あの悪夢のような雑居ビルの出来事から無事ではないが、誰にも気づかれずに私は家に辿り着いた。 玄関で座り込んだ私はスマホを手にした。 ゴムのスーツを着ているので操作はできないと思っていたのだが意外にも操作ができた。 [ゴムのスーツ]で検索すると、すぐにこのゴムのスーツがラバースーツと呼ばれていることが分かった。 さらに調べていくと、このラバースーツの脱ぎ方も見えてきた。 私が着せられたラバースーツはネックエントリーといって首元がよく伸び、そこ広げる事で脱着できるようであった。 試しに首元を引っ張って広げてみた。 なるほど、ネットの情報通り首元が大きく開いた。 まずはジャケットとスカートを脱いでブラウスも脱いでラバースーツとストッキング姿になった。 ジャケットとスカートも何か分からない液で汚れてしまっているのでクリーニングに出そうと思う。 それより先にこのラバースーツだ。 体にピッタリとフィットしているので脱ぎにくいだろうと思っていたのだが、ネットの情報から意外にも簡単に脱ぐことができそうだった。 ラバースーツの中は私の汗と愛液、そしてこのラバースーツを着せる時に使われたと思しき潤滑剤のようなもののお陰で滑りがよく容易に脱ぐことができた。 そのまま全裸で玄関付近に横たわる。 もう、動く元気も残されていない。 ただ、話を聞きにいっただけなのに見ず知らずの男たちに犯されてしまった。 悲しくて怖くて涙が止まらない。 それなのに体は感情とは裏腹に愛液を垂れ流していた。 理由はなんとなくだが分かっている。 ラバースーツが気持ち良かった。 体にピッタリと張り付き、私の体を締め付けていくあの圧迫感がなんとも言えなかった。 それもあり、切り裂いて脱ぐ事はせずにネットの情報を頼りにラバースーツを脱いだのだった。 全裸で玄関で横たわっていると、スマホにメッセージが届いた。 彼氏の三浦 京介(みうらきょうすけ)からだった。 [今日は仕事遅かったんだろ、大丈夫?体壊さないようにね] 「京介ありがとう」 そう呟いたが返信する気力もない。 精神的にも肉体的にも疲労し、気づけば玄関でラバースーツを脱いで全裸のまま、身動きも取れずに横になって私は眠ってしまっていた。 また、スマホに届いたメッセージで目が覚めた。 [明日、遊びに行くよ!おやすみ] また、京介からのメッセージだった。 「えー!遊びに来るの?」 京介のメッセージで私に鞭が入ったようで体を起こす。 「これってマズイよね」 脱ぎ捨てられたラバースーツがストッキングと絡まった状態で落ちている。 とにかくこれは浴室へ放り込んで、ジャケットとスカート、ブラウスは洗濯かごへ放り込んだ。 “動けるうちにシャワーを浴びよう!” そう思い一気にシャワーを浴びて、体を洗いシャンプーもした。 だが、動けたのはここまで。 裸で髪と体にタオルを巻くとベッドへと倒れ込んだ。 ここからは全く記憶がない。 「梨紗、おはよう!」 その声に私はビックリして飛び起きる。 ベッドにもたれかかる形で京介がそこにいた。 体を起こした私は全裸である事にも驚いた。 昨晩、下着も着けずにそのまま寝たんだった。 「ちょっと京介、来るならちゃんと連絡してよ!」 「ごめん、ごめん」 そう言うと京介は寝室を出て行った。 珍しく素直な京介が不思議だった。 私は慌てて下着を着けて、部屋着に着替えた。 スマホを見ると、京介からのメッセージが入っていた。 [今から遊びに行くよ!] 京介からメッセージが送られてきた時間は今から2時間以上も前だった。 京介はかなり前に私の部屋にいたのだろうか? そう思いながらスマホを開くと昨日検索したラバースーツのサイトが、そこにはラバーショップが紹介されていた。 家からもそれほど遠くない。 1人でやって行く勇気はないが、京介について来てもらえれば行けそう気がする。 “後で京介をデートに誘ってみよう” そう思いながら私は寝室を出た。 そしてある事を思い出した。 昨晩ラバースーツを浴室に放り込んでそのままだった事に。 京介にはバレていないとは思うが、早めに片付けておいた方が良さそうだ。 「ごめん京介、汗かいてたからシャワー浴びてくるから待ってて!」 私はそう言うと浴室へと向かう。 ラバースーツの音を聞かれないようにシャワーで音を出してからラバースーツそしてストッキングも片付ける。 ラバースーツを広げて眺めてみる。 これを着せられて私は犯されたのに、テカテカした妖しい光沢に魅せられいると、また着てみたい衝動に駆られるが、ここは必死に抑えた。 ラバースーツの取り扱いが分からない私は取り敢えず湯船の中へ隠す事しかできなかった。 寝癖のついた髪と汗をかいた体を洗って浴室を出る。 今度はしっかりと髪も体も乾かしてから下着を着けて部屋着を着た。 京介のところへ戻るといつもと変わりないように努めた。 だが、私の気持ちを悟っているかのように今日の京介は優しかった。 私はそんな京介に甘えてしまう。 するといつもなら茶化す京介が何も言わずに私を抱きしめて優しく頭を撫でくれた。 私は昨日の辛かった事を思い出し、京介の優しさに思わず涙が溢れる。 一度溢れた涙は留めどなく流れ落ちる。 何度も涙を止めようとしたが、止めることができなかった。 私は京介に抱きついてしばらくの間泣き続けた。 その間京介は何も言わずにずっと私の頭を撫でていてくれた。 京介に優しくされていっぱい泣いたら少し落ち着いた。 私が元気な方が京介を心配させない、そう思った私は行きたいお店があるからと京介にお願いすると京介は驚きながらも、元気になった私を見て笑顔になってくれた。 出掛けるまで京介はどんなお店へ行くのかと聞いてくる。 “何か気になる事があるのだろうか?” ただ、ここで言って京介に引かれたら心が折れてしまうので、お店に直接行こうと思っている。 しつこく聞いてくる京介に私は「秘密!」とだけ答えた。 移動中は流石に聞いてこなかったが、お店に到着し何を取り扱っているお店か分かると京介はかなり驚いていた。 そんな京介を見ながら心の中で思う。 “京介もラバーフェチだったらいいのに” と。