どうして俺が選ばれたのか分からないが【カイラクエン】へ行った俺は人であって人でないようなゼリー嬢2人に気持ちよく快楽の絶頂に導かれ、さらにゼリー嬢を1人お持ち帰りした…はずだった。 ゼリー嬢を1人お持ち帰りしたが、帰り際に住所と名前を記入してきたのである一定の時間が経てばゼリー嬢は回収されるだろうと思っていた。 それまでの間、ゼリー嬢を存分に味わい、気持ち良さと程よい疲れから眠ってしまった。 朝、目覚めるとゼリー嬢の姿はなくなっていた。 夢のような出来事だったが、諦めきれない俺はリビングを探したが、やはりゼリー嬢の姿はどこにも見当たらなかった。 あり得ないようなことばかりだったので夢だったのか、そう思っていた時音が聞こえてきた。 その音は洗濯機の音。 それに散らかっていたリビングも綺麗になっていた。 洗濯機の音のする方へ行き、扉を開けたがゼリー嬢の姿はなかったのだが、浴室内に人影が。 浴室の扉を開くといた! ゼリー嬢が浴室内を掃除してくれていた。 お互いビックリしたようなリアクションの後、俺は浴室の扉を閉めてリビングへ戻る途中気がついた。 ゼリー嬢を探し求めるあまり自分が全裸であった事に。 取り敢えず部屋着を着て、ゼリー嬢が戻ってくるのを待つ事にした。 しばらくすると浴室の掃除を終えたゼリー嬢が戻ってきた。 リビングでソファーに座る俺の横に座ったゼリー嬢はジッとしている。 勝手に部屋の中を片付けた事を怒られると思っているのだろうか。 少し体が震えていた。 そんなゼリー嬢の体を改めてみるとやはりラバーのようだがなんとなく違うようにも見える。そして何よりどうやって脱ぎ着するのか分からなかった。 そして、明るい陽の光の下、じっくりと見ると赤色のラバーの上に半透明の赤のラバーを纏うことで本当にゼリーに見えるのが凄いと思った。 それにその姿はかなり異質なもので、とても人には見えなかった。 昨晩のカイラクエンではゼリー嬢たちからのアプローチがあり、流れでいろいろと繰り広げられたが、いざ自分の家で2人きりになるとこのゼリー嬢をどう扱っていいか戸惑ってしまう。 おかしなもので放したくない、一緒にいたいと思っている時は必死に探したのに、いざ目の前にいてると何もできない。 そこにいるだけで満足している自分がいた。 それはこのゼリー嬢が出している独特の雰囲気のせいもあるかもしれない。 何もしないまま、ジッとしている。 それでも気を遣わずに居られるゼリー嬢の雰囲気は凄く落ち着けて好きだと思えた。 何もせず時間だけが過ぎていく。 そんな中、俺のお腹が鳴った。 ゼリー嬢にもお腹の鳴った音が聞こえたようで、立ち上がるとキッチンへと向かった。 何をするのかと見ていると、使える食材を使って料理を始めたのだ。 手慣れた様子で調理をするゼリー嬢。 その異質な姿でキッチンに立つ姿に見惚れていたが、調理はすぐに終わりダイニングテーブルに料理が並んだ。 「食べてもいいの?」 ゼリー嬢は頷いて、どうぞといった手振りをした。 料理は美味しく久々に手料理を食べた俺は少し気になってゼリー嬢に尋ねてみる。 「君は食べないの?」 俺の問いにゼリー嬢は口の中を見せて舌を出して、手振りで食べられない事を伝えてきた。 何となくだがその時俺は思った。 ゼリー嬢の回収の時間が近づいているのではと。 朝食を済ませた後、ソファーで横になる俺。 ゼリー嬢は朝食の食器を片付けてくれた。 それが済むと俺の近くに来て、膝枕をして耳かきをしてくれた。 ゼリーの様な触感ながら柔らかく弾力のあるゼリー嬢の太ももの上で心地よく耳かきをしてもらっていると気持ち良く眠くなってきた。 ゼリー嬢の太ももに触れると中の女性の体温が伝わってきて思わず、太ももを撫でてしまう。 そんな太ももを撫でていてある事に気づいた。 ゼリー嬢の肌が乾燥し、ヒビ割れを起こしていることに。 そこを俺があまりに集中的に触るものだからゼリー嬢も異常に気づいて、そこに触れた。 耳かきはすでに済んでいたゼリー嬢は慌てた様子でスーツケースの方へ向かい、ローションのボトルを取って戻ってきた。 そしてそれを太ももに塗り始めた。 ローションとばかり思っていたのだが、そのボトルはゼリー嬢の体をメンテナンスするためのオイルが入っているようだった。 オイルを塗るとゼリー嬢の体に潤いが戻っていった。 ボトルに入ったオイルを太ももに塗り込むゼリー嬢だったが、その背中もまた乾燥が進みヒビ割れが始まっていた。 それに気づいた俺はゼリー嬢からボトルを受け取り、ヒビ割れ始めた背中に塗ってやった。 だが、ヒビ割れの始まった体はあちらこちらからヒビ割れが始まり、そのヒビ割れを止めるように塗っているとすぐにボトルが空になってしまった。 ゼリー嬢の体が維持できなくなれば確実にカイラクエンのスタッフがゼリー嬢を回収に来るようなそんな気がした。 ゼリー嬢とはいえ、中には普通の女性が入っているのだから飲まず食わすで何日もと言う訳にはいかない。 