クリスマスイブという事で、お知らせにはない特別な着ぐるみ小説を公開します。 時給1500円に飛びつき大型ショッピングモールで期間限定のアルバイトを始めた。 期間は12月15日から25日まで、つまりクリスマス用の募集だった。 私には彼氏がいないので、クリスマスの予定もない。 出かけてもカップルだらけの街中では虚しさが募る。 かと言って、部屋で一人テレビを見ているのもこれまた虚しい。 そんなこともあり、高時給バイトは私には打ってつけだった。 面接に行くと聞かれたことは、体力に自信があるかと、クリスマスの予定はないのかだった。 私は女子の中では身長が高く小学生の時始めた水泳は記録が伸びるが楽しくて中学も高校もそして大学に入ってからも続けた。 しかし、大学に入ってから挫折、この秋まで頑張っていたが、周りのレベルが高くついて行けずに辞めてしまった。 なので、彼氏そっちのけで水泳に打ち込んでいたことを説明した。 面接してくれた女性は納得したように頷き、「採用です、明日早速ですがスパッツとTシャツ」と言いかけて「水泳部だったら水着の方がいいかな、水着を持ってきてくれる?」と言い直した。 私は「ハイ、よろしくお願いします」といって翌日ショッピングモールへ行くことになった。 どんな仕事だろうと思いながら次の日を迎える。 昨日と同じ部屋に通されると、横のテーブルに目を引くものが置いてある。 木の着ぐるみ、人形で背中にファスナーがある。 そしてその横にはウルトラマン? どうゆう事だろうと頭を捻っていると昨日の面接の女性が入ってきた。 「昨日はどうも、私はイベント企画室の河島 奈緒と言います」 改めて言われると私も座ったままだといけないと思い立ち上がり「真島 真由です、よろしくお願いします」と挨拶した。 「まずは座って話しましょうか」 そう言って向かい合って着席する。 「もう、気づいているかも知れないけど説明するね」 「イベント期間中、真由ちゃんには着ぐるみに入ってもらいます」 私はウンと頷く。 「狭いところとか大丈夫?閉所恐怖症の人もいるから」 「大丈夫です」と答え、チラッと木の着ぐるみを見る。 奈緒さんは説明を始めた。 真由ちゃんにはそこにある木の着ぐるみを着てモール内を回ってもらいます。 木の着ぐるみには引っ掛けるところがあって装飾を子どもたちにつけてもらいます。 この装飾には通し番号がふられていて、24日の抽選が行われ、通し番号には事前に子どもの名前と住所、欲しいものが書かれていて25日の朝にプレゼントが届くようになってます。 この装飾を回収すると今度はそれを大クリスマスツリーに装飾します。 子どもたちの夢のクリスマスツリーという訳です。 私は納得したように頷く。 モール内を着ぐるみを着て移動しないといけないので、水着を着て着ぐるみに入るのかと一人納得していた。 奈緒さんからの説明は続く。 木の着ぐるみを着てモール内を歩いてもらうのは10時から12時までと16時から19時までの2回で計5時間と12時の昼休憩1時間も時給が発生します。 それを聞いて1,500円×6時間=9,000円の計算がすぐにできた。 思わず口角が上がる。 「あと、隣りにある」と言って説明を始める奈緒さん。 え!隣りにあるのってウルトラマンじゃあ。 13時30分からウルトラマンに着替えてもらって14時から15時の間、おもちゃ屋さんの前で販促で立ってもらいたいの。 特に何かすることもないから、子どもたちに手を振ったり握手するだけでいいわ。 そしてなんとウルトラマンの時給は準備も含めて時給2,000円を支給しちゃいます。 つまり、13時から16時までの休憩込みの3時間。 ウルトラマンになるのは微妙だが、時給には惹かれる。 そして頭で計算する。 2,000円×3時間=6,000円 1日で15,000円はかなり熱い。 それが11日ということは165,000円 「がんばります!」気合いを入れて答えた。 おそらくこの時の私の目は¥マークになっていただろう。 「早速だけど、水着に着替えてもらえるかなぁ」奈緒さんに促されて更衣室で水着に着替える。 もちろん、競泳水着でスパッツタイプのもの。 着替え終わると私の体を見た奈緒さんは、「やっぱりいい体してるね」と褒めてくれた。 