、なんで?」 黒いマネキン人間は起き上がり俺と向き合う。 そしてくぐもった声で説明を始める。 「実はね、さっきのテレビ番組で貴方が凄く興味を持ったマネキン人間は私でした!」 急なことで俺の頭は妻の言っていることがさっぱり分からない。 キョトンとして固まっている俺に妻が説明を始める。 「私の女友達でね、パフォーマーをしている子がいて、あの番組に出演する予定だったんだけど、少し前にインフルエンザになっちゃっていけなくなったんだ」 俺は妻の説明にウンウンと頷いて話を聞く。 「それで彼女とほぼ同じ体型の私に連絡が来て、何もしなくていいからマネキン人間になって番組に出演して欲しいと言われたわけ」 「それであとは貴方が番組で見た通りよ!」 俺はただただ頷く事しかできなかった。 「ところで、番組のマネキン人間を再現して欲しい?」 俺は壊れた人形のように何度も頷いた。 「一人じゃ、できないから貴方も協力してね」 俺はまた壊れた人形のように何度も頷いた。 目の前にいるマネキン人間から妻の声がする違和感に声も出せず、俺はただ頷く事しかできなかった。 妻に言われるまま、寝室のクローゼットに入っていたスーツケースを出してきて開くと、そこにはいろいろな道具が詰め込まれていた。 それは先ほどテレビ番組で見たものとそれ以外のものも含まれていた。 「貴方には特別に友達から教えて貰った完全版を披露しようかな」 「えっ?番組のは違うの?」 「うん、少し恥ずかしかったから、私なりに選んだもので拘束して貰ったの」 そう説明する妻の声は少し恥ずかしそうに聞こえた。 「あと、道具類はまた友達に返却するから大事に扱ってね」 「う、うん、分かった」 「じゃあ、まずは白いシャツの様なものを探して、拘束衣って言うんだけど、手の先が袖から出ないやつ」 俺はすぐに拘束衣を見つけると妻の指示通りに着せていく。 両手を体に巻きつけるようにしてから背中で、左右の手を繋いで使えないようにした。 「これって囚人のようで嫌だったから、ワザと着なかったのよ」 と妻は説明してくれた。 「次はラップを出して、拘束衣の上からキツく巻いていって」 「うん、分かった」 俺はそう答えると、拘束衣を隠す様にマネキン人間となった妻の体にラップを巻いていった。 首元までラップを巻き終えると妻が言う。 「頭もラップ巻いちゃって!」 「ええ、そんなことしたら苦しいよ!」 「大丈夫、大丈夫!しっかりギチギチに巻いてね」 そうは言われてもどうしてもギチギチにラップを巻くことはできなかった。 「次はね、スーツケースの中にあるオイルを頭から肩くらいまで塗ってくれる?」 俺がスーツケースの中を物色すると、オイルがはいっていると思しきボトルを見つけた。 それを上半身をラップでぐるぐる巻きにしたマネキン人間の妻に塗っていく。 「どう?上手く塗れた?」 「うん、まあ」 俺は微妙な返事を返す。 その理由はラップをしっかりとまいていなかったので、ラップの隙間からオイルが入り込みマネキン人間の体や頭のところどころにオイルの染みができていたから。 「次はね、黒いゴムのシャツのようなものを着せてね、マスクもあるからね」 スーツケース内を再び物色すると見つけた。 持ち上げて広げてみると、妻の言う黒いゴムのシャツはまるで大きなコンドームの様な形であった。 頭が入るマスク部分を見たがパッと見だが、穴は全く見当たらなかった。 「ゴムのシャツ見つけたよ!着せていくね」 「うん!お願い」 俺は拘束衣とラップですでに上半身の自由を奪われた妻にコンドームのような形をした黒いゴムのシャツを着せていく。 ゴムで滑りが悪いと思ったがラップの上から塗ったオイルが潤滑剤となり、すんなりと着せる事ができた。 ただ、全身が真っ黒な上、手がないので妻の姿は到底人には見えない姿になっていた。 “妻は大丈夫なのだろうか?苦しくないのだろうか?” ゴムのシャツを着せている間も全く声を発しなかったので心配になり声を掛ける。 「ねぇ、大丈夫?苦しくない?」 「ああ、ええ大丈夫よ!どこまでいったかしら?」 その声は苦しいっといった感じではなかったのでひとまず安心した。 「じゃあこの後はテレビと同じようにしていって」 俺は妻に言われるまま、テレビ番組と同じようにコンドームのようによく伸びる薄い風船を見つけると、妻の入ったマネキン人間かも分からなくなった人のようなモノの頭に被せていく。 被せるとすぐに尋ねる。 「本当に苦しくない?大丈夫?」 「うん、大丈夫だよ!番組でも見たでしょ」 確かに番組でも見た。 しかも今は穴が全く見当たらないゴムのシャツまで着せている。 他人だと思って見ていても心配だったのだから、これが自分の愛する妻だと分かると心配せずにはいられない。 次はシリコン製のスイミングキャップを顔に被せるわけだが。 番組と全く同じスイミングキャップを手にすると中を覗いてみた。 