しばらく会えていなかった梨紗から連絡が来た。 だが、その日は先約が入っていた。 文也の婚活パーティーに付き合って俺も参加させられる事になっていたのだ。 夕方くらいには婚活パーティーも終わって会えそうなので梨紗には夕方から会えると連絡を返した。 今日はドタバタ、梨紗との約束もなかったので、朝から伊織さんがスーツケースを持って現れた。 もちろんスーツケースの中には赤いラバー女となった沙織ちゃんが入っている。 2人をバキュームバッグ、バキュームベッドの二重真空パックし、人間カーペットにして俺は家を出てきた。 電車で移動中に梨紗から連絡が来た。 [今日、会えないかなぁ?] [朝から用事があって夕方からなら大丈夫!] そう返すと、すぐに返信があった。 [じゃあ、夕方に京介の家の近くまで行くね] そのメッセージを見ている時に文也と合流した。 [了解!] そう簡単に返して俺は後で後悔する事になる。 文也に付き合って婚活パーティーに行ったのだが、もの凄い美人に出会った。 名前は篠宮 瑞希(いくしまみずき)さん、美しさと可愛さを併せ持つ大人の女性。 当然、一番人気になってしまった。 “まあ、俺には梨紗もいるし” そんな気持ちで力は入っていなかったのだが、周りの男どもは凄い。 篠宮さんに熱烈アピールしていた。 順番が回ってきて俺も篠宮さんと会話する。 周りの男たちとの温度差を感じた篠宮さんが小声で聞いてくる。 「三浦さんって恋人はいますか?」 俺はウンウンと頷いた。 それを見た篠宮さんは笑顔を見せて小声で言った。 「私もです、友だちの付き合いで」 俺も笑顔になり、小声で返す。 「俺も友人の付き合いです」 そんなやり取りが少しあっただけで、他の男たちより遥かに短い時間だったが篠宮さんとの会話は終了した。 その後も何人もの女性と会話をしたが、全然楽しくなかった。 最後に告白タイム。 男性からお目当ての女性に告白し、カップルが成立したら連絡先を交換する。 篠宮さんにかなり多くの男たちが集中し、俺も篠宮さんに告白した。 その中には文也もいた。 まあ、ある程度結果は予想がついていた。 友人の付き合いで参加した恋人がいる者同士のカップルが成立するのは必然だった。 当然のように帰りには文也から責められる。 文也には篠宮さんには恋人がいて、友だちの付き合いで参加した事を教えてやると他の女性にすれば良かったと嘆いていた。 憂さ晴らしのため、文也から飲みに誘われたが今日はお断り。 これから梨紗と久々に約束があるからと言って納得してもらい会場近くで別れた。 婚活パーティー会場近くの駅へ向かっている時、梨紗からメッセージが届いた。 [待ち合わせは中止!京介の家へ直接行くからね] そのメッセージを見て俺は焦った。 今、家のダイニングテーブルの下には伊織さんと沙織ちゃんを真空パックして放置している。 先日の文也みたいに酔っていれば誤魔化しも効くだろうが、シラフの梨紗にそんな誤魔化しは効かない。 しかも、バレたら浮気を疑われるのは間違いない。 俺は焦ってメッセージを返す。 [え!俺んちに来るの?] [うん、料理の食材も買ったから、今から向かうね] [ちょっと待って!ゆっくり来てね!部屋散らかってるので片付けるから] 梨紗よりも先に家に帰らないと大変なことになる。 駅まで走って行ったが、タイミング悪く電車は出発したばかり、次に来た電車に飛び乗ると急行に追い抜かれるという電車だった。 焦りからミスがミスを呼んで帰るのが遅くなってしまった。 婚活パーティーでは全てが上手くいきいい思いをしたが、良い事があれば悪い事も同じだけあると聞くがまさにそれ。 俺は梨紗がゆっくり家に来ることだけを願い、家路を急いだ。 駅から猛ダッシュで家へ。 エレベーターで少し息を整え、なんとか家まで辿り着いた。 問題はここから。 『ガチャ!』 鍵を開けて家に入り急いで中へ。 梨紗の姿を確認しつつ、ダイニングテーブルの下のカーペットをチラッと見たが出掛けたままなんら変わりなかった。 “良かった!バレてない” そう思いながら梨紗の名前を呼ぶ。 「梨紗ー!梨紗ー!ん!」 ダイニングテーブルにはすでに料理の準備ができており、書き置きがあった。 [買い忘れたものがあったので、買いに行ってきます] “ラッキー!今のうちに2人をクローゼットへ隠そう、2人への説明は梨紗が帰った後にすればいいだろう” そう思い、急いで行動に出る。 バキュームベッドの上に載せられていたカーペットを取り除き、バキュームベッドの横のファスナーを開いて手前の沙織ちゃんを引っ張り出し寝室のクローゼットへと運ぶ。 またすぐにバキュームベッドへと戻り、今度は伊織さんを引っ張り出してからバキュームベッドを隠すようにカーペットを元に戻した。 