今年、30歳になる俺はこの映画を俳優最後の仕事と決めていた。 そんな俺が俳優を目指すキッカケとなった女優 優木 咲良との最初で最後の共演、しかも夫婦役と最高の俳優人生最後になりそうだと俺は意気込んでいた。 いよいよ、刑事役の俺は地球外生命体イミューに襲われたという被害者となった夫婦のホテルの一室へとやって来たところからシーンが始まった。 ベッドの上には白いシーツが掛けられていた。 シーツの膨らんだ大きさから見て被害者夫婦である事は間違いないだろう。 刑事の一人が白いシーツを取り除いて、ベッドの上を見た俺は役も忘れて本気で驚いてしまった。 そこには男女が裸で一つの肉塊となっていたから。 あまりにも衝撃的な姿に言葉もなくただただ驚く。 そんな俺を嘲笑うかのようにその肉塊の腕や足が動いたのだ。 俺は腰を抜かしてその場に座り込んだ。 「はい、カット!OK」 俺の役柄は確かに驚いて腰を抜かしてしまう刑事役だったのだが、驚き過ぎてカットが掛かった後もすぐには動けなかった。 「次、肉塊にされた夫婦のドアップからいくよ!」 そんな声に慌てて立ち上がると、その肉塊を見たが動きは機械的な動きではなく、人が演じているように見えた。 肉塊にされた2人は後背位で交わっている途中でこんな姿にされたのだろう。 体の大きな男性が後ろから覆い被さるように2人の肌は少し溶けたようになり、体が完全にくっついていた。 もちろん2人の両足も左右それぞれでくっついついた。 男性の右手はベッドに手をついているが、左手は女性の胸を鷲掴みするようになってくっついていた。 一方の女性は左手をベッドについて体を支え、右手は男性の頭に触れる形でくっついていた。 顔は男女とも目も鼻もなくノッペラボウで口の辺りにぽっかり穴が開いているだけだった。 一見すると肌色をした彫刻のようにも見えなくないが、その肌色の彫刻は互いの体を求めるように動くのだ。 体がどんな状態でくっついているのか分からないが、男性が動くと女性は喘ぎ声を上げた。 そんな化け物のようになった男女の間近でカメラが撮影を続けていた。 「はい、カット!OK OK、感じ出てたよ、次のシーンでは気持ちの昂った化け物に変化が見られるので、警察は慌てて準備した檻へと化け物を押し込めるシーン」 そう言った後、ベッドの周りでスモークが焚れて男女がくっついついた化け物が異様な雰囲気を醸し出す。 同時に俺の背後では檻が準備されていた。 「よーい、スタート!」 掛け声の後、男性が腰を振るような動きを見せたかと思うと女性が喘ぎ出した。 本当なのか演技なのか分からないが、その艶のある声に俺のドキドキは止まらない。 しかし、ここは撮影現場。 女性の喘ぎ声が演技であろうとなかろうと関係ない、自分の演技をするだけだ。 女性の喘ぎ声がより一層大きくなるに連れてスモークも大きくなる。 「ヤバい!檻だ、早く!」 その声で檻が運ばれてくると、そこにいた全員で男女がくっついついた化け物を檻へと押し込める。 もちろん、俺もその1人だ。 肌色の光沢のある化け物の肌の感触はゴムの様だった。 ベッドから引き摺り下ろした化け物を檻へと押し込めたところで檻が見えなくなるほどスモークが焚かれてカットが掛かった。 台本にもセリフや簡単な情景は書かれているが、目の前の状況は俺には全く想像ができていなかった。 カットが掛かると今しがた檻に閉じ込めた化け物が外へ出された。 「ここで一旦休憩に入りまーす!」 そんなスタッフの声にゾロゾロと共演者は出ていき、入れ替わりにスタッフがセットへと入って来た。 女性スタッフは化け物に開いた2つの口にストローを差したペットボトルを差し入れていた。 そんな光景を見ていた俺の視界に地球外生命体イミューの着ぐるみが目に入った。 しかし、優木さんが着ていたイミューとは違いかなり大きい様に見える。 “まさか?” と思って見ていたが、そのまさかだった。 男女がくっついた肌色の化け物にイミューと同じ全身が濃い青色のヌメヌメとした皮膚に骨格である骨が浮き出てたような着ぐるみを着せ始めたのだ。 体がくっついているため、思うように動けない化け物役の男女を3人の男性スタッフが持ち上げ、2人の女性スタッフが着ぐるみを着せていく。 しかし、体がところどころくっついているために着せるのにはかなりの労力を要しているのが、スタッフの額の汗からも分かる。 足を通し、腕が通ると少し着せやすくなった様で、その後は比較的スムーズに着せていくことができた。 最後にその男女の頭には、やはりイミューと同じ耳のないイヌのようなマスクを被せていった。 着ぐるみを着せ肌色の部分がなくなった背中側のファスナーを閉めてファスナーを分からなくすると、見た目はケルベロスを彷彿させる容姿の怪物が現れた。 ケルベロスのような怪物の着ぐるみを着せられた男女はそのまま檻へと自分たちでも戻り、スタッフもそれに協力する。 怪物の着ぐるみを着せられた事で檻の中に詰められた2人はかなり苦して窮屈だろう。 そう思っていたのだが、檻に詰められた怪物から高く小さな鳴き声が漏れていた。 狭い檻に詰められた事で男性のペニスが女性の中へより深く挿さったのかも知れない。 そんな体がくっついた化け物にされ、さらには怪物にされた男女は檻の中で映画スタッフや共演者の前でSEXをしている。 そんな状況を想像しながらも着ぐるみの中で2人だけの時間を満喫しているのだろうか。 それとも嫌がる女性を無理やり犯し、逃げることも叶わない女性はひたすらに撮影が終わるのを待ち続けているのだろうか。