週末、悶々とした思いを巡らせ月曜日がやって来た。 休憩時間に受付の前を通ると、そこにはいつもと変わらない笑顔の由那ちゃんがいた。 ゴムの塊にされ排水管に口を繋がれ、俺の唾液を飲み込んでいた由那ちゃんの姿を思い出すと勃起しそうになるので慌ててその場を離れた。 今週末も亮介さんの家にお邪魔したいが、3週連続はさすがに厳しそうだ。 だが、木曜日に転機が訪れた。 亮介さんと俺が担当している顧客からクレームが入り上司である安藤 彩月(あんどうさつき)課長からかなり叱責された。 原因は顧客側にあるにも関わらずだ。 叱責され、かなりストレスが溜まったのだろう、意外にも亮介さんから飲みに行こうと誘われた。 こうなればいつものコース、終電を無くして朝まで亮介さんの家で過ごす。 もちろんコンビニに亮介さんが買い出しに行っている間に俺はまた黒いゴムの塊を探すことになる。 今度の週末は莉子さんかそれとも2週続けて由那ちゃんか、ワクワクして思わず笑みが溢れる。 いつもの居酒屋で飲んで終電をなくした俺はいつものように亮介さんの家に転がり込んだ。 ここまでは予定通り。 ダイニングにゴミ袋がないので莉子さんではない。 亮介さんが出掛けてから台所の下の由那ちゃんに会えるかと思うとワクワクしてくる。 そして亮介さんはいつものように買い出しに出掛けた。 早速、台所へ行くと下の扉を開いた。 相変わらず暗くてよく見ないが目を凝らして見る。 しかし、由那ちゃんの気配はない。 スマホのライトを照らしてみたが、やはり由那ちゃんの姿はそこにはなかった。 だが、俺は他を探してみる。 勝手に押入れを開けて見たが、ゴムの塊にされた莉子さんも由那ちゃんの姿もなかった。 “今日は何もない日か?” ガッカリしながらそう思いコタツに戻りテレビを点けて、亮介さんの敷きっぱなしの布団に力なく倒れ込んだ。 “ん?!” 妙な違和感を感じた俺はすぐに体を起こした。 その違和感は布団ではない感触だったから。 敷布団の上を撫でるように触って見ると、ところどころ起伏が人の形となって浮かび上がってきた。 敷布団の中かと思ったが、どうもそんな感じではない。 敷布団を捲って俺は固まった。 そこには黒いゴムのシートと枠で磔にされた人がいたから。 パッと見では人形かと思ったが、今までの事があるので人で間違いないだろう。 しかも胸の膨らみから女性である事は間違いない、そして同じ会社の人間である事も。 近くにゴムの塊にされた女性の手掛かりがある。 そう思い辺りを探してみたが、ビジネスバッグしか見当たらなかった。 探し続けたが、やはり女性もののバッグは見つからない。 頭を捻っていて気づいた。 確かに見たことのあるビジネスバッグだが、亮介さんのものではない。 「あ!」 俺は思わず声を上げた。 そのビジネスバッグは同じ営業部の柿本 乙葉(かきもとおとは)のものだったから。 “まさかね、あの笑顔が可愛い営業部のアイドル乙葉ちゃんが… ” そう思いながらもビジネスバッグを俺は物色する。 出てきた財布は彼女と全く同じもの、運転免許証もそして出てきた社員証も間違いなく乙葉ちゃんのものだった。 今までは別の部署だったが、今回は同じ営業部しかも乙葉ちゃんは俺の隣りの席、意識しないわけながない。 “それにしてもいったい?” ゴムのシートに磔にされた乙葉ちゃんは微動だにしない、いやできないようだった。 ゴムのシートが彼女の体にピッタリと張り付き真空パックされたようになっていた。 微動だにできないが呼吸はできているようで、お腹が呼吸のたびに上下していた。 真空パックされた彼女の顔の凹凸は見られないし、お椀型をした形の綺麗な大きな胸は分かるものの乳首も全く見当たらない。 乙葉ちゃんの体はこのゴムのシートの下でも何かに覆われているような感じだった。 何とかしてゴムのシートから彼女を引っ張り出せないだろうかと考えながら、ふと時計を見た。 もうそろそろ亮介さんが戻ってくる時間。 今回は探すのに時間がかかりすぎてしまった。 俺は慌ててゴムのシートで真空パックされた乙葉ちゃんの上に敷布団を掛けたその時、亮介さんが帰ってきた。 間一髪だった。 今日は多めにビールを買ってきたらしく、冷蔵庫へと移す亮介さん。 俺は乙葉ちゃんのビジネスバッグが元の位置に戻していないことに気づいて慌てて戻した。 幸い亮介さんには気づかれずに済んだ。 その日はストレスを爆発させた亮介さんに昼くらいまで付き合って飲んだ。 その間、俺は何度か敷布団に寝っ転がった。 微動だにしない真空パックされた乙葉ちゃんを感じながら横になるのはとても気持ち良かった。 昼過ぎに亮介さんの家を出て最寄駅へ。 日はすっかり真上まできていた。 いつものように電車に乗り目を瞑っていると、恐ろしいくらいの眠気に襲われた、そして… 。 “こうなる事は分かっていた” 目が覚めた時には見たこともない駅というより、3度目だなぁと思いつつも昨夜の事を確かめる術がないかと考えながら戻りの電車へ乗り込む。 もう夢ではない、亮介さんの家で何が行われている。 その真相を確かめたくて仕方がなくなった。 つづく