「じゃあ、着てみましょうか?」 そう言って木の着ぐるみを広げる。 「こっちが前でこっちが後ろと」説明をしてくれて、背中のファスナーを大きく広げてもらい足を入れていく。 着ぐるみの中は意外と窮屈で体にピッタリする。 腕も通すと曲がらない事が分かった。 頭を入れると真っ暗な先に光がいくつか差し込んでいる。 そこまで顔を埋めていく。 光の所へ辿り着いた。 奈緒さんも見えるし、呼吸もできる。 「どう?大丈夫?」 奈緒さんの問いに「大丈夫です!」と返事を返す。 「背中閉めるわね」そう言うと奈緒さんは私の視界から消えた。 程なくして背中を引っ張られるような感覚がする。 そして再び奈緒さんが目の前に現れた。 「どう?これで完成だけど、歩けそう?」 体全体で大きく頷くと歩いてみる。 腕は真っ直ぐ曲がらず斜め下になったまま動かすことはできないが、足は曲がるので歩くのは大丈夫だ。 更衣室の中を歩いてみる。 「大丈夫そうです」 「じゃあ、背中開けるね」その声の後すぐ背中が楽になった。 体を揺すりながら着ぐるみの外に出る。 「着ぐるみの中ってもっと暑いと思ってました」 私の感想に「そうなの、よく気づいたわね、冷却素材を使用してるから操演者の体力を奪わないようにできてるの」と少し自慢気に語す奈緒。 「じゃあ、次はこっちも着てみようか」 そう言ってウルトラマンを準備する。 断り切れない私はウルトラマンも試着することになった。 奈緒さんは説明してくれる。 「これは少し前のウルトラマンでウルトラマンゼロと言うの、結構細身でしょ、その当時準備したんだけど、誰も着れる人がいなくて新品なの」 確かに私が知っているウルトラマンとは違い現代的でカッコイイ。 早速着てみることにする。 先ほどの木の着ぐるみとは違いウエットスーツでできたウルトラマンは簡単に着ることはできない。 足を通すだけでも一苦労だ。 なんとか腕も通しマスクを被る。 息苦しく視界も狭い。 ブーツとグローブを装着した後、背中のファスナーを閉めてもらう。 お尻の辺りから徐々に上に上がってくる圧迫感と同時に私の体温は上がり、興奮も高まってくる。 というのもこの圧迫されていく締め付け感が堪らない。 私にこんな性癖があったことを気づかされる。 胸が少し潰され顔もマスクに密着し、ようやく圧迫感は落ち着いた。 僅かな視界に奈緒さんが現れる。 「どう?大丈夫?」 変な声が出そうなので、手振りで返事を返す。 「私の思った通りだわ、真由ちゃん背が高いから凄くかっこいいよ」 そう言って姿見を見せてくれた。 そこに映ったのはいつもの私ではなく、細マッチョなクールな感じのウルトラマン。 自分の変わった姿に見惚れてしまう。 こんなウルトラマンなら、やってもいい。 いや、ぜひやりたいと思った。 この後、すぐに脱がせてもらったが結構汗をかいていたが、何か充実した感じがして気持ちよかった。 今日はこれで終わり、明後日からいよいよ仕事本番なので体調を整えて置くように言われて家に帰った。 家に帰ってからも暑かったがウルトラマンになった時の感覚が忘れられなかった。 着ぐるみバイト初日を迎える。 朝、出勤して水着に着替えてから、木の着ぐるみに入る。 モール内を移動する際はスタッフが一緒に回ると説明があり、背中のファスナーも木目柄のテープで見えなくし、簡単には開けられないで心配しないでとの事だった。 モール内を移動し始めると子どもたちが目を輝かせて寄ってきて、飾り付けをしてくれる。 その周りでは保護者が写真を撮っている。 子どもが喜んでくれるのはいいし、この着ぐるみは暑くないのでいいのだが、私は心の中では早くかっこいいウルトラマンゼロになりたいと思っていた。 昼休憩の時間となり控え室にスタッフの女性と共に戻る。 背中のファスナーを開けてもらい顔を出すとスタッフの女性 長尾 美香は驚いていた。 「てっきり中は男性だと思っていました、2時間も着ぐるみを着て動き続けていたので」と。 美香さんは私より2つ年上で年末で地元に帰省していて、着ぐるみのアテンドバイトに応募したそうだ。 「体力あるのね」 「はい、ずっと水泳部で鍛えてたので」 「高校はどこだったの?」 