中の人の体調などを考えれば当然のことだと思った。 このゼリー嬢の体のヒビ割れはお持ち帰りの終わりを意味していると思った。 目の前のゼリー嬢が体のヒビ割れを必死に補おうとしたのは、俺と少しでも長く一緒にいたいという気持ちからだと思えた。 そんな考えに至った俺は急にゼリー嬢との別れを惜しんで彼女を抱きたくなった。 別れを惜しんでゼリー嬢をベッドへと運んで抱いた。 その晩は力尽きるまで目一杯、赤色のゼリー嬢を愛し、そして抱いた。 会話もできず人には見えないゼリー嬢に惹きつけられるのは中の人のことを本気で愛してしまったからだろう。 もう勃起できないほどに疲れてしまっているが手を握ることはできる。 俺はゼリー嬢の手を握っていてある事に気づいた。 ゼリー嬢の左手の薬指に指輪のような物があった。 中の女性は既婚者だったんだと思うと、俺の思いは決して届かないと線を引かれたような気がして、さらに別れるのが惜しくなりゼリー嬢を強く抱きしめた。 俺は涙を流しながら眠ってしまった。 朝に目覚めるとゼリー嬢の姿はベッドから消えていた。 やはり回収されてしまったのだと思ったが、ゼリー嬢がいる事を期待して部屋を見渡したがその姿はなかった。 リビングへ行くとソファーにうつ伏せで横たわるゼリー嬢の姿があった。 体が乾燥して硬くなりうまく動けないようだった。 「大丈夫?」 そう声を掛けて触れたゼリー嬢の背中の肌が崩れ、そのまま左腕が顕になった。 まだゼリー嬢が家にいてくれたことを嬉しく思ったが、その反面なぜ回収に来ないのだろうかと不思議に思った。 体が硬くなり体力的に限界に達したゼリー嬢をソファーに仰向けに寝かせる。 だんだんとゼリー嬢の体全体に亀裂が入り肌が剥がれ始める。 このまま放置していいのか分からないが、俺にはどうすることもできない。 左手の指先までヒビ割れ中の人の手が露出した。 白く小さな手の薬指にはやはり結婚指輪がはめられている。 それを見て俺は固まった。 ある事を確かめるためにゼリー嬢がしていた指輪を外し内側を見た。 [2020.11.22 A to J LOVE FOREVER] 「まさか!」 そう呟いて俺は自室に置きっぱなしだった自分の結婚指輪を探しにいく。 比べてみるとよく似た結婚指輪しかも… [2020.11.22 J to A LOVE FOREVER] と刻まれている。 「やっぱり!」 指輪を探しに行っている間もゼリー嬢の体の乾燥は進み、上半身は完全に露出していた。 胸から顔に掛けて剥がれ落ちた先に俺の妻である純の顔が出てきた。 「純!」 そう声を掛けたが、純は俺から目を背けた。 俺の浮気がキッカケで夫婦関係が悪化し、別居状態で離婚寸前に至っていた。 俺が浮気相手である秋山 千穂(あきやまちほ)に別れを切り出したところ、千穂は純に会いに行き、一気に離婚寸前にまで至る事態となってしまった。 純と千穂の間で揉めている事はなんとなく気づいていたが俺は放置し続けた。 結果、別居状態となった。 そこで思った。 “まさか、あのピンク色のゼリー嬢は!?” あのあざとく、人を蹴落とし気に入られようとする行動は千穂に思えてきた。 ゼリー嬢同士がカイラクエンで揉めていたのも頷ける。 俺がピンク色のゼリー嬢をゴミ箱へ入れた時も最後まで抵抗していた。 確かに気の強く自信家の千穂なら取りそうな行動だと思った。 ゼリー嬢の表皮が完全に剥がれ落ちて全裸の俺の妻 松嶋 純(まつしまじゅん)が現れた。 姿は違えど中身で自分の妻を選んだ俺は純に心から謝罪した。 あんな女と浮気していたことを後悔し、心優しい自分の妻をないがしろにした自分に気づき腹が立った。 自分を選んでくれたから、今回のことは水に流すと言ってくれた妻にカイラクエンの事を聞いてみた。 千穂が乗り込んできた日、口論となり自分こそは俺、松嶋 明典(まつしまあきのり)に相応しいと言い出した秋山 千穂。 そして、そんな揉め事を解決する会社があると純は聞かされて千穂と白黒ハッキリと付けるため依頼したのが、カイラクエンだった。 カイラクエンは【解落縁】と書き、解は本妻や彼女との和解、落は浮気や不倫に堕落、それらのどちらかの縁を当事者、つまり俺に選ばせるというものだったらしい。 カイラクエンの情報がネットで検索しても見つからないのは、情報を流出させるとカイラクエンからペナルティを負うことになるのはもちろんだが、それ以前に自分の浮気や不倫を公開することになってしまうらしい。 というのも匿名で書き込みなどをしても特定されて名前を公開されてしまうというのだ。 俺がカイラクエンへ招待されたのは純か千穂のどちらかを俺に選ばせるためだったのだ。 しかし、今回の事で改めて純の大切さに気づかされた俺はこれからは二度と浮気や不倫をすることなく、2人仲良く人生を歩んで行こうと思っている。 今回の件で、一番愛している女性は純だと気づかせて貰えたから。 そんな俺と純の左手の薬指には結婚指輪が光っている。 おしまい