ゴムの塊にされ逃げ惑う絵里香を見て呆然とする俺だったが、急に怒りが込み上げてきた。 なぜ絵里香をこんな姿にしたのか分からないし、理解できなかった。 真相を知っているのはおそらく亮介さんだけ。 俺は慌ててスマホを手にすると、亮介さんに電話を掛けた。 呼び出し音が聞こえると同時に、アパートの扉のすぐ外でも着信音が鳴り出した。 “まさか!?” そう思い亮介さんへの電話を切ると、アパートの扉のすぐ外で鳴っていた着信音も切れた。 亮介さんはスマホを落として行ったのだろうかと思ったが、すぐに気づいた。 道端にお婆さんが倒れていると電話があったことに。 俺が扉に近づいていくと亮介さんが部屋へと入ってきた。 亮介さんは不敵な笑みを浮かべながら俺に話す。 「ああ、ついにバレちゃったかぁ、歩夢どうだった楽しめたか?」 「どういう事なんですか?」 俺は鼻息荒く亮介さんに詰め寄った。 「どういう事とは、どの事だ?」 亮介さんは動じる様子もなく俺に尋ねてくる。 「絵里香の事ですよ!なんで俺の彼女をこんな姿に」 亮介さんは薄ら笑いを浮かべながら言った。 「俺はお前が嫌いだからだ!」 あまりにも直球過ぎる答えに俺は何も言い返せなかった。 俺が黙っていると亮介さんは続ける。 「お前も他の女たちも俺を無視して楽しそうに話すのが気に入らなかったからだよ!」 「お前は特に嫌いだったから、直接ではなく彼女に手を下したって訳だ、分かったか!」 亮介さんの言葉でいろいろな事が思い出されてきた。 そう言えばゴムの塊にされた女性たちとはその前の週に楽しく話したような気がする。 そして、先週はたまたま亮介さんと営業で出掛けた際、彼女の絵里香に出逢って少しだけ話した。 その前の週には取引先で 高遠さんと楽しく話した事を思い出したし、そのまた前の週には新人研修の海風ちゃんと話したことは思い出せた。 それ以前はどうだったか思い出せないが、いずれも亮介さんと話しているところに俺が割って入る形でゴムの塊にされた女性たちと話したような気はする。 「俺を無視して歩夢、お前と話す女どもが気に食わなかったからゴムの塊にして制裁を加えてやったんだ!」 俺が何も言えずに黙っていると、亮介さんは続ける。 「お前、営業部の2人には知ってか知らずか手を出していたなぁ、 柿本 乙葉も安藤課長もさぞ気持ち良かっただろうなお前とやれて」 その言葉に俺の行動は全て監視されていたのだと知った。 俺が愕然とする姿を見て亮介さんは高笑いしながら、俺とゴム人魚にした絵里香を部屋の外へと放り出した。 そして、スーツケースを投げつけられ、俺の額に当たり血が滲んだ。 俺はゴム人魚にされた絵里香を元に戻す事もできずに亮介さんの家を追い出された。 幸い夜遅くアパートの住人に出会すことはなかった。 俺はゴム人魚をスーツケースの中へ詰めるとトボトボと歩き出した。 スーツケースを引き摺るようにして大通りに出た俺は運良くタクシーを拾うことができた。 タクシーの後部座席に運転手が止めるのも聞かずに絵里香の入ったスーツケースと乗り込み家路についた。 家に帰り、どうしたかは覚えていないが絵里香をゴム人魚から解放した。 絵里香は泣き腫らした目をして酷い顔になっていた。 言うまでもなく俺は絵里香と別れ、会社も退職する事になった。 俺の家には今も絵里香をゴム人魚にしたラバースーツだけが残されている… fin 「はいOK!以上で佐々木 歩夢さんオールアップでーす!」 拍手と共に花束を受け取った俺、佐々木 歩夢。 今回の映画【異常者】は異例の俳優がそのままの名前で役を演じるという変わった趣向で始まった映画だった。 そして、ラバースーツを着た上さらに拘束されゴムの塊を演じたのは役を演じた実際の女優さんたちが体当たりでチャレンジした。 正確には俺と絡みのシーンがあったバキュームベッドで真空パックされた乙葉ちゃんと安藤課長のゴムダルマは一部セクシー女優に差し替えられたりもしたが、ほぼ 柿本 乙葉ちゃんと安藤 彩月さんが演じた。 詳しくはメイキングシリーズで紹介していこうと思う。 つづく