テレビ局でも広めのスタジオで今回の収録が行われる。 観覧席もいつもより増やしているらしい。 男性スタッフが大型バイクを押して現れ、私の準備は完了。 しばらくは小さなモニターで、司会者の番組の説明やゲストとのトークが続く。 その間に簡単な段取りを女性スタッフから説明される。 私はバイクに乗り颯爽と司会者、ゲストの前に現れてバイクから降りると実現したかったこと、【COME TRUE】について司会者が読み上げる。 そして、ヘルメットに手を掛けた時、峰不二子である事を明かし自己紹介をしてもらう。 そして、今回峰不二子の実現したかった事は現実世界の男性とのデート。 その事を司会者が説明すると、観覧席の中から現実世界の代表として1人の男性を選んでもらいデートに出掛ける。 もちろん選ぶ男性は私の彼氏の大輝。 デートの時間は番組収録の時間内。 時間内にスタジオに戻り、峰不二子になるまでの過程の映像を逆回転し、大輝の彼女である岸本 恵美であったことをネタバラシ、大輝が峰不二子が大好きなため私が今回応募に至った事を話して終了となる。 デート中はスタッフが数人同行することになっていることも伝えられた。 そろそろ、私の出番。 緊張が高まると同時にバイクのエンジンが掛けられ、観覧席からどよめきが起こった。 私はバイクに跨ると仕事と同じように周りを確認した後、ゆっくりとバイクを走らせる。 そして、司会者、ゲストの前に颯爽とバイクを横付けした。 バイクから降りる際、観覧席の大輝を探すとすぐに見つかった。 最前列の一番右の席。 司会者が私の近くに来て話し始める。 「今日はワザワザお越し下さいましてありがとうございます」 「今日来て頂き実現したかったことは… うんうん、現実世界の男性とデートをしたいという事ですね」 私は大きく頷き、ヘルメットに手を掛ける。 「ご紹介します!峰不二子さんです!」 私はヘルメットを脱いで髪を揺らすようにして、顔に掛かる髪を掻き上げると観覧席から男性たちのどよめきが上がった。 「今日は観覧に来て頂いている男性の中から峰不二子さんとデートがしたいという方がいらっしゃいましたら挙手… 」 「「はい、はい、はい」」 司会者の言葉を遮り、観覧に来ている男性のほとんどが手を挙げた。 中にはゲストの男性も手を挙げていた。 「ちょっと待って下さい、皆さん落ち着いて!」 司会者が制止し、一旦場が落ち着く。 「説明を続けますね、観覧席にいる男性の中から現実世界の代表として峰不二子さんに1人好みの男性を選んで頂きデートをして頂きます」 司会者は観覧席をザッと見た後、続ける。 「皆さん、恨みっこ無しですよ!峰不二子さんの好みですからね」 「ちなみにデートの時間は番組収録の時間内、スタッフも同行してのデートとなります、説明はこんなところかな?」 「では峰不二子さん、デートしたい好みの男性を選んで下さい」 そう言われた私はワザと大輝のいる反対側の左側の観覧席から順番に選ぶフリをする。 男性たちは皆さん私に手を振りアピールしてくる。 中にはパートナーと一緒に来ているのであろう、隣りにいる女性に頭を叩かれている男性もいた。 あまりにも熱烈に誘ってくれる男性たちに気を良くした私はレーシングスーツのフロントファスナーをエナメルのキャットスーツの胸がしっかりと露出するところまで下げた。 観覧席からは今まで一番大きなどよめきが起こり、男性たちの手を挙げるのにも力が入っているのが分かった。 大輝の方へチラッと視線を送ると、大輝は前のめりでこちらを向いて手を挙げていた。 私は嬉しくなり、一旦大輝の前まで行ったがまた戻るフリをすると大輝の落胆ぶりが凄かった。 でも、すぐに大輝の下へ戻り大輝の手を取った。 その途端にその場で何度もジャンプする大輝。 私はそんな大輝の手を引いて司会者の下へ。 「私はこの人とデートしたいです!」 そう言う伝えると、司会者が大輝にインタビューする。 「お名前を教えて頂けますか?」 「大江 大輝です!僕は峰不二子が大好きで…」 興奮し過ぎて大輝は言葉が出て来ないようだった。 「デートコースやプランはお考えですか?」 「いえ、もう頭が真っ白で!」 興奮気味に話す大輝を見ていると私も笑顔になってきた。 「では、峰不二子さん、レーシングスーツはデートに不釣り合いですから脱いでもらっていいですか?」 そう言われて私は足首と手首のファスナーを開いてから、レーシングスーツを脱いでいく。 すでにエナメルのキャットスーツが胸の部分だけ見せていたので観覧客は予想はできていただろう。 それでも男性たちからは大きな歓声が上がり、私は全身がテカテカと妖しく黒光りするキャットスーツ姿を晒した。 それを間近で見て顔を真っ赤にしながら興奮して大輝を見てしてやったりだった。 「それでは今からデートに出掛けて貰いますが、突然峰不二子さんが消えたりしない様にお2人は手を繋いで下さい」 司会者に言われるまま手を繋ぐと私と大輝は手を繋いだ状態で手錠を掛けられた。 「これで大丈夫です、ではお2人さんデートに行ってらっしゃい!手錠の鍵はスタジオでお預かりしてますので」 司会者はそう言うと私たちを送り出してくれた。 恨めしそうに見る男性観覧客の横を通り抜け、私は峰不二子として大輝とデートに出掛ける。 スタジオからテレビ局の外までは女性スタッフに先導して貰い、そこからは2人でデート。 いつもと違うのは後ろからゾロゾロスタッフがついてくる事くらいだろう。 最近はマンネリ化しているデートを峰不二子とだったら、どう変わるのか見ものだと私もワクワクしてきた。 つづく