SamSuka
ごむらば
ごむらば

fanbox


脱げないゴムの着ぐるみ【カメレオンになりたい 編】

お盆休み、大学生の私、鷺元 麻衣(さぎもとまい)は実家へ帰省する。 理由は2つ、実家からは遠く離れた大学へ進学したので両親に元気な顔を見せるため。 もう1つはアルバイトのため。 私の地元には爬虫類園という爬虫類の展示をしている施設がある。 日本だけでなく、世界中の爬虫類が展示されており、人を襲ったりしない爬虫類に触れる触れ合いコーナーもある。 私は無類の爬虫類好きで昔からこの爬虫類園が大好きだ。 そんな私は高校生の時、この爬虫類園でバイトを始めた。 ただ、来園者数も年々少なくなりアルバイトであった私も含めて来園者回復案が話し合われた。 そこで提案して通ったのが私の意見だった。 それはリアルなカメレオンの着ぐるみを作って園内を散歩して来園者と触れ合うというもの。 見た目はリアルで怖く見えても中身は人だから襲う事はなく絶対になく安全。 当時はゆるキャラブームであったが、敢えてゆるくなくリアルで勝負しようという事になった。 ただ、リアルにするのはいいのだが触れ合うとなると、悪ガキだったり、タチの悪い大人が着ぐるみだからと中の人を見ようとしたり引き摺り出そうとするかも知らない。 そこで考えたのが全部ゴムでファスナーなども一切無くして閉じ込めてしまうと着ぐるみいう案。 提案したのは私。 誰もが怪訝な顔をした。 自分が閉じ込められることにいい気はしない。 だが、私が出した案であるため私が着ぐるみ担当する事を申し出た。 それには理由が2つある。 1つは爬虫類の中でも大好きなカメレオンになりたかったから。 もう1つは着ぐるみに入ってみたかったから。 着ぐるみに入るなら一日中入っていたいと思っていたのでこんな提案をしたわけだが… 。 そんな私の意見が通った背景には、若いので体力的にも充実しているという事。 そして、あまりに大きいカメレオンだと来園者が恐怖を与えてしまう可能性があるので小柄な女性の方が適しているという事。 そして何より言い出しっぺであり、カメレオン担当でカメレオンをよく見ているので動きも真似ることができるだろうという事だった。 早速、プロジェクトが始動。 私は着ぐるみなどを製作している工房へ園長と赴き、担当をしてもらう竹村さんと顔合わせをしてから打ち合わせを始めた。 工房から提案してもらったのは全てゴムでできたカメレオンの着ぐるみの背中側で本来なら脱着用のファスナーを取り付けるところを完全に融着させて脱げなくしてしまうというもの。 一度、試作品を作ってみるので後日連絡を頂ける事になった。 私はいつカメレオンの着ぐるみができるのだろうと待ち侘びていた。 少しそんな熱が冷めた2週間後、試作品ができたと連絡があり試着に行くことになった。 スパッツにTシャツに着替えていざ試着に臨む。 カメレオンの着ぐるみは本物と変わらない見事な作りだった。 さすがはプロだと感心しながらカメレオンの着ぐるみの周りを私は何周もした。 ただ、大きく違うのは背中がパックリと空いていること。 部分脱皮ではなく、まるごと脱皮でもしたように見えなくもない。 そんなカメレオンの着ぐるみに私は今から足を踏み入れる。 数分後には私は魂が抜けたようなカメレオンの内臓となり命を吹き込むのだ。 そう思うと股の辺りがキュッとなった。 まずは足からカメレオンの着ぐるみの中へと入っていく。 着ぐるみの中はゴムでできているので滑りが悪い。 私は足を入れただけで足を通す事もできずに汗だくになってしまった。 「やっぱり難しいよな」 そう言ったのは担当の竹村さん。 竹村さんはこうなる事も想定してあるものを準備してくれていた。 それはラバースーツというゴムでできたスーツ。 カメレオンの着ぐるみ製作の際に私を採寸したデータから私にピッタリのラバースーツもオーダーしてくれていた。 「これを着てから潤滑油を塗ったら着ぐるみが着やすくなると思うよ」 “なら、最初から出せよ!” そう心の中で悪態をついたものの私は竹村さんからラバースーツを笑顔で受け取った。 女性スタッフに案内されて更衣室へと向かう。 ゴムに潤滑油的なものを塗ったら、かなり滑りが良くなって、私はカメレオンになれる。 そう思い、ラバースーツに着替える事にしたのだが、とにかく着るのが大変。 