共通のフェチで仲良くなった彼女。 メッセージをやり取りする中でお互いの気持ちがどんどん高まっていった。 ただ、俺もそうだが、彼女にも大切な家族がいる。 だが、二人は会う約束をしてしまった。 ただ、絶対に一線を越えない、越えてはならいという思いから取ったのが、全身黒一色のラバースーツで会うこと。 顔も分からないノッペラボウ姿で会って話をした。 ラバースーツを着ているので相手の肌には直接触れることもないし、キスをしても舌を絡めることもできないし、性行為に及ぶこともないようにしてホテルの一室で会った。 「初めまして」 今まで毎日のようにメッセージだけでやり取りしていたのだが、初めて聞く彼女の声は新鮮だった。 「初めてというのも何か変だね」 そう言って二人とも笑うと少し緊張が解れた気がした。 ノッペラボウで相手の表情も分からないのに、面と向かってっという表現は適当でないかもしれないが、同じ空間で話をすると妙に緊張してしまう。 メッセージの時は興奮して勃ってきた、濡れてきたなど平然とやり取りしていたのに、おかしなものだ。 俺も彼女同様に緊張して言葉が出て来ない。 だが、いつものメッセージの呼び名で彼女を呼ぶと急にその場の空気が解れた気がした。 それをキッカケにフェチな話がどんどん溢れて、いつものメッセージのやり取りのようになり、直接話しているので盛り上がりも半端ではなかった。 そして、ドMである彼女に言葉で揺さぶりをかけていく。 「ねぇ、もう濡れてきて、お股触りたくなってない?」 「え!そんなことないよ!」 彼女はそう返したが、内股になり太ももを擦り合わせていた。 「じゃあ、少し触ってもいい?ラバースーツの上からだったら直接じゃないから大丈夫だよね」 「… 」 俺の言葉に彼女からの返事はない。 だが、メッセージのやり取りをしているので、俺は彼女のことをよく知っている。 怒っている訳ではなく、触られるときっと自分を抑えられなくなるから。 凄く触って欲しいし、俺に奉仕をして喜ばせたいと思っていることは分かっている。 向かい合って座っていたので声を掛けた。 「隣りに座ってもいい?」 彼女からの返事はないので二人掛けソファーで一人座る彼女の隣りへ移動した。 「ねぇ、どうしたの?」 「… 自分が止められそうにないから…」 彼女は小声でそう答えた。 「それは俺も、だから顔も見せないし、ラバースーツ越しで直接肌と肌が触れられないようにしたんだ」 そう言って彼女の頭をポンポンしてやると、彼女は俺に覆い被さるように抱きついてきた。 「やっぱり好き、顔は見えなくても触れ合っていたい、例え直接肌が触れ合えなくても!」 ラバーマスク越しに唇を重ねて体も重ねる。 残念ながら挿入する事はできなかったが、それでも彼女と触れ合えて俺は満足だった。 「勃ってるね、おっきい!」 そう言ってラバースーツにクッキリと浮かび上がった俺のペニスを弄る彼女。 「どれどれ?」 俺は彼女のお股に手を持っていき、ラバーの滑り具合から濡れている様子を確認する。 「もう、触られただけで私、おかしくなっちゃうからダメぇ!」 「でも、触って欲しいだろう?」 「うぅぅぅ… 」 「じゃあ、やめようか?」 俺が彼女のお股から手を引くと彼女が言った。 「やっぱり触って欲しい」 「え!なんて言ったの?」 「私のお股を触って下さい、ご主人様」 「はい!よく出来ました」 「取り敢えず、ここではなんだからベッドルームへ行こう!」 ベッドの上で、俺と彼女は互いの体を擦り合わせながら気持ちよくなり、俺は彼女が逝かない程度にお股を触り続けた。 「逝かせて下さい、お願いします!」 と懇願する彼女に言った。 「一線を超えないためにも、ここで我慢しよう」 いつもの焦らし作戦だが、彼女にはこれが一番効果的だった。 その後もラバースーツを着て俺と彼女は唇を重ね、体を重ね続けた。 逝かないように心掛けたが、俺はラバースーツの中で何度も逝ってしまって大変な事になっていたが、それは彼女には気づかれないように振る舞った。 顔は見えないがきっとラバーマスクの下には蕩けているであろう彼女の顔を想像しながら体を重ね合わせた。 焦らしていたが、このままというのもと思い、彼女の希望通りお股を触って逝かせてあげた。 逝った後も熱い抱擁を交わし、しばし余韻に浸る。 顔も見ていなければ、肌も全く触れ合っていない。 人がどう判断するかは置いておいて俺も彼女も浮気ではなく、行き過ぎたフェチ友達の交流と考えている。 性欲を抑えられなくなると、自分の殻(ラバースーツ)に閉じ籠り、その中で処理をする。 それを飛躍的に高めるためにお互いの殻の外から少し刺激を加えただけに過ぎないという認識だ。 ベッドの上で彼女と体を重ね、そしてメッセージだけではできなかった会話をして、楽しい時間を過ごしていたのだが、そろそろ楽しい時間も終わりが近づいてくる。 【お互い離れたくない】 【もっと一緒にいたい】 そんな気持ちは強いが始めに決めた通り時間厳守でそれぞれの家庭へと戻る。 彼女もそれに同意して会ったはずなのだが、別れたくない気持ちが強くなっていき、最後はお互いを確かめるようにギュッと強く抱き合っていた。 今だけは会話はなくお互いを体で確かめ合うように。 そして終わりの時間となった。 あらかじめ決めていた時間になったので彼女はラバースーツの上からダウンコートを羽織り、フードを被ると部屋を出て行った。 敢えて「さよなら」は言わなかった。 言ったらお互い寂しくなり別れるのが辛くなるから。 彼女はそのまま帰る訳ではなくお互いが顔を合わせないためにホテルにもう一室取ってあり、彼女はそこでラバースーツを脱いでシャワーを浴びてから着替えて帰路に着く。 俺は彼女が出て行って一人になった部屋で脱力しソファーに座り込んだ。 そしてラバーマスクを取った。 短い髪だが長い時間ラバーマスクを被っていたので少し乱れているが今はどうでもいい。 彼女との約束で会うのは今日が最初で最後。 これからはSNSのメッセージのやり取りだけの関係に戻る。 一度だけでも会えた?のか、分からないが彼女と触れ合えて一緒に過ごせた時間はかけがえのないものだった。 おしまい