「伊庭高校です」 「えー、一緒だよ、真由ちゃん後輩だね」 「じゃあ長尾先輩ですね」 「美香でいいよ、ところで水泳部だったら大和知ってる?」 「大和 守先輩ですか?」 「そうそう、私の幼馴染みなんだ」 「大和先輩は私の憧れでした」 「彼も水泳辞めちゃったみたいだよ、怪我が原因みたいだけど」 「そうなんですか?」 大和先輩は凄く速くてオリンピックも夢ではないと思っていたのに、大学に行ってからは噂を聞かなくなったので、どうしたのかと思っていたのだが怪我で辞めていたことは少しショックだった。 お昼は控え室に用意された弁当を美香さんと2人でいろいろ話しながら食べた。 「次は午後4時から7時までだよね」 「はい、またよろしくお願いします」私が答える。 美香さんは「私それまでにもう一つ仕事入ってるの、なんだと思う?」 質問形式で聞いてきた。 「うーん、なんだろう?モール内の仕事ですか?」 「そう!正解はおもちゃ屋さんでウルトラマンのアテンドをやるの」 そう言って、スマホの写真を見せてくれた。 そこにはエナメルのような光沢のある赤と銀のワンピースにブーツ姿の美香さんが写っていた。 「ウルトラのお姉さんみたいでしょ」 「そうですね」 この仕事を気に入り上機嫌で話す美香さんにウルトラマンの中身が自分だとは打ち明けられなかった。 「午後2時からやってるから、よかったら見に来てね」 そう言うと美香さんは13時前におもちゃ屋へ向かうため、部屋を出て行ってしまった。 いろいろと準備があるようだ。 私はしばらくボーっと高校の水泳部の事を思い出していた。 憧れ、いや好きだった大和先輩のことに想いを巡らせていた。 知らぬ間に時間が過ぎ、慌てて準備に取り掛かる。 水着の上に着ていたジャージを脱いで、ウルトラマンゼロに着替える。 一度着たので要領は得ている。 グローブとブーツも履いて、背中のファスナーを手の届く範囲で閉めていく。 アスリートたる者体が柔らかくなくてはダメだと思い行っていたストレッチ体操がこんなところで活きる。 マスクも被り一人で着ることができた。 なんとも言えない圧迫感に内股になり、腕を組むようにして全身を撫でる。 なんともいえない感覚に一人酔いしれる。 初めて着た時にしてみたかったが、奈緒さんの前ではとても出来なかった。 「コンコン」控え室をノックする音がして、入って来たのは奈緒さんだった。 「あれ、真由ちゃん一人で着れたの?」 びっくりした様子で私を見ている。 私は左手を腰に当て、右親指を立てサムズアップをして見せた。 奈緒さんはウンウンと頷き、持ってきた袋の中身を広げる。 それはサンタクロースの衣装。 ズボンと上着がある。 「クリスマスだし、女の子だから可愛いお尻が出てるのもいかがなものかと思って用意したのよ」と奈緒さんが説明してくれた。 そう言われて、自分のお尻を見てみる。 ウルトラマンのお尻と思えばなんともないが、女性のお尻と思えば凄くエロく見えてくる。 それに水着のラインもよく見ると浮き出ている。 時間が迫っているのでサンタクロースの衣装を上から着て奈緒さんに連れられておもちゃ屋へバックヤードを移動する。 10分前だが、おもちゃ屋の前は人集りが出来ている。 既に準備を終えたウルトラのお姉さんこと美香さんがいる。 傍らには目が青いウルトラマンがサンタクロースの衣装を着て立っている。 「ウルトラマンジードだ!」子ども達が駆け寄っていく。 そして私の方にも気づいた。 「ウルトラマンゼロもいる」 私は奈緒さんに引率され、人集りの中へと入っていった。 美香さんが「お友だちのみんな、ジードとゼロが来てくれたよ、今から撮影会と握手会するから並んでね」 そう言って、おもちゃ屋のスタッフ、奈緒さんとも連携して子どもたち、その保護者たちの列を作っていく。 流れは聞いていた。 初めに子どもたちと握手をしてから、数人の子どもたちと写真撮影をする。 子どもたちが並ぶのを眺めていて、すぐ横にウルトラマンジードがいることに気づかなかった。 ウルトラマンジードは私の肩を叩き、握手を求めてきた。 おそらくはこれから一緒に頑張ろうということだろう。 私は大きく頷くと握手に応じた。 その手は大きく中身が男性であることを確信させた。 程なくして握手会、撮影会が始まり大好評のうちに1時間か過ぎた。 