引っ張り出した伊織さんは沙織ちゃんと同じくクローゼットへ隠す。 「ごめん、しばらくここに隠れてて!」 そう声を掛けてクローゼットの扉を閉めた。 「ちょっと待って三浦くん!」 その声に驚いて俺は変な声を上げてしまった。 振り返るとそこにはラバースーツ姿でマスクを脱いだ沙織ちゃんが立っていた。 「え!ちょっと沙織ちゃん、なんで?え、これは誰?」 クローゼットを開けて中を確認したが、やはりバキュームバッグで真空パックされた2体のラバー女がいる。 沙織ちゃんは笑顔で答える。 「誰って、三浦くんのよーく知っている子だよ!」 「えー!誰々?沙織ちゃん教えてよ!」 「どうぞ、ご自分で確認して下さい!」 そんな沙織ちゃんの言葉に促され、沙織ちゃんんだと思って運んだ方のラバー女のマスクに手を掛ける。 ラバー女の方も自ら顎を上げてラバーマスクを脱ぎ易くしてくれる。 少し嫌がる素振りを見せたがラバーマスクを脱がせて出てきた顔を見て驚く。 「なんで梨紗が?」 出て行く前は確かに沙織ちゃんと伊織さんをバキュームバッグ、そしてバキュームベッドに閉じ込めて出掛けたはず、なのに… 。 なのに、沙織ちゃんと梨紗が入れ替わっているのだ。 そんな俺の後ろから沙織ちゃんが話し掛けてくる。 「梨紗はねぇ、私の幼馴染みなんだよ!」 そう言うと沙織ちゃんは真空パックされて身動きのできない梨紗の横に並んで、梨紗との関係を教えてくれた。 そこからは梨紗が俺が帰ってくるまでの経緯を説明してくれる。 夕飯の準備をしていたが、人の気配がするので気持ち悪くテーブルの下に真空パックされた2人の女性を見つけて驚いたこと、そして出て来た赤いラバーマネキンが幼馴染みの沙織ちゃんだった事にかなり驚いたこと。 俺も驚かせようという事になり、沙織ちゃんと入れ替わった事を説明してくれた。 俺はとにかく梨紗に2人とはラバープレイをするだけで、男女の関係がないことだけはしっかりと伝えた。 梨紗からは内緒で2人とラバープレイをしていた罰として、梨紗も加えた3人でのラバープレイをする事を条件に今回のことは許してもらう事になった。 俺と梨紗、それに沙織ちゃんの3人で話している間、伊織さんはクローゼットの中で真空パックされたまま置き去りになっていた。 「今日はこれで帰ります」 と言い出した沙織ちゃん。 浴室へ行くとラバースーツを脱いでシャワーを浴びるとスーツケースの中にあった服へと着替える。 そして、いつものようにスーツケースの中に真空パックされたゴムの塊となった伊織さんを詰め始めた。 俺もそれを手伝うが、いつもの事なのに梨紗に見られているとどうもやりにくいかった。 いつものように行きと帰りで入れ替わった沙織ちゃんと伊織さんはあっさりと帰ってしまった。 梨紗と2人きりになるとなんとも言えない雰囲気になった。 そんな梨紗が俺に話し掛けてくる。 「京介、沙織からラバープレイに至った経緯を聞いたんだけど… 」 恐る恐る返事する。 「うん、なんて言ってたの」 「中身が伊織さんのラバー女を私と間違えて買い取ったって、どういう事?」 俺は目を瞑り天を仰ぎ、どう梨紗に説明したらいいかを考えた。 しかし、なんのアイデアも浮かんでこない。 “誤魔化そうとしてもボロが出るだけだ!” そう思った俺は竜崎先輩の事から全て梨紗に話すことにした。 高校時代の野球部の先輩がいて、その人が今は半グレのボス的な存在になっている事。 たまたま友人と2人で飲んでいた時にその先輩と遭遇し、連れて行かれた先に黒いラバー女がいて友人と2人でそのラバー女を強姦した事を告白した。 熱心に俺の話に耳を傾ける梨紗。 俺は話を続ける。 その後、友人と酒を飲んで帰りの電車で梨紗を見掛けたこと。 すぐにはあのラバー女と結びつかなかったが、俺が調子に乗って暴力を振るった痕跡が梨紗に見られたこと。 決定的だったのは梨紗がラバースーツを着たままだった事に気づいた事を話した。 そして、悲しげに車窓から外の景色を眺めている梨紗に声を掛けられなかったことも話した。 それから少ししてラバーに興味を持った梨紗に少し安心していたが、仕事で遅くなると聞いて居ても立っても居られなくなり、俺は仕事を休んで梨紗を尾行した事も話した。 尾行すると梨紗の入った雑居ビルには竜崎さんの事務所があり、梨紗の乗ったエレベーターが事務所のある5階に止まったので、すぐに俺も5階へと向かった。 しばらく待っても出て来ない梨紗を心配して事務所に踏み込むとそこには赤いラバー女がいた。 今度は俺が絶対に守ると心に誓い、竜崎さんに買取りを申し出て家に持って帰って確認すると、梨紗ではなく伊織さんだったことを説明した。 