細かな穴でも空いていて呼吸ができるのではないかと思ったから。 実はカラクリがあり、初めに被せたコンドームのような風船は薄く空気が通り、このスイミングキャップも実は穴が空いているのではないかと番組を見ながら推理していた。 スイミングキャップに穴は空いていないように見えたが俺が実際に被って確かめてみる。 だが、スイミングキャップを被るとすぐに視界が閉ざされ、呼吸をするたびにスイミングキャップは顔に張り付き呼吸はできなかった。 すぐにスイミングキャップを外して深呼吸する。 「はぁ、はぁ、はぁ、苦しいよ、こんなの顔に被せて本当に大丈夫?」 「貴方何してるの?大丈夫?」 妻からは俺が見えていないので心配してくれる。 「うん、大丈夫だよ!ちょっと確かめてただけ」 「じゃあ、スイミングキャップを顎に引っ掛けるようにして被せてね」 俺は妻に言われた通りにスイミングキャップを被せていく。 こんなものを被せられたら苦しくてすぐに暴れ出してしまうだろう。 だが、スイミングキャップを被せても妻は暴れるどころか平然としていた。 凄い状態になった妻、いや俺がこの状態にしたのだ。 そんな俺に妻が話し掛けてくる。 「途中で段取りが変わちゃったから、次はジャイアントバルーンを被せて」 そう言われて俺はスーツケースの中をまたまた物色すると出てきた。 ジャイアントバルーン、それにジャイアントバルーンを膨らませるためのブロワーも見つけた。 ジャイアントバルーンに人が入る動画は以前見たことがあった。 ブロワーで空気を注入して膨らませたジャイアントバルーンに頭から入っていく動画を。 番組ではジャイアントバルーンをすでに膨らませていたが、マネキン人間の頭からジャイアントバルーンの中へ入れていくシーンは部分的にしか映っていなかった。 ジャイアントバルーンを膨らませてから、取り敢えず俺にとっては初めての試みだがやってみる。 「じゃあ、被せるよ」 俺の声が聞こえたようで大きく体を縦に振る妻。 かなり大きく膨らませたジャイアントバルーンをマネキン人間とも呼び難い姿になった妻に頭から被せる。 案の定、ジャイアントバルーンからはかなり空気が抜けたが頭は入った。 ここから一気に体もジャイアントバルーンに入れてしまう。 「次は体にも被せるよ」 そう言うと頭だけジャイアントバルーンに収まった妻はその場にうんこ座りする。 俺がジャイアントバルーンを被せるのに合わせて妻が立ち上がり一気に膝上までジャイアントバルーンを被せ、テレビ番組で見た姿となった。 「本当に苦しくない?苦しかったらすぐに言ってね」 俺の言葉に妻は大きく体を縦に2回振った。 「じゃあ、次はベルトもしてね」 かなりくぐもった声で妻の言葉を聞き取るのが難しくなってきた。 「うん、分かった」 俺はそう答えてスーツケースの中を物色すると、ベルトが3本見つかり首輪も出てきた。 そして、ベルトと一緒に黒光りしたエナメルの編み上げニーハイブーツも出てきた。 妻に尋ねる。 「ベルトがいっぱいあったけど、どれ?」 妻は少し体を横にして悩んでいる様な素振りを見せた後答える。 「ベルトは全部体に巻いて首輪もね、あとブーツも履かせてくれない?」 何か迷ったように言う妻の声はくぐもって聞き取れないのはもちろんだが、恥ずかしそうに言っているように聞こえた。 妻に言われた通りベルトを巻こうとした時、妻が話しかけるてくる。 「ねぇ、さっきのオイル塗ってからベルトを巻いて」 俺は妻に言われた通りにジャイアントバルーンにオイルを塗っていく。 黒光りし妖艶にも見えなくはないが人ではない姿になっているため異様さの方が優っていた。 腰、拘束衣で腕を交差した下と上と順番にベルトを巻いていき、首輪も付けた。 そして、言われた通りに編み上げのニーハイブーツを履かせていく。 この編み上げのニーハイブーツにファスナーはなく編み上げて履かせていかなければならない。 逆に言えば簡単には脱げないニーハイブーツという事になる。 妻に言われた通りに全てを装着した。 小刻みに震えている妻を見て心配になった俺は声を掛ける。 「大丈夫?苦しかったらすぐに脱がせるから言ってね」 「ありがとう、大丈夫よ」 妻からすぐに返事が返ってきた。 「もう一つお願いしてもいい?」 「何?」 「今から私の姿を撮影してくれないかな?」 「別に構わないよ!」 妻のお願いは俺にとっては好都合だった。 テレビ番組で見た姿よりも拘束され、いや俺が拘束してより興奮を掻き立てられていたのだが、妻に言われるがまま懸命にやってきたので、動画を撮りたくても撮ることもできなかったから。 初めの方こそ妻は本当に大丈夫なのだろうかと心配したが、今はもう大丈夫だろうと思える様になってきていた。 ビデオカメラを準備すると、寝室からリビングへと移動し両手が使えない妻を床にうつ伏せに寝かせて撮影を開始した。