妻に指示された通り幾重もの呼吸ができないような措置をした上、両手も使えず上半身が全てジャイアントバルーンに呑み込まれ、かつそのバルーンは簡単には外れないように3本のベルトと首輪で固定した。 どう見ても呼吸できない状態にし、足にはピンヒールのエナメルの編み上げのニーハイブーツを履かせて床に寝かせてからビデオで撮影を開始する俺。 そんな人間に対する仕打ちとは到底思えない状態にしたのは俺であり、されているのは俺の妻だ。 そんな人とも思えない姿にされた妻は合図をしてからカメラが回しても全く動かない。 そのため、カメラを近づけてうつ伏せに寝かせた妻を周りから撮影する。 あまりにも動かないので心配になってきたので、ビデオカメラを止めてから声を掛ける。 「大丈夫?」 俺の呼び掛けにすぐには反応しない妻に今度は体に触れて声を掛けた。 「ねぇ、本当に大丈夫?」 「あっ、うう、うん、大丈夫!」 かなりくぐもった返事が返ってきた。 満足に呼吸もできずに酸素の供給が少なくなり、妻は頭も体も満足に動かなくなってきていると思った俺はビデオカメラを撮影状態にして妻がフレーム内に入る様に調整してから解放しようとした時だった。 妻が突然動き出した。 お尻を持ち上げるように足を曲げていく。 何となくだが立とうとしている様だ。 体を起こそうとすると、ジャイアントバルーンで覆われた上半身部分に塗ったオイルがフローリングの床を滑り上手く立てない。 シャクトリムシの様な動きをする妻。 そんな妻の背後から俺はビデオカメラで撮影を続けた。 それでも壁まで床を這うように滑らせていき、壁を支えに上半身を固定してエナメルの編み上げブーツから『ギチギチ』と音をたてながら立とうとしている。 何度か失敗し女の子座りになったが、3度目の挑戦で立ち上がる事ができた。 さすがに疲れた様子で少し前傾になり呼吸する妻を見て思う。 どうなっているのか分からないが、両手が使えない状況にも関わらず自力で立とうと頑張れるほどだったのでしっかりと呼吸ができているのだと思った。 そんな様子を撮影していると、少し呼吸の落ち着いた妻がくぐもった声で言う。 「撮影を一旦止めて!」 「うん、分かった」 俺はそう答えてビデオ撮影を止めた。 苦しそうにしている妻に俺は声を掛けた。 「もうそろそろ、解放しようか?」 俺の問いに妻は体を左右に振ると、椅子に座らせて欲しいと伝えてきた。 俺は妻の二の腕辺りを掴んでゆっくりと誘導し、ダイニングの椅子へと座らせた。 妻をゆっくりと椅子に座らせらせると、また妻が伝えてくる。 スーツケースに入った業務用ラップで妻の足元から片足ずつラップを巻いていき、妻を人間椅子にして欲しいと言うのだ。 しかも、ラップは全て使い切るまで巻きつけて欲しいとの事だった。 俺はビデオカメラを回してから妻に言われた通りに片足ずつ椅子の脚にラップを巻いて固定を始める。 椅子の脚と妻の編み上げニーハイブーツを履いた左足をラップで固定していた時だった。 ラップの『ミチミチ』という音と違い明らかに呼吸する様な音が何処からか聞こえてきた。 耳を澄まして音の出所を確かめる。 音の出所はジャイアントバルーンでミニスカートの様になった股の奥の方からだった。 俺はミニスカートの様になっている股のところへ手を差し入れてみる。 俺が手を入れたことで妻のうちももに触れて少し反応し、股を閉じようとする妻に構わずさらに奥へと手を突っ込んだ。 股の奥からは熱く湿った空気の出入りを感じた。 “なるほど!ここから呼吸していたのか” 俺は一人妻が窒息しないカラクリに納得して頷く。 妻の呼吸を確認した俺はそのまま座面、背もたれとラップを巻いていく。 かなり厳重にぐるぐる巻きにはしたが、透明なラップ越しに黒光りした体が透けて見える。 「頭はどうするの?」 俺が尋ねると少し遅れて妻から答えが返ってくる。 「綺麗に巻いて貰えそうならお願い!」 「分かった!」 もう完全に椅子にしか見えなくなった妻。 かなり厳重にラップを消費するように巻いたのだが、さすがと言うべきか業務用ラップはかなりの量を残した。 全部使い切って欲しいという妻の希望を叶えるため、今度は頭から足の方へラップを巻くのを折り返していく。 そうして業務ラップを使い切るころにはラップ越しに見えていた黒光りしたモノと化した妻の体は光沢がかった白色となり、完全に椅子にしか見えなくなっていた。 ラップを巻き終えた俺は妻の人間椅子に座ってみた。 普段のダイニングの椅子に比べ、クッション性があり多重拘束により熱を持っているため温かみもある。 背もたれに体を預けてラップで拘束した妻の顔辺りに近づいて話し掛ける。 「この後はどうするの?」 俺が話し掛けてもすぐには答えは返ってこない。 どうしようかと考えている様子。 ただ、俺のすぐに近くには股まで伸びるチューブでもあるのだろう、少し苦しそうに呼吸するような音が聞こえ、それに伴い背もたれが上下するのを感じた。 「んー、んー、座らないで苦しいよ」 かなりくぐもった絞り出すような声がすぐ近くから聞こえてきて俺は慌てて椅子から立ち上がった。 「ゴメン、ゴメン、大丈夫?」 俺は柔らかく温かい椅子の快適さに全体重を掛けてもたれかかっていた。 妻から返事はない。 ただ、苦しそうに呼吸をしているはラップが音を立て、お腹の辺りが仕切りに動いているので分かった。 俺は苦しそうに呼吸している人間椅子を見ていてある事を思いついた。 それは買い替える前の車で使っていたフェイクレザーの座席のシートカバー。 車を買い替える少し前に購入したので、まだ新品同様だったので保管しておいた。 そんな車のシートカバーが目の前の人間椅子にピッタリ装着できそうだった。 早速、物置の奥に仕舞ってあったシートカバーを引っ張り出し、人間椅子となった妻の頭から被せていく。 いろいろ着せたり、被せたりしたため嵩が増した妻に車のシートカバーは僅かに小さい感じがしたが、押し込んでいくと意外にもピッタリと装着する事ができた。 そして座面もいい感じに装着する事ができた。 ラップを巻いただけの無骨な人間椅子とは違い、フェイクレザーのシートカバーで少しだけだが人間椅子に高級感が出た。 そんな人間椅子を満足気に眺めている時だった。 『ピンポーン!』 家のインターホンが鳴った。 宅配便か何かだと思い取り敢えず出てみたのだが、俺は一気に血の気が引いた。