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峰不二子になりたい! 〜帰宅編〜

番組収録が終わり大輝も一緒に控え室へと戻ってきた。 控え室にはデート前に脱いだレーシングスーツとメルメットが置かれていた。 「ねぇ大輝驚いた?」 「そりゃあ、もう、峰不二子がまさか恵美だったなんて」 私は大輝のこの言葉を聞きたくて文字通り体を張って頑張ったのだから。 今日、峰不二子となり大輝とデートして、付き合い始めた頃の新鮮な気持ちになれた事を伝えると大輝も笑顔で頷いていた。 久しぶりにゆっくりと大輝と話すことができた様な気がする。 最近はお互い仕事で時間が合わず、一緒にいてもどちらかが寝ていたりテレビを見るだけになっていたから。 「恵美、触ってもいい?」 大輝にそう言われて頷くと、大輝が私の体にふれてきた。 エナメルのキャットスーツ、ラバースーツ、さらには峰不二子のシリコンスーツ越しなのに大輝に触れられたところが敏感に感じてしまう。 気持ちよくなりどんどん大輝と裸で触れ合いたい気持ちになってくる。 「私を抱いて」 自然と心から出た言葉。 大輝は頷いてから言う。 「帰ってからね」 私も大輝も笑顔になった。 私はこれを機に大輝との結婚も考えていこうと思い始めていた。 しかし、控え室に戻って来てからかなりの時間が経ったはずなのだが、スタッフは誰もやって来ない。 どうしたのだろうと思っていると、控え室の扉がノックされた。 “やっと来た!” そう思ったのだが入って来た女性スタッフは私を峰不二子に変えた2人の女性スタッフのどちらでもなかった。 私と大輝を見て不思議そうな顔をする女性スタッフは言った。 「あのー、この控え室は次の収録で使用しますので、すぐに出て下さい」 それだけ伝えると、清掃員らしき人が入って来た。 私は自分の荷物を手にし、大輝はレーシングスーツとヘルメットを持って控え室を追い出された。 「えー!どうなってる?」 控え室以外でこの広いテレビ局内で番組スタッフを探すのは難しい。 私の不満そうな言葉に大輝が宥めてくれる。 「とにかく帰ろう、追い出されたんだから今着ている服もこのレーシングスーツやヘルメットも貰えるってことみたいだしラッキーじゃん!」 大輝のそういうポジティブに捉えるところは嫌いじゃない。 現に付き合い始めてから大輝のポジティブさに救われた事が何度もあった。 私と大輝は出口に向かう。 流石にこのエナメルのキャットスーツに峰不二子の姿はテレビ局内でも目立ち過ぎる。 すれ違う人、すれ違う人が私を見てくる。 そこでレーシングスーツを着て、ヘルメットを手にしていると幾分か目立たなくなったような気がした。 テレビ局を出てようやく大輝と話す。 「大輝、車で来たの?」 「いいや、1人だったからバイクで来たよ」 「そうなんだぁ」 一緒に帰れないと思ってガッカリしたが、よく見れば私はヘルメットを手にしている。 それに普通のバイクに乗るのには似合わないレーシングスーツまで着ている。 「大輝、バイクに乗せて!」 「いいよ!一緒に帰ろう!」 大輝の言葉に私は思いっきり大輝に抱きついた。 久しぶりに大輝の後ろに乗せて貰い甘えるように抱き着いて家まで送って貰った。 大輝にも一緒に来てもらう。 テレビ局で着るのも大変だったから脱ぐのも大変だと思い、大輝にも手伝ってもらおうと思ったから。 何より今日は大輝と一緒にいたい。 家に帰るとまずはヘルメットを取り、レーシングスーツを脱ぐ。 そして、サイハイブーツを脱いだ。 流石に外出したブーツで家の中を歩き回るわけにはいかない。 サイハイブーツの中は汗で湿っていた。 サイハイブーツを脱いで部屋に入りながら、ロンググローブも脱いだ。 こちらも汗が染みている。 そのまま、フロントファスナーを下ろしてエナメルのキャットスーツを脱ぐ。 ラバースーツはバックファスナーなので大輝に下ろしてもらう。 峰不二子の裸を目の前にした大輝は目がハートになっているように見えた。 そしてそのまま私に抱きついてくる。 「ダメぇ、大輝まだだって!」 私は大輝を制止しようとしたが大輝は止まらない。 そのまま私をお姫様抱っこすると、ベッドへと運んでいく。 仰向けに寝かせた私に覆い被さる大輝。 「恵美、大好きだ!」 そう言って私にキスをすると、そのままズボンを下ろす。 “まあいいか、しばらくご無沙汰だったし、今日はそんな気分だから大輝に抱かれよう、それに私から抱いてって言ったよね” そう思い私も大輝に抱きついて体を重ねる。 今日は妙に体の感度がいい、大輝に何をされても気持ち良く感じる。 