美香さんがまだ並んでいる子どもたちに謝罪する。 「お友だちのみんな、ゴメンね、ウルトラマンジードとゼロは怪獣を倒しにいかないといけなくなりました、また明日も同じ時間にココでみんなに会いに来てくれるから我慢してね」 それを聞いてウルトラマンジードと私は子どもたちに手を振る。 すぐに奈緒さんがやってきて私をバックヤードへ連れていってくれた。 「お疲れ様、大丈夫だった?1時間はキツかったでしょ?」 奈緒さんの問いにくぐもった声で答える。 「子どもたちの相手をしていると意外と時間が経つのが早かったです」 「そう、なら良かった、ウルトラマン脱いだら、ゆっくり休憩してね」 そう言われて私は大きく頷いた。 控え室に戻りサンタの衣装を脱いでから、ウルトラマンゼロの背中のファスナーを下ろすと奈緒さんは忙しいようで、すぐに控え室を出ていってしまった。 ウルトラマンゼロの着ぐるみの圧迫感が堪らない。 後頭部からお尻の辺りまであるファスナーを開けられても、なお続く高揚感に右手が股のの所へ伸びる。 着ぐるみ越しで見た目には分かりにくいが、触るとマン筋が隆起しているが分かる。 そっと、ひと撫で。 「あぁぁふぅぅぅ」 ヤバイ、強烈な刺激にウルトラマンゼロらしからぬ、内股で立っているのがやっとといった感じでよろける。 前傾になると背中の開口部が大きく開き、新鮮な冷たい空気が入ってきて、ハッとする。 「ダメダメ、こんなところで」自分に言い聞かせる。 正気を取り戻し、美香さんのことも思い出した。 そうだ、ウルトラマンのイベントの片付けが終わったら、またここへ戻ってくるんーだった。 慌ててジャージを持って更衣室に飛び込む。 着るのと違い脱ぐのは簡単に脱ぐことができた。 汗も結構かいている。 タオルで汗を拭くとゴムの匂いも混じっている。 「消臭もしとかなきゃ」 更衣室から水着のまま飛び出し、持ってきていた消臭スプレーをカバンから取り出して更衣室へと戻る。 消臭スプレーをしてからジャージを着る。ウルトラマンゼロの着ぐるみはハンガーにかけて更衣室の中へ吊るした。 やれやれ、一人バタバタしていると控え室をノックする音。 「はい!」と返事を返すと美香さんが部屋に入ってきた。 「お疲れ様です!」 私が何事もなかったようにイスに座り挨拶をする。 「お疲れ様!子どもたち多くて大変だったのよ」 戻ってきた美香さんはウルトラのお姉さんの格好で上着を羽織っていた。 「知ってます、でも凄く手際よく仕切ってましたね」と笑顔で話すと、「来てくれたんだ」と美香さんも笑顔。 私は愛想笑いをしながら「ええ、まあ」と返した。 「なーんだ、真由ちゃんに見せようと思って着てきたのに」と残念そう。 「近くで見せて下さいよ」そう言うと美香さんは上着を脱いで衣装を見せてくれた。 「ウルトラマンたちと並んでもカッコ良さはヒケをとらないですね」と褒める。 「でも、ウルトラマンたちはもっとカッコ良かったよ」と笑顔で話してくれた。 なんだか自分が褒められているようで嬉しくなった。 「次の時間迫ってきたね、そろそろ着替えてくるね」そう言うと美香さんは立ち上がる。 この控え室には更衣室は一つ。 更衣室の中にはウルトラマンゼロの着ぐるみが干したままだ。 ウルトラマンゼロの中身が自分である事がバレてしまう。 隠すつもりはなかったが、結果的に隠す形となった。 どう、言い訳しよう。 頭をフル回転させて考える。 しかし、何も思いつかない。 諦めたその時、「チョット待っててね」 そう言うと美香さんは控え室を出て行った。 確かにアテンドしてもらっている時に着ていた服は持ってなかった。 つまり、おもちゃ屋さんでウルトラのお姉さんの衣装に着替えたのだろう。 安心してイスに腰を下ろす。 「ふぅー!」 大きく息をついたが、すぐに立ち上がると空いているロッカーにウルトラマンゼロの着ぐるみを収納した。 「あぁ!」ウルトラマンゼロの着ていたサンタの衣装がテーブルに置き去りになっていた。 “バレたかなぁ?“ でも、クリスマス関係の物品がこの部屋にはたくさんある。 おそらくは気にしていないことを祈り、美香さんが戻ってくるのを待つ。 次の木の着ぐるみでモール内を回る時間が近づいている。 美香さんはギリギリで控え室に戻ってきた。 