ショーのイベントスタッフをしている俺は、ショーが終わってもなかなかテントから出て来ない司会のお姉さんと足だけ怪獣【レッグス】の中の女性の顔が見たくて、口実を考えテント中へと入って行った。 そこには当然いるはずの2人の女性の姿はなく、怪獣【レッグス】だけが床で悶えていた。 周りを見渡すと星人のマスクや先ほど怪獣を演じていた女性たちの着ぐるみが目についた。 そしてパイプ椅子の上には司会のお姉さんの衣装も置かれていた。 “ええ!いったいどういう事?” 俺はこの状況を全く把握できなかった。 2人残っているはずのテントの中に1人しか残っていなかったからだ。 自分を落ち着かせて導き出せた答えは一つ。 [足だけ怪獣【レッグス】=司会のお姉さん] という事。 “まさか、あんな可愛く俺好みの司会のお姉さんが足だけ怪獣【レッグス】の中の人だったなんて… ” 想像もしていなかった事実にしばし固まる俺。 だが、同時にショーの事を思い出していた。 確かに【レッグス】と司会のお姉さんは同時には登場していなかった。 しかも、入れ替わりの間はウルトラマンと星人のやり取りなど、かなり時間を取っていた事からも着替える時間は十分にあった。 それに今思えば、司会のお姉さんが出てきた時、額に汗が光っていた。 あれは【レッグス】から出て急いで着替えたからだろう。 それに少し髪も乱れていた。 さらに近くで見ていた俺だから分かった事だが、司会のお姉さんの頬には少し何かの痕が付いていた。 あれも着ぐるみに入っていたからだろうか。 一人二役を務めた司会のお姉さんは凄いと思うと同時になぜ他の人たちと行動しないのかが不思議でならなかった。 「あのー!」 俺は床で悶えている【レッグス】に近づいて声を掛けた。 【レッグス】は俺の方を見てビクッと反応した。 【レッグス】の覗き穴がどこにあるか分からないが、俺の姿は見えているようだ。 知らない人間が入ってきたから驚いたのだろう。 「ごめんなさい驚かせて、僕は今回のイベントスタッフです」 そう言ってスタッフジャンパーの背中を見せた。 そんな【レッグス】に俺は続ける。 「あのー、他の方たちと休憩へ行かないんですか?」 そう尋ねてみたが【レッグス】の中の人は何も答えず、時折体をビクッとし、小さな呻き声が漏れた。 「足だけ怪獣だから手が使えないんですよね、僕が怪獣から出してあげますよ」 俺は【レッグス】に閉じ込められ出られない司会のお姉さんを出す事で、着ぐるみから出たばかりのお姉さんの顔を拝む事ができ、これがキッカケで恋愛に発展するのではないかと期待し、足だけ怪獣【レッグス】に近づいていく。 だが、【レッグス】は俺との距離を取ろうと床を這いずる。 だが、所詮は動きの制限された着ぐるみを着ているので俺から逃げる事はできない。 難なく捕まえると、背中側にあるはずの脱着ファスナーを探した。 ゴツゴツした緑色の皮膚を重ね合わせるようにしてあるマジックテープの先にファスナーがあった。 ファスナーを見つけたが必死に逃れようとするお姉さん。 「今、開けてあけますから落ち着いて!」 そう声を掛けてから一気にファスナーを開いた。 本当に嫌なら大声を上げて拒むはず。 俺はそう思っていた。 ファスナーを開けると汗の臭いと共に熱気が噴き出してきた。 そんなファスナーを開けた先に白い肌が見えた。 “裸で着ぐるみに?!” 咄嗟にそう思った俺の目にお姉さんの腕が見えた。 その腕は麻縄で縛られており、麻縄はお姉さんの汗が染み込んで濃い茶色に変わっているように見えた。 つづく