シリコンスーツを着ているのに感度が良くなるなんて凄く不思議だったが、私は大輝に全てを委ね何度も何度も快楽の絶頂に達した。 最後は意識が飛ぶほど気持ち良かった… 「はい、はい、バッチリ変化してます、はい」 気づくと私は眠っていたが、大輝が誰かと電話で話す声で目が覚めた。 だが、今日は凄く疲れたのでまだ眠い。 大輝の電話は少し気にはなったが、そのまま眠りに落ちていった。 どれくらい眠ったのか分からないが、まだ眠さは残っている。 部屋にもベッドにも大輝の姿はない。 「帰っちゃったかぁ」 そうポツリと呟いた私の耳に楽しげな音楽と大輝の笑い声が聞こえてきた。 “大輝、テレビ見てるんだ!” そう思い体を起こしてリビングへ向かう。 「恵美、おはよう!」 「おはよう、大輝」 そう挨拶を交わした大輝が見ていたのは【ルパン3世】だった。 “あ、あ、それで私、峰不二子になる夢を見たんだ” その時はそう思った。 寝汗をかいたのでシャワーを浴びに行く。 全裸になり自分の体の異変に気がついた。 “あれ?” 私の普通サイズの胸が妙に形のいい大きな胸になっている。 急に成長する事も考えられない。 “あれは夢じゃなかったの?” 私は慌てて浴室に入ると姿見を見た。 その姿は胸だけでなく顔も美しいリアル峰不二子のままだった。 “そうだ、テレビ局で峰不二子から岸本 恵美に戻して貰えず、家に帰ってからシリコンスーツを脱ごうとしたのにそのまま大輝に抱かれたんだった” その事を思い出しながらも、ある事を思い出した。 それはサイハイブーツを脱いだ時、ブーツが湿っているのを見て、このままだと臭くなりそうだと思ったのをハッキリと覚えている。 その時はシリコンの足にも汗をかいた感覚と湿り気を確かに感じていた。 それにロンググローブを脱いだ時に指先に汗のような湿り気を感じたことを思い出した。 あの時は疲れていたので気にならなかったが、よくよく考えればおかしい。 だって、私はシリコンスーツを着ているのだから。 鏡に映る峰不二子のシリコンスーツを脱ぐために首元を引っ張ってみた。 「痛っ!」 力を込めてシリコンスーツを脱ごうとして、思いっきり摘んで引っ張ったのでシリコンスーツの下の皮膚まで引っ張ってしまったのだろう。 引っ張った箇所を見て私は唖然とした。 シリコンスーツのはずなのに、引っ張った箇所が赤くなっていたのだ。 「うそ、うそ、うそ」 驚きのあまり言葉が出て来ない。 ならばと口からシリコンスーツを着たので、口を大きく広げようとするが、皮膚は引っ張られ痛みが走る。 「なんで、どうして?」 私はパニックになり、シャワーも浴びずに全裸で浴室を飛び出した。 そして大輝にこの事を伝える。 「大輝!私、峰不二子のシリコンスーツが脱げなくなっちゃったどうしよう?助けて!」 私の、いや峰不二子の全裸姿に驚きつつも大輝は立ち上がると私を優しく抱きしめてくれた。 そしてこう言った。 「どうしたの恵美?いつもの恵美じゃないか、悪い夢でも見た?」 悪い夢ならいい、でもこれは現実に起こっている事。 私はすぐには事態を受け入れられなかった。 「ほらっ」 そう言って、大輝はスマホの写真を見せてくれた。 そこに映っているのは岸本 恵美ではなく、今と同じ美しい峰不二子だった。 “大輝もテレビ局とグルになって私を騙そうとしてスマホの写真を加工したのだろうか?” そんな疑問の中、私はある事に気づいた運転免許証ならば私の顔写真が写っている。 偽造すれば犯罪だ。 慌ててバッグを探して財布を取り出し運転免許証を確認した。 「うそだ!」 運転免許証の顔写真もまた岸本 恵美ではなく峰不二子だった。 信じられない事が現実に起こっている。 そんな絶望する私の目に警察手帳が目に入った。 “これなら!” 警察手帳を開いた顔写真もまた岸本 恵美ではなく峰不二子になっていた。   “うそだ!うそだ!うそだ!” バッグの前で全裸のまま女の子座りで絶望する私に大輝は優しくバスタオルを掛けてくれた。 しばらくして、落ち着いた私はシャワーを浴びて下着を着け、部屋着に着替える。 何が本当で何が嘘か分からなくなった私。 ソファーに座りテレビを見る大輝に寄り掛かる形で横へ座った。 ぼんやりテレビを眺めながら私は異変に気づいた。 それは下着のサイズ。 岸本 恵美と峰不二子ではブラジャーやショーツのサイズに差があるはずなのに窮屈でない事。 でも、その時はもうそんな事はどうでも良く思えるようになっていた。 取り分け騒ぐ事もなく大輝に甘えるように寄り掛かりテレビをぼんやりと見ていた。 つづく

峰不二子になりたい! 〜帰宅編〜

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