スタッフ数人を引き連れて、峰不二子となった私と大輝のデートが始まった。 大輝が尋ねてくる。 「エナメルのキャットスーツで暑くないですか?飲み物買いましょう」 大輝の言う通り、今朝テレビ局に入ってから峰不二子にされ、ずっと準備に追われていたので飲み物ろくに飲んでいなかった。 大輝がこんなに気遣いをしてくれるのは何時振りだろう。 「私、喉が渇いていたんです」 そう答えると、大輝はテレビ局を出発してすぐの自動販売機でお茶を一つ買ってくれた。 そして、手錠で2人が繋がったままだが、器用にペットボトルの蓋を開けて私に手渡してくれた。 「ありがとうございます」 そう言って大輝が、買ってくれたお茶を受け取るとグビグビ飲んでしまった。 そんな私を見て少し緊張気味だった大輝からも笑顔が見られた。 身長が178cmの大輝と身長が168cmの私、今日はサイハイブーツのヒールが高く大輝と同じくらいの身長で顔が近い。 すぐに私だとバレてしまうと思ったのだが、意外と気づいてはいないようだった。 私と大輝は手錠で繋がったまま、テレビ局のスタッフを引き連れてデートを始める。 当然のようにテカテカの黒光りしたエナメルのキャットスーツを着た峰不二子は周りの人達の注目を集めた。 歩くたびに『ギシギシ』とエナメル独特の音を立てるので、嫌でも視覚と聴覚で人の注目を浴びてしまう。 それでも出会った頃のような新鮮な気持ちで大輝とデートするのは楽しかった。 海辺へ電車で移動し、水族館、そして観覧車に乗ってデートを満喫した。 途中、ソフトクリームを買って食べさせ合いっこをしたりして本当に楽しかった。 だが、楽しかったデートが一変する。 それは私が喉が渇いたため、水分を摂り過ぎた事によりオシッコがしたくなってきたのだ。 急に口数の減った私に気を遣ってくれる大輝。 だが、私の限界はもうすぐそこまで来ていた。 「ごめんなさい、私おトイレに行きたくて」 そう言うと大輝はすぐにトイレを探してくれたのだが、すぐに大輝も気づいた2人が手錠で繋がれている事に。 それでも多目的トイレを見つけると2人で入って鍵を掛けた。 流石にスタッフも中には入って来ない。 「俺、向こう向いてるから」 そう気遣いしてくれる大輝。 付き合って長いが、流石にオシッコをしているところは見られた事がない。 “恥ずかしいがお漏らしをするよりはマシだ” 私はエナメルのキャットスーツのクロッチファスナー、続けてラバースーツのクロッチファスナーも開いた。 シリコンスーツの穴からは私の陰部が露出しているのが分かる。 手錠で繋がれた距離で無駄だと分かっているが、流水音のボタンを押してオシッコをする。 限界近くまで貯めていたのでオシッコは止めどなく出た。 拭き取り、クロッチファスナーを閉めてトイレを流す。 私がオシッコをする間黙って待っててくれた大輝に私は思わず声を掛けた。 「大輝ごめんね」 「え!」 「あ!」 “そうだった、私は今峰不二子だった” 「え!え!え!なんで俺の名前知ってるの?」 大輝は私の顔を凝視してくるが、バレることはないと自信があった。 大輝の質問に私は答えた。 「司会者に名前を聞かれて答えていたから、それに下の名前の方が恋人みたいな感じがするでしょ」 そう返すと大輝は妙に納得したように頷いていた。 だが、少なからず疑われ始めたのは間違いないと思う。 だって、声はいつもの私、恵美の声だったから。 トイレから出た後は水分補給も控えめにし、時間が来たのでスタジオへと引き上げる事となった。 ただ、大輝は峰不二子とのデートよりも峰不二子が私ではないかと疑っている感じはずっとしていた。 スタジオに戻ると、他の【COME TRUE】の終了を待って、いよいよネタバラシ。 司会者に呼ばれ2人並んでデートの感想を聞かれた。 私は楽しかったと答え、大輝は夢のような時間でしたと答えていた。 そして、いよいよ私が峰不二子になるまでの過程の映像の逆回転しが始まる。 観覧客と一緒に大輝はその映像を食い入るように見る。 峰不二子が実は大輝の彼女である岸本 恵美であったをネタバラシすると、最後にツーショット写真が出てきた。 観覧席は盛り上がり、大輝は目を白黒させて驚いていた。 大輝は多分途中から私である事は気づいていたと思う。 だって、大輝が本当に驚いた時のリアクションとは違うから。 私は大輝が大好きな峰不二子になって彼を喜ばせたくて今回応募に至った経緯を話して番組は終了した。 つづく