こちらもゴムのため滑りが悪く着るのが難しかった。 おまけに体にピッタリと張り付いて体のラインが顕著になり恥ずかしい。 それだけでなくこのラバースーツはマスクまで一体もので私の全身を黒いゴムへと変えた。 背中を縦に走るファスナーはなんとか一人で閉めることができた。 着替えを終え、目の前姿見を見ると私の頭はツルツルでおまけに顔は目出し帽を被った銀行強盗のような姿だった。 恥ずかしかったが、かなりの時間が掛かった上、更衣室の外から女性スタッフに声を掛けられて出るしかなかった。 その後、女性スタッフに潤滑油を塗られると、黒いラバースーツは妖しく黒光りして私の全身を妖艶な姿へと変えていった。 潤滑油を塗られる際に体を触られ、変な気分になり顔を赤らめたのは今でもハッキリと覚えている。 潤滑油を塗ってから私はいよいよゴムでできたカメレオンの中へ。 先ほどは足を入れるだけでもかなり苦労したのに、今は嘘のように着ぐるみの中へと私の足は吸い込まれていった。 両腕も通して最後に頭も着ぐるみの中へ。 私はうつ伏せ状態でカメレオンの着ぐるみの中へ体を埋めていく。 真っ暗闇の中に光が差し込んでいるのが見え、 着ぐるみの中に入った途端、周りの音は全くと言っていいほど聞こえなくなった。 光の差すほうへ頭を押し込んでいく。 私の視界と呼吸はカメレオンの口から確保され、周りの音も聞こえるようになった。 カメレオンの中に私の体がしっかりと収まると背中の方で何かが始まった。 私の目の前に担当の竹村さんの顔が現れて話し掛けてくる。 「今から背中閉じてみるけど大丈夫かな?」 「はい!お願いします!」 私がそう答えるとしばらくしてゴムの焦げたような臭いがしてきた。 今、カメレオンの背中部分が閉じられ、私はカメレオンの中に閉じ込められている。 もう簡単には出られない。 そう思うと妙に興奮してしまう。 また、目の前に担当の竹村さんの顔が現れた。 「もう動いても大丈夫だよ!動いてみて」 そいう言われて私は両手両足に力を込める。 体は少し持ち上がったが、ある一定以上は上がらない。 確かにカメレオンが2足歩行する事はない。 私はゆっくりと四つん這いで歩き出した。 大股開きで歩くのに少し戸惑いはあった。 女子高生が四つん這いで床に這いつくばって歩いているのだから。 ただ今の私はカメレオンだ。 大股開きではあるが、それを隠すように尻尾がある。 そう思うと急に戸惑いも消えていった。 ゆっくりと歩いているが、かなり体力が削られる。 着ぐるみを構成しているゴム自体が硬いのだろう。 それに手足の関節部分がほとんど曲がらない。 曲げるだけでもかなりの力が必要となる。 だから、着るのにもかなり苦労したのだと思った。 そして何よりこの暑さ、尋常じゃないくらい暑い、暑過ぎる。 ラバースーツを着ているのもあるとは思うが、とにかく暑い。 2、3歩進むとしばらく大きく呼吸をしないと進めない。 何度も休憩を繰り返して歩いたがほとんど進めないまま、私は潰されたように両手足を床に投げ出した。 「大丈夫?」 竹村さんが慌てた様子で声を掛けてくれた。 「いや、あの暑くて!出して下さい!」 すぐさまカメレオンの背中が開けられて、工房の女性スタッフに手を貸してもらいながら私は上半身をカメレオンの着ぐるみから出した。 「はぁ、はぁ、はぁ、キツかったです」 そう言って私はラバースーツのマスクも外した。 「感想を聞かせてもらってもいいかなぁ?」 「はい、まず物凄い暑さで頭がクラクラしてきました」 「それに移動しようとすると、着ぐるみのゴムが硬く分厚くてかなり力が要るので、しょっちゅう休憩しないとダメなほどです」 私の意見をメモを取りながら竹村さんは話を聞いてくれた。 「取り敢えず今日はありがとう、また試着お願いしてもいいかな?」 「はい、是非よろしくお願いします」 「今日の部分を改善しておくから楽しみにしておいて!」 竹村さんはそう言うと工房の女性スタッフに私を更衣室へ案内するように指示していた。 その日の試着はこれで終了だったが、ラバースーツのあのピッタリとした感触とカメレオンの着ぐるみに包まれ出られなくされた時の高揚感は私が今まで経験したことのないものだった。 思い返すだけでお股が湿ってくる。 私は次回の試着を楽しみに家へと帰るのだった。

脱げないゴムの着ぐるみ【カメレオンになりたい 編】

More Creators