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ごむらば
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性処理ラバー人形 【想いは募る】

製造番号1023号のナンバーが印字されたラバー人形が横たわる。 当たり前だが、見た目は【YOU】や【SAKURA】と全く同じだ。 黒光りしたノッペラボウで、女性らしい胸の膨らみとお股には筋もちゃんとある。 白のワンピースを着て横たわるラバー人形を脱がせながら、このラバー人形も【YOU】のような感度だったらいいのにと期待を込めて名前を考えた。 ラバーの白いワンピースには光沢があり、上品に光源からの光を反射していた。 真珠みたいだから【PEARL】にしよう、そう決めた。 「君の名前は【PEARL】だ!」 「【PEARL】今から点検を始める」 そう声を掛けたが、やはり【YOU】の時とは違い【PEARL】も【SAKURA】の時と同様に全く反応がなかった。 この時点で俺の心に半ば諦めが芽生え始める。 きっと【PEARL】にも期待できない……と。 案の定【PEARL】は全ての項目が合格こそしたものの、優秀を一つも得ることなく、点検は終了した。 【製造番号】1023号 【名称】 PEARL 【点検者】 加納 紫音(かのうしおん) 【点検日】 4月12日 チェック1〜7まで全て 【合格】 と記入した書類を検査官に提出して、梱包へ向かう。 こうなってくると梱包も面倒になってくる。 【SAKURA】の時と同様に梱包を済ませると、すぐに作業台へと戻る俺の胸中は複雑だった。 次こそはという期待がないわけではないが、それ以上にどうせ次も碌なラバー人形ではないだろうというある種の達観が芽生えていた。 所定の位置につき、作業台を見た。 製造番号1031号のラバー人形が今までと同じように到着していた。 どこからどう見ても他のラバー人形たちと容姿は同じ。違うのはワンピースの色が青だということだけ。 いい加減辟易し始めていた俺は、 どうせこの人形も欠陥品に違いないとの思いから作業が少しづつ雑になっていった。 俺はラバー人形のワンピースを脱がせながらラバー製の青色のワンピースから連想して、全く捻りもなく【AOI】と名付けた。 「君の名前は【AOI】だ!」 「【AOI】、今から点検を始める」 そう声を掛けたがもちろん反応はなかった。 【AOI】は特に酷くて、チェック3 : 足の1項目が不合格となった。 不合格なら製造部へ戻して手直しを加えて、再点検となる。 ベルトコンベアへ載せると、そんな【AOI】の上にチェックシートを貼り付けた。 どこに手直しが必要か作業員に伝えるためだ。 要修理のボタンを押すと梱包とは反対の方へとベルトコンベアは動き出し【AOI】を製造部へと戻していった。 「はぁ〜〜……」 ついに俺は大きなため息を吐いた。 超優秀だった【YOU】のような人形に出会うどころか、どんどんダメなラバー人形が送られてくる。 一体全体製造部は何をしているというのだ⁉︎ 落胆しきり、項垂れる俺の前にまたぞろラバー人形が送られてきた。 今度は灰色のワンピースを着ている。 “もう1ミリも期待していない“ という荒涼とした自身の心象風景を投影するが如く、これに【GRAY】と名付けた。 予想通りと言うか、必然と言うべきか、【GRAY】は全ての項目が不合格となり、廃棄となった。 というのも、【GRAY】は刺激に対して反応するどころか、関節すら曲がらない極めて程度の低い粗悪品だったからだ。 俺はキャスター付きの大きなゴミ箱を引っ張ってきてそこへ【GRAY】を放り込んだ。 【GRAY】はほとんど手足も曲がらない状態のまま、大きなゴミ箱から無様に大股開きで足を突き出した。 少しだけ【GRAY】が気の毒にも思ったが、何の反応も示さない性処理ラバー人形など何の価値もない。 俺は【GRAY】を一瞥すると、ある事を思い立ち慌ただしく内線電話の通話器を取った。 掛けたのは販売部門。 作業員とは言え俺も男だ。 いつかは性処理ラバー人形の一つくらい所持したいと常々思っていた。 金が溜まり次第購入するつもりだったが、製造する立場になってわかる。【YOU】のような最優秀品質のラバー人形はそうそうないのだと。 なら起こすべき行動は一つしかない。 直接販売部に交渉して製造番号1012号の【YOU】を借金してでも買い取ること。 俺は仕事中にも関わらず、【YOU】を買い取りたいので出荷は待って欲しいと願い出たのだ。だが時既に遅し、【YOU】程の品質のラバー人形は他にないため、すぐに出荷され、すでに倉庫にはなかったのだ。 その時の俺の落胆は凄まじかった。あまりのショックで涙が出るほどだった。 それから俺は【YOU】のような優秀なラバー人形に出会える事を夢見ながらも、どこか冷めた日々を送っている。 だが時々、平々凡々な機能しか有していない粗悪なラバー人形の乳首を点検するフリをして、八つ当たりのように必要以上にそれを強く摘むのだ。 その瞬間だけは粗悪品であろうとほんの少しだけラバー人形の体が震えるので俺の溜飲が僅かに下がるのだった。 性処理ラバー人形 【撮影終了】 へ続く

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