「お疲れ様!大丈夫だった真由ちゃん?」 木の着ぐるみから顔を出した私に美香さんが聞いてきた。 「はい、最後の方はけっこうキツかったですが」 「だよね、ところであと一人でも大丈夫かな?」 私が頭を傾げていると「ゴメン、この後デートなんだ」と美香さん。 「ええ、大丈夫です」私が答えると笑顔で美香さんは控え室を飛び出していった。 「いいなぁ、彼氏」ポツリと呟く。 クリスマスなのに私は、着ぐるみに入って過ごすんだ。 自分で進んで高時給バイトに釣られたのに、後悔している。 しばらく、木の着ぐるみから上半身を出して項垂れていた。 この控え室周辺は静かで誰もやって来ないようだ。 奈緒さんも仕事が終われば着替えて帰ってもらって構わないと言っていた。 控え室に来ることはないだろう。 私は木の着ぐるみを脱ぐと控え室に鍵をかけた。 そして、まだ火照り汗の流れる体のまま、ウルトラマンゼロの着ぐるみを収納したロッカーへ向かう。 ロッカーを開けてウルトラマンゼロを取り出すと足を通す、何故かスムーズに私はウルトラマンゼロに変身した。 体を自分自身で触ってみる。 「あぁぁぁぁぁ、気持ちいい!」 そのまま右手は股のところへ。 そして、満足行くまで触る。 テーブルに寝転がり、声を押し殺し何度もイッた。 気持ちよくなり自慰をやり終えると、途端に虚しさが込み上げてくる。 水着を脱いで汗を拭い、消臭スプレーをしてから着替える。 ウルトラマンゼロの着ぐるみは、きれいに拭き取りして消臭スプレーをしてからロッカーへと戻した。 「明日もよろしく!」 元気を絞り出して言った。 翌日から淡々と着ぐるみバイトは続いた。 美香さんにはウルトラマンゼロのことはバレていない。 そんな慣れてきた時のことだった。 その日は朝から体調が良くなかった。 休もうかとも考えたが、休むほどでもなく頑張れると判断してバイトに出かけた。 午前中の木の着ぐるみを終えて、グッタリしているところに奈緒さんがやって来た。 「大丈夫、真由ちゃん?顔色よくないよ」 「大丈夫です!」と元気に返すと「無理しないでね」と言ってウルトラマンゼロに着替えるのを手伝ってくれた。 おもちゃ屋の前に移動する。 ウルトラマンジードと美香さんはもう配置についていた。 今日は幸い平日ということもあり、人が少ない。 しかし、イベントが始まって程なくして私は気分が悪くなり、その場にうずくまってしまった。 心配して近くにいた奈緒さんが駆け寄り、美香さんと何か話をしているが、よく聞こえない。 「ここじゃあ、なんだから …んで」 奈緒さんの声が聞こえた後、私の体が持ち上がった。 ウルトラマンジードが私をお姫様抱っこをしてくれている。 すぐにバックヤードに入り、抱っこされたまま移動、私の控え室へと戻ってきた。 控え室のソファに寝かされる。 「真由ちゃん、今開けるね」奈緒さんが側にいるようだ。 サンタの衣装が脱がされ、背中のファスナーが開いた。 暑くてフラフラしていた頭が冷気で、しっかりとしてくる。 顔を着ぐるみの外へ出すとだいぶ気分が良くなった。 ウルトラマンゼロのマスクは私の胸のところに垂れ下がる。 奈緒さんがサンタの上着をかけてくれた。 「真由ちゃん頑張り過ぎ!いつも帰り遅かったから疲労が溜まっているのじゃないかと思って心配してたのが、的中したわ」 奈緒さんにはタイムカードで帰宅時間がバレていたようだ。 「今日はもう帰っていいよ、でも明日からは無理しない程度に頑張って」と奈緒さんは笑顔で言ってくれた。 「でも、この後も」と言いかけた私の言葉を制止し、「私が代わりをするから大丈夫、まだまだ若いのよ私だって」と奈緒さん。 「本当にすみません」深々と頭を下げる。 「真由ちゃん、もう1人お礼を言わなきゃいけない人がいるんじゃない?」と奈緒さんに言われて、居場所のなさそうなウルトラマンジードの存在に気がついた。 ウルトラマンジードに向き直り、「ご迷惑をかけた上、運んで頂いてありがとうございました」とこちらにも頭を下げる。 ウルトラマンジードは反応がない。 放ったらかしになっていたので、怒っているのかと思ったが、次の言葉でそうでないことが分かった。 「真島だよな、ビックリしたぁ!」 私も奈緒さんもその言葉に驚く。 