もちろん、梨紗だと思って行為に及んだことは伏せて。 梨紗は俺の説明で納得してくれたようで抱きついてきた。 甘える梨紗と俺はゆっくりと一緒に過ごした。 翌週から梨紗も加えた3人とのラバープレイが始まった。 俺の目の前には赤いラバー女2人と黒いラバー女1人が立っている。 3人とも口にはペニスギャグを頬張り声は出せないし、高性能の耳栓をし外からの音も聞こえない世界の中で3人を真空パックする。 毎回ラバープレイをする毎に手を加えていき、今では週末の土日の2日間バキュームベッドの中に閉じ込めても大丈夫なように、ペニスギャグくら水分と栄養補給ができるようにした。 ダイニング下も段差をつけて、3人がバキュームベッドに収まったあとギュウギュウではあるが収納できるスペースも作った。 蓋をした上からカーペットを敷き、完全に3人の存在を消した。 ダイニングテーブルの下に3人もの美女がゴムの塊となり、人権を奪われて閉じ込められている。 3人ともかなりの変態である事は間違いないだろう。 そんなプレイも始めのうちは興奮して俺も彼女たちに付き合っていた。 だが、最近ではそれにも慣れてしまい彼女たちをモノのようにしか見れなくなっていた。 そんなある日のこと。 『ピンポーン!』 インターホンが鳴り対応する。 「こんにちは!」 笑顔で俺の部屋へとやって来たのは、婚活パーティーで知り合った篠宮 瑞希。 「これ、一緒に食べましょ!」 篠宮さんは手土産にケーキを持って来てくれた。 「どうぞ!入って」 「お邪魔しまーす!」 篠宮さんを部屋へ招き入れて、ダイニングテーブルにケーキとコーヒーを並べる。 ごく普通に女性と楽しい時間を過ごしながら、たわいもない話で盛り上がる。 話題は婚活パーティーの時の話に。 親友の文也は高校がの友人で、腐れ縁もあり彼女ができない文也に付き合って婚活パーティーに参加したのに俺がカップル成立したものだから後で大変だった事を話した。 そんな話を聞いて篠宮さんも高校時代の親友の話をしてくれた。 名前は伊織といって、高校の時から誰もが認める美人だったらしい。 少し前までは連絡だけは取っていたが、最近は忙しくて会えていないそうだ。 俺の身近にも伊織さんはいる。 すぐ足下でゴムの塊になって今日もいる。 気になった俺は伊織さんのフルネームを聞いてみた。 「淡路 伊織っていうんだよ!三浦さんが彼女さんと別れたら紹介してあげようか?」 そう言って篠宮さんは笑うが俺は愛想笑いしかできなかった。 俺は心の中で呟く。 “親友の伊織さんはあなたの足下にいます” 次の話題は兄弟の話になった。 俺が一人っ子である事を話すと、篠宮さんは可愛い妹の話を始めた。 篠宮さんの妹さんは大企業に勤めていて自慢の妹さんらしい。 その会社名を聞いて俺は驚いた、俺と同じ会社だったから。 しかも妹さんは秘書をしていると聞いて俺はドキッとしてしまう。 同時に俺はある事を思い出した。 “沙織ちゃんの苗字って確か…篠宮!” 妹さんの話を楽しそうに話す篠宮さんだが、俺の耳には入って来ない。 “親友の伊織さんだけでなく、可愛い妹の沙織ちゃんも今、あなたの足下にいます” 俺はどんな顔をして篠宮さんの話を聞けばいいか分からなくなっていた。 「でね、妹の沙織も可愛いだけど、私にはもう1人妹のような存在の子がいて… 」 俺は頷きながら話を聞いていたが、もう嫌な予感しかしない。 “篠宮さん、それって梨紗じゃないですよね?” そう心の中で呟く。 「その子も可愛いのに頭が良くて弁護士やっているのよ!」 自分の事のように自慢げに話す篠宮さん。 「凄いでしょ!明智 梨紗ちゃんっていうのよ、法律関係で困った事があったら紹介するから言ってね」 “多分、直接相談します” 俺は頷きながら心の中で呟いた。 そして思う。 “篠宮さんが話してくれた3人とも今、人ではないゴムの塊となって足下にいますよ!” 腕時計をチラッと見た篠宮さんが言った。 「私、そろそろ行かなきゃ!今日はありがとう、楽しかった!」 「俺も久しぶりに普通に過ごせたので楽しかったです」 口にして自分の言ったことが変だったことに気づいた。 「それなら良かった」 篠宮さんは笑顔でそう言って続ける。 「じゃあ、兄思いの妹と親友、それに私のもう1人の妹もよろしくね」 そういうと篠宮さんは手を振って行ってしまった。 それを俺は首を傾げて見送っていたが、篠宮さんの言葉は引っ掛かることばかり。 「え、え、え、どういうこと?」 「え、篠宮さん、足下に3人が閉じ込められている事を知ってたの?」 「それに… 兄思いのって… 」 「えー!」 少し、篠宮 瑞稀さんの事をいいなぁと思っていた俺は叫んで、その場に崩れ落ちた。 おしまい