親友の和志の家から筒状のレザークッションに詰めて持ち帰ったラバー抱き枕。 部屋に入るとすぐにボードケースから取り出した。 中の人がグッタリしているのではないかと思い少し心配したが、ボードケースから出したレザークッションは俺の家に着いたことを悟ったのか、今まで全く動かなかったのだが、尺取り虫の様に動き出した。 「うおっ!」 急に動き出したので驚いて俺は声を上げてしまったが、レザークッションは苦しそうにしているような感じではなかった。 その証拠に一定のリズムでウネウネと床で動いている。 とにかく、レザークッションからラバー抱き枕を取り出そうと思った俺はレザークッションを2回軽く叩くと、すぐに大人しくなった。 レザークッションのファスナーを開けて、ラバー抱き枕の一纏めになった足首辺りを持って引っ張って取り出す。 詰めるのは大変だったが、取り出すのは1人でも難なくできた。 取り出したラバー抱き枕だが、どうしたものだろうかと思案する。 和志に中の人の取り出し方を聞いたが、知らないの一点張りだったから。 和志は知っていてワザと教えてくれなかったことは分かっている。 つまり、自分でなんとかしろということだ。 「うーん、どうしたものか?」 自然とそう呟くと、ラバー抱き枕がウネウネと動きながら俺に擦り寄ってきた。 俺の声で位置が分かったのだろう。 そして、俺の足下に来ると頭部分を擦り付けてきた。 まるで動物が戯れてくるように。 俺はラバー抱き枕が愛おしくなり、その場に座ると頭を撫でてやった。 そして、声を掛けた。 「暑くて苦しくない?大丈夫?」 「… うん、大丈夫だよ!」 返って来ないと思っていた返事が返ってきたので俺は驚いた。 くぐもった声であったが、間違いなく女性の声だった。 頭を撫でながら俺は尋ねた。 「ねぇ、誰なの?俺の知っている人?」 「… 」 返事は返って来なかった。 都合の悪いことは答えられないのだろう。 そう思いながら、和志が買い出ししてきたお酒やツマミが入ったレジ袋が目に入った。 まあ、返事は返って来ないと思うが聞いてみた。 「お酒、飲む?」 「飲む飲む、早く言ってよ!」 体をクネクネさせながらそう言う抱き枕に俺は少し驚きつつも尋ねた。 「このままじゃあ、飲めないよね」 「うん、背中のファスナーを開けて頭だけ出してよ」 「え!いいの?」 「いいも、悪いもこのままじゃあ飲めないよね」 「うん、そうだね、分かった」 俺は抱き枕の首の付け根から腰の辺りまで縦に走るファスナーを開いた。 中の女性の肌が覗くのかと思ったが出てきたのは抱き枕と同じ黒光りしたラバーだった。 ラバーの寝袋を二重にされていたのだと分かり正直驚いた。 彼女に言われた通り、二重になった抱き枕から頭だけを出した。 抱き枕の内側から覗くと口の辺りに僅かであるが分からないような小さな穴が少しだけ開いているのが、光が差し込むことで分かった。 こんな小さな穴じゃあ、近くで見ても分からないわけだ。 同時にこの穴からの呼吸だと苦しいだろうと思った。 俺はそんなことを思い驚きつつも、抱き枕の中の女性の指示通りに頭だけを出すと中から出てきたのもまた黒光りしたノッペラボウだった。 ノッペラボウの背中にはファスナーは見当たらなかった。 どうやって脱ぎ着するのだろう、そんな疑問が浮かんできたが取り敢えず彼女の言う通りに頭だけ出したので寝袋のファスナーをまた引き上げた。 ファスナーを開けていいと言われた時は誰か分かるかも知れないと期待していたのだが、それは叶わなかった。 抱き枕の時となんら変わりない黒光りした坊主頭が出てきて顔もラバーで覆われていた。 しかし少し違うのはラバーで覆われた口の部分にスリットが入っていることだった。 ここからならお酒を飲めそうだが… 、相変わらず両手は使えないので俺が介護するように飲ませてやらなければならない。 横になっている抱き枕を起こしてやり、ソファーに座らせてから聞いた。 「何飲む?ビールでいいかなぁ?」 「うん、ビールで!」 