「あなた達知り合い?」奈緒さんが私とウルトラマンジードに問いかける。 首を傾げる私に対し、ウルトラマンジードは背中のファスナーを開けようとしている。 奈緒さんは慌ててウルトラマンジードの背後に周りファスナーを開く。 彼はマスクだけ外して顔を出した。 「大和先輩!」私は思わず叫んでしまった。 大和先輩は頭をかきながら照れ笑いしている。 彼曰く、ここまで運ぶ時、男性とは違い軽くて華奢な感じだったので違和感があったが、まさか女性しかも自分の知っている私がウルトラマンゼロを演じていたことにかなり驚いていた。 話もそこそこに奈緒さんは、彼と何か言葉を交わし控え室を追い出してしまった。 「さぁ、今日はもういいから着替えて」 奈緒さんはだいぶ体調の戻った私を更衣室へ追いやると着替えるのを促す。 私は自分の着替えを済ませ、ウルトラマンゼロの後片付けをして更衣室を出た。 そこには奈緒さんが水着に着替え、木の着ぐるみに入る準備に取り掛かっていた。 「後は任せて」と笑顔でガッツポーズを見せる奈緒さんにはただただ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 「今日は帰って体調を整えて、明日からしっかり頼むわよ」と奈緒さん。 付け加えて「ちゃんと送ってもらいなさい」と。 私は後の言葉の意味は分からなかったが、「すみません、失礼します」と一礼してから控え室を出た。 控え室の外には大和先輩が私のことを待ってくれていた。 「あ、大丈夫か、真島!」 私はドキッとしながら「ご心配をおかけしました」と頭を下げる。 「送っていくよ、帰ろう」と大和先輩の言葉に笑顔が溢れると共に奈緒さんの言葉の意味が理解できた。 「大和先輩がウルトラマンジードだとは思いませんでした」と私の言葉に大和先輩も「俺の方こそまさか真島がウルトラマンゼロだとは思わなかったよ」 「ウルトラマンの着ぐるみってキツくないですか?」 私の問いに「すごくキツイよ、暑いし苦しいし、だからウルトラマンは地球上で3分しか活動できないだよ」と笑顔で返してきた。 「ウルトラマンってすごくゴム臭くなりません?」 「なるよ、それに汗もかくから汗臭くって」と言って服の襟元を引っ張り中を臭う仕草を見せる大和先輩。 「消臭スプレー使いますか?」 「いいのか?そういえば、真島って臭わないよな」 「はい」そう答え、カバンから消臭スプレーを取り出し大和先輩に渡す。 ドキドキして次の言葉が出てこない。 「ウルトラマンって暑くてキツいけど、なんかそれがクセになりそうな… 」 自分で本音を口にしてしまい、言葉を濁す。 大和先輩からの返事に間がある。 次の言葉が怖い、『真島お前って変だなぁ』なんて返ってきたらどうしよう。 嫌われたらどうしよう? 大和先輩が口を開いた。 「確かになぁ、キツいんだけど、クセになるよなぁ、包まれているから安心するというか何というか」 私はホッと胸を撫で下ろしたと同時に大和先輩も私と同じ感覚なのではと嬉しく思った。 少し顔が熱を帯びるのを感じていると大和先輩から質問があった。 「ウルトラマンゼロのマスクって臭くないか?」 私は首を振る。 「臭くないですよ!」 私はマスクの中が臭いと感じたことがなかった。 最近では自分の汗臭さは感じることはあるが、渡された時は新品の臭いがした。 大和先輩のウルトラマンジードは臭いのだろうか? 「マスク、臭いですか?」 大和先輩も首を振る。 「臭くないんだ」 それならなぜ?と聞こうとした時、「ネットなんかでウルトラマンの着ぐるみバイトはキツいとあり、マスクは特に前の人の汗や唾液、さらにはカビ臭もありキツいとあったんだけど、全然だなぁと思ってな」と。 「真島のウルトラマンゼロなら、喜んで入らせてもらうけどな」いやらしい笑顔で言ってきたので、「もう!」と怒ったフリをして肩を叩いた。 しばらく沈黙が続いた後、大和先輩が尋ねてきた。 「真島って彼氏いないのか?」 先輩に彼女がいるのか気になっていたので、質問返しをする。 「先輩こそどうなんですか?」 大和先輩はニコッと笑って「クリスマスに着ぐるみバイトしている奴に彼女がいると思うか?」と答え、「真島はどうなんだ?」と聞かれた。 私もニコッと笑って「クリスマスに着ぐるみバイトしている寂しい女に彼氏いると思いますか?」 私はこのチャンスを逃さまいと勇気を振り絞る。 「先輩、私と… 」 と言いかけた時、大和先輩の人差し指が私の唇に触れる。 「それは俺に言わせてくれ、俺と付き合ってもらえませんか、真島真由さん」 私は今日一番の笑顔で「はい!よろしくお願いします」と答え、しがみつくように大和先輩と腕を組んだ。 大和先輩は私の頭を優しく撫で、「守でいいよ、真由」と。 私はもっと強く彼の腕にしがみついた。 ウルトラマンという秘密を共有し、彼氏ができたことに自分の体調不良のことなど、きれいさっぱり忘れてしまい、その日は帰宅した。 翌日はすっかり体調も良くなっていた。 それどころか早く仕事に行きたい。 理由は一つ早くウルトラマンジードに、彼に会いたい気持ちでいっぱいだったから。 午前中はいつも通り木の着ぐるみを着てモール内を回る。 奈緒さんも朝一は凄く心配してくれていたが、顔色が良くなっているのを見て安心したようだった。 ご迷惑をお掛けしたことをお詫びし、木の着ぐるみに入る。 早く彼に会いたい気持ちを抑えて、仕事に集中する。 バイトも半ばを過ぎて、ようやく気づいたことがあった。 それは私と同じ木の着ぐるみが上の階でもう一体歩いていることに。 余裕ができたのか視野も広くなっている、そして心も。 もう一体の木の着ぐるみの中の人に向けて “お互い頑張りましょう“と念を送る。 念が通じたのか、もう一体の木の着ぐるみがこちらを見たような気がした。 午前中の仕事を終えて休憩。 今日は体調も気分も優れて昼ごはんが美味しい。 まだ、時間は早いがウルトラマンゼロに着替え始める。 はやる気持ちを抑えきれなくなっている。 ウルトラマンゼロに着替えを終え、マスクだけ外してイスに腰掛ける。 その時だった、控え室をノックする音。 “ヤバイ誰か来た“ 奈緒さんなら昨日迷惑かけたので、気合いを入れていたと言い訳し、美香さんだったら何て言い訳しよう。 頭の中はまだ整理できていない。 再び控え室がノックされる。 意を決してドアへ向かう。 すりガラス越しにシルエットが見えるが、私より身長が高い。 奈緒さんや美香さんではないようだ。 恐る恐るドアを開ける。 立っていたのは守。 下はジャージで、上は黒のダウンジャケットでフードも被っている。 「入っても?」 私は頷き、彼を引き入れるとドアに鍵をかけた。 「どうしたの?」私の問いに「昨日体調悪かったから心配で」と。 「ありがとう」私は彼に抱きつき、彼も私を抱きしめてくれたが、お互いの胸元の異物につっかえるが、胸元のマスクがつっかえる。 「え!守も?」 彼は笑って頷くとダウンジャケットとジャージを脱いだ。 中にはウルトラマンジードを着ている。 胸元のマスクを目立たないようにするために腕を組んで移動してきたのだとか。 私が彼に視線を送るとそれだけで察したようで彼はマスクを被る。 彼の背後に回るとファスナーを閉め、彼はウルトラマンジードになった。 続いて私もマスクを被る。 ウルトラマンジードは私の背後に回り、髪の毛を着ぐるみの中に納めてから優しくファスナーを閉め、私はウルトラマンゼロとなった。 仕切り直して抱き合う。 互いのマスクの小さな呼吸穴から吐息が漏れる。 足を絡ませるようにすると、彼の太ももが私のアソコを撫でるように触れる。 “気持ちいい“ 彼の手を掴むと私の秘部へと持っていく。 そして私も彼のアソコに触れると、彼も興奮しているようで陰茎の形がクッキリと浮き出ている。 私の手は陰茎の形に沿うように撫でると、彼はビクッとした後、彼の手が私の秘部を弄る速さが上がっていった。 テーブルに私は押し倒され、その上から彼が覆い被さる。 気持ち良くなりテーブルに横たわり、互いのアソコを弄り合う。 吐息は激しくなるが、声は漏らさないように必死に堪える。 密着しマスク同士が触れ合う。 「真由大好きだ」マスクの振動で意外とクリアな彼の声が聞こえてきた。 「私も守が大好き、高校生の時からずっと」 「え!そうだったの?実は俺も真島じゃなかった真由のことが気になって気になって、気づいたら好きになってたんだ」 そう言って抱きしめる力が強くなる。 