1週間後、着ぐるみの改良ができたと連絡があり工房へ。 今日はそのまま更衣室へ工房の女性スタッフとともに向かう。 ラバースーツを渡されて、少し憂鬱になる。 “これ、けっこう着るの大変なんだよね” 私のそんな心の声が届いたと思ってしまうタイミングで女性スタッフはボトルを差入れてきた。 「これは?」 「ラバースーツを着やすくする潤滑剤です、体とラバースーツの両方に塗って使うと着やすくなりますよ」 言われた通りにすると、なるほど前回とは比べ物にならないほど滑りが良くて簡単にラバースーツを着ることができた。 “こんなのあるなら早く出せよ!” そう悪態をついてみるが声には出さない。 一度、経験したからか、工房の人に私の全身をピッチリと覆うラバースーツ姿を見られているからだろうか、そんなに恥ずかしさを感じなかった。 担当の竹村さんが話し掛けてくる。 「早速だけど、着ぐるみを着てもらえるかなぁ」 「はい!」 私は元気良く返事をし、試着に取り掛かる。 着ぐるみも前回着たので要領は得ている。 潤滑油を塗られて黒光りする私の足を着ぐるみの中へと通していく。 “あれ?” この時点で前回と違うことに気がついた。 着ぐるみの中がすごく冷んやりとしている。 「気づいたようだね」 私のリアクションを見て、竹村さんが話し掛けてきた。 「着ぐるみのゴムの中に冷却用のチューブを巡らせてあるんだよ、だから前回よりずっと涼しいはずだよ!」 「はい!ありがとうございます!」 私は腕も通して頭も通そうとした時、再び話し掛けられた。 「今回は腕も足も関節部分はゴムの厚みを薄くしたから動きやすくなっていると思うよ!じゃあ、また後で感想を聞かせてね」 「はい、分かりました」 私は元気に返事をしてからカメレオンの着ぐるみの中へ頭を通していった。 体が完全にカメレオンの着ぐるみの中に収まると、背中の方で作業が始まる。 私はまたカメレオンの中に閉じ込められるのだ。 そう思うとお股が熱くなり湿り気を感じる。 “私ってきっとドMなんだろうな” 自分の性癖に薄々感じながら、完全にカメレオンの着ぐるみに閉じ込められるのを待った。 私は完全にカメレオンの着ぐるみに閉じ込められたようで、竹村さんがカメレオンの口から覗き込んで話し掛けてきた。 「じゃあ、歩いてもらえる?」 私は這いつくばるような体勢で4本脚で歩き始めた。 前回よりもはるかに腕も足も動かしやすい、それに暑さがかなり軽減されている。 自分でも驚くほどスタスタと歩いていける。 ちょっとカメレオンではないほど速く動けてしまう。 そこは自分で調整すれば良いだろう。 何か改善してもらうところを模索しながら歩いていたのだが、工房の人たちが珍しそうに口の中を覗いてくるたびに視線が合ってしまう。 お客さんから覗かれたら人が入っているとバレてしまう。 それに動いていたら流石に暑くなってきた。 仕方のない事だと思うが、長時間入る前提で考えれば改善してもらうべきところではまだまだありそうだ。 ある程度動き回ったところで私は暑くて動けなくなってしまった。 竹村さんが口から覗き込んで声を掛けてくる。 「そろそろ限界だね、今、脱がせてあげるからね」 私はまた踏み潰されたように手足を投げ出して、カメレオンの着ぐるみから出してもらうのを待った。 前回は背中を開けてもらっても出る事もできないほど弱りきっていたが今日は違う。 自力でカメレオンの着ぐるみから顔を出した。 「どうだった?」 早速、竹村さんに感想を求められる。 「暑さはだいぶ改善されたのですが、動いていると暑くなってバテてしまいますね」 「手足はかなり動かしやすくなりました」 私の感想を聞いて、頷きながらメモを取る竹村さん。 「あと気になったのは口の中を覗かれた時、覗いた人と視線が合ってしまうんです」 それも竹村さんは頷きながらメモを取っていた。 「今日もありがとう、園長からどれくらいの時間着ぐるみに入っていられるようにして欲しいって聞いてるかな?」 このプロジェクトは私の意見で始まった、着ぐるみに入るのも私だから連続着用できる時間を考えながら伝える。 “土日はバイトに必ず入るから… ” 「2日間ほど」 私自身ちょっと躊躇したのもあり声が小さくなった。 それを聞いた竹村さんは驚いていた。 それはそうだろう、1時間でも長いくらいなのに2日なんて言われたのだから。 私は慌てて訂正する。 「できるだけ長く入れるようにして欲しいらしいです」 それに対して竹村さんが答える。 「冷却系を強化して鷺元さんが少しでも長く入れるように工夫してみるよ」 そう言ってくれたが、私の事をかなり心配してくれている事は伝わってきた。 更衣室へ着替えに行こうとする私に竹村さんが声を掛けてきた。 「良かったら試作品渡すので、家でも特訓するのに使ってよ!応援してるよ」 そう言ってガッツポーズを見せる竹村さん。 私の着ぐるみに閉じ込められたい願望が、竹村さんには頑張り屋さんの女の子として伝わってしまったようだった。 更衣室に入って着替えていると、女性スタッフが入ってきた。 「鷺元さん!竹村さんに渡すように言われたものここに置いておきますね」 「はい!分かりました!」 「それとラバースーツも持って帰って家で練習用に使って下さい、メンテナンス用品も一緒にここに置いておきますね」 「はい!ありがとうございます」 「お疲れ様です」 「お疲れ様でした」 女性スタッフは用件が済むと出ていってしまった。 私が着替えを終えてで来ると、大きなゴミ袋に入ったカメレオンの着ぐるみと、いくつかのボトルと紙が入ったビニール袋が置かれていた。 ビニール袋の中はラバースーツのメンテナンス用品だろう。 ビニール袋とラバースーツを持ってきたリュックに詰めたが、カメレオンの着ぐるみは流石に入らない。 両手で抱き抱えるようにして持って帰る事となったのだが、電車の中で目立ちまくったのは言うまでもない。