『プシュ! プシュ!』 2人分の缶ビールを開けた。 「このスリットから飲めるの?」 「うん大丈夫、飲めると思うよ」 そう答えるので缶ビールの口をスリットへと密着させてから聞いた。 「飲めそう?」 「うん、大丈夫だと思う」 そんな確認をした後、ビールを注ぎ込んでやると美味しそうに喉を鳴らしてビールを飲んだ。 俺もビールを飲んだ後、早速本題である誰なのか追求しようとしたのだが、それを察するようにおつまみが欲しいや次はビールを飲ませて欲しいと要求された。 俺もビールを飲んでツマミを口に運ぶ。 何度かスリットから中の女性の唇を見ようとしたが、暗くてよく見えなかった。 ソファーに座りラバー抱き枕と並んでお酒を飲むというよく分からない状況だが俺は楽しんでいた。 ある程度、お酒が回ってきたようで抱き枕の女性が俺の肩に頭を預けてきた。 そんな女性の頭を撫でていると、女性から話し掛けてきた。 「ねぇ、チューしてよ、チュー!」 「えっ!あ、いやぁ、あのー」 突然のことで俺は言葉が出て来ない。 「えー?チュー分からないの?キスだよキス!」 「それは分かってるけど、知り合ってすぐだし… 」 俺がそう言うと女性は返してきた。 「いつも会社で会ってるよ!」 「えー!」 俺は次の言葉が出て来なかった。 「ねぇ、キスしてよ!」 「いいんだね!」 「うん、誠だからだよ」 可愛くそう言われてドキッとした。 この女性は俺の事を知っているが、俺は今のところこの女性が会社の同僚であるという情報しか知り得ていない。 この女性は和志に頼んで俺とくっつこうとしているのだろう。 この女性が誰なのか声で判断できそうなものなのだが、実際はくぐもった声で少し声色を変えているようで誰か分からない。 それ以上にピッタリとして体のラインの浮き出た黒光りするラバーという見た目で惑わされてしまう。 俺はしばらくラバー抱き枕になった女性のノッペラボウの顔、そしてそのスリットになった部分を見つめていた。 しかし、酒を飲んで理性が効きにくくなっていた俺はラバー抱き枕のスリットに唇を近づけ、そのままキスをした。 キスはゴムとアルコールの味がした。 その奥に女性の唇の柔らかさを感じていると、舌が入ってきた。 俺は女性と舌を絡ませてキスをした。 ソファーに並んで座りながらキスをしていたのだが、気付けば押し倒して覆い被さっていた。 濃厚なキスを交わした後、女性が言った。 「ベッドに運んで欲しいなぁ」 俺は2度頷いたが、女性が見えていないことに気づいてすぐに言葉で返事を返した。 「うん、分かった!」 俺はラバー抱き枕の女性をお姫様抱っこすると自分のベッドへと運んだ。 ベッドへ優しく下ろすと、すぐに覆い被さり抵抗できないラバー抱き枕の女性との濃厚なキスの続きをする。 興奮してきた俺の手は彼女の胸を揉んだ。 「んっ、うぅぅぅ」 やめて!と嫌がられかと思ったが艶のある吐息とともに体を捩らせる。 胸には乳首のような突起を指先に感じて.それを指で摘むようにして滑らせると彼女は身動きの取れない体で精一杯体を捩った。 男と2人きりで絶対に逃げられない状況の彼女は俺が怖くないのだろうか? そんな疑問を抱きながらも俺は彼女とキスをしながら体を弄った。 「ねぇ、しよ!」 気持ちが昂ってきた彼女にそう言われたが、正直このラバー抱き枕をどう扱っていいかよく分からない。 どうしたものかと思案していると、彼女が言った。 「エッチのことだよ!股の所のファスナーをおろしてみて」 “それは分かってるけど… ” そう思いながらも俺は言われるがまま、ラバー抱き枕の股の辺りにあるファスナーを開けてみた。 予想はしていたが黒いラバーと同じようなファスナーが現れ、それをもう一度開けてみた。 黒いラバーは見えるがどうなっているのか分からない。 興味本位でそこへ指を差し込んでみた。 つづく
ごむらば
2025-03-07 23:27:58 +0000 UTCJan Koda
2025-03-07 15:13:40 +0000 UTC