息苦しさの中快楽に身を任せ始めた時、館内放送が流れた。 『午後2時よりおもちゃ屋〇〇店入口にウルトラマンがやってきます、是非家族お揃いでお越し下さい』 放送が流れた後、私たちは正気を取り戻した。 「仕事終わってからだね」と守。 「そうだね」私も返す。 2人でテーブルから降りると、サンタの衣装を着る。 そして、控え室を出た。 平日は子どもたちも少なかったのだが、今日から冬休みということもありいつもより多い。 館内放送も効果があったのだと思う。 いつもよりたくさんの子どもたちの相手をしたが、隣りに守がいるだけで凄く頑張ることができた。 合間合間で、アイコンタクトを取っていたから。 とは言っても相手の目は見えないのだが。 慣れた感じで子どもたちの対応している美香さんもまさかウルトラマンジードに同級生の守、ウルトラマンゼロに私が入っていることは知らない。 クリスマスに向けてこれから忙しくなるが、乗り切れる自信は湧いてきた。 ウルトラマンゼロを脱いで、美香さんを待つ。 バタバタとやって来た美香さん。 「今日は忙しかったわ、子どもたち多くて」と額の汗を拭っている。 「冬休みになったからじゃないですか?」 と私の言葉に、「それだ!大学生は年中休みみたいなものだから、忘れてたよ」と。 「ちゃんと、大学行って下さい!」と言って2人で笑った。 美香さんが落ち着くのを待って、着替えを始める。 守にはまだウルトラマンイベントの後も着ぐるみを着ることは伝えていない。 だから、【仕事終わってからだね】と言ってくれたのだろう。 もしかしたら着替えを終えて控え室の前で待っていてくれているのではと思いながら控え室を出たが守の姿はなかった。 少しがっかりした気分で夕方の着ぐるみの仕事へ向かう。 「今日はこっちも多かったわね」 控え室に戻ってきた美香さんの開口一番発した言葉。 「そうですね、これからクリスマスまで大変そう」私も同意し呟く。 「そうね」そう言いながら美香さんは私が着ぐるみを脱ぐのを手伝ってくれた。 「もう一人で大丈夫?」 「はい、今日もデートですか?」 と私の問いに「今日は彼氏へのプレゼント探し、ここのショッピングモールで探すんだけど」と笑顔で答える。 「真由ちゃんなら年上の男性に何をプレゼントする?」 「うーん」プレゼントする年上の男性を想像すると守が出てきた。 「何をあげるだろう?」とっさに聞かれてもすぐに答えが出てこないので、美香さんへ質問返しをした。 「美香さんの彼氏さんは何歳なんですか?」 「えーと、私より5才年上だから27歳かな」 「そうなんですね、大人ですね、うーん、私の経験では対応できないですね」と苦笑いする。 「まぁ、適当に探してみるよ、お疲れ様」 そう言うと美香さんは控え室を出て行ってしまった。 「クリスマスプレゼントかぁ」 一人呟く、クリスマスはひとりぼっちだと思っていた、まさか彼氏ができるなんて夢にも思っていなかったので、嬉しい悩みなのだが。 守が何を欲しいのか考え悩む、出した結論は 「私もプレゼント探しに行こう」独り言の後、控え室を後にした。 控え室を出ると「お疲れ!真由、飯行こう」と守が声をかけてくれた。 私は会えたことに嬉しくて笑顔になる。 「なんで、どうして?」 守にはこの質問だけで伝わったようで、「実は俺も木の着ぐるみでモール回ってるんだ」 目をパチクリさせる私。 もう一体の木の着ぐるみの中身が守ということは分かった。 それで今日、木の着ぐるみの私と目が合ったような気がしたのではなく、守が私を見ていたからだと理解し合点はいった。 しかし、私が疑問に思っているのはそこではない。 なぜ、私が木の着ぐるみに入っているのを知っているのかということ。 ウルトラマンの話はしたが、それ以外はしていない。 美香さんからもウルトラマンジードが守だということを聞いていないので、美香さんから聞いたとは思えない。 頭を抱える私に、「あの時だよ」と守は言った。 「初めて真由を控え室に運んできた時、ウルトラマンイベントの後の事で河島さんと話してたから」 「なるほど!」 納得して笑顔になり、守の腕に抱きつくようにしがみつく。 「どこ、食べに行く?」 守の問いに「プレゼント探しに行こう!」そう言うと強く守の腕を引っ張った。 おしまい