パラレルワールドへ迷い込んだ私はキッカケとなった番組【COME TRUE】に再び同じ内容で応募したのだが採用された。 だが、控え室で私を待っていたのは女性スタッフではなく、男性2人だった。 その1人はイケメン大輝、そしてもう1人は白衣を着たメガネを掛けた男性。 全く状況の分からない私にその男性が話し掛けてきた。 「岸本巡査、そこへ座りたまえ」 聞き慣れた声に自然と反応して男たちの前に置かれたパイプ椅子へと腰掛けた。 もう1人の男性がメガネを外して私をじっと見る。 「あっ!」 私はそれ以上言葉が出なかった。 白衣を着た男性は大輝だったから、そうイケメンではない、私のよく知る大輝。 白衣を着た大輝が口を開く。 「岸本巡査、ご協力感謝するよ!お陰でいいデータが取れたよ、もう交番勤務に戻ってもらって結構だよ」 いつもと違う雰囲気を纏った大輝が少し偉そうに見えて私は腹が立った。 「大輝、どういう事!説明しなさいよ!」 食って掛かる私の前に大輝が歩み寄ってきた。 そして、目の前で指を鳴らすと、頭の中に記憶が一気に流れ込んできた。 「これで君は元の岸本巡査だ、ご協力感謝するよ!」 全ての記憶が元に戻った私は全てを思い出した。 “そうだった、私” そう呟くと自然と涙が溢れてきた。 白バイ隊員である事も、彼氏の大輝と過ごした事も全てウソ。 犯罪者が溢れた現在。 刑務所や拘置所に犯罪者が入りきらなくなり、管理する刑務官の人材も不足し始めていた。 そこで犯罪者に催眠を掛け、催眠状態のまま部屋の中で監禁していけるのか実験する事となった。 そんな被験者として私は選ばれた。 いろいろな試験を受け、警察内でも一番催眠が掛かりにくい人物として選ばれた。 独身で一人暮らし、彼氏もいない私は被験者として3ヶ月催眠状態のまま過ごし、その後は昇進と1ヶ月の有給休暇取得を条件に被験者を引き受けたのだった。 大輝のことは催眠に掛かった私が恋人だと思い込んでいただけ。 定期的に私の前に現れて私を観察していたのだ。 峰不二子に見えていたのは私の頭の中だけ、催眠状態でも警察署には出勤し、白バイ隊員として取り締まりに出るという催眠に掛けられていた。 ただ、催眠に強く掛かり過ぎるため、白バイに乗って取り締まりに出ようとし始めたため、エア着ぐるみに入ったり、潜入捜査や広報の仕事をさせられるようになったのだった。 だが、そんな白バイ隊員も彼氏の大輝と過ごすのも私は物凄く気に入っていた。 それが現実だと知った時の私のショックは計り知れないものだった。 確かに最初は昇進と有給休暇に飛びついたのは事実、だが今となってはそんなものはどうでも良くなっていた。 現実に戻され、巡査いや巡査長としての勤務が1ヶ月の休み明けから始まる。 外出も自由、何をするのも自由なのだが私は受刑者でもないのに部屋から一歩も出たいという気持ちにはならなかった。 受刑者の心を折る、こういう狙いもあるのだろうかと思ってしまう。 私は結局、催眠を解かれてから1週間部屋から一歩も出ることはなかった。 食料も尽きてきた。 いい加減買い物だけでも行かないと餓死してしまう。 そう思うものの、そんな気には全くならない。 なんだったらこのまま餓死してもいいと思うようになっていた。 『ピンポーン!』 部屋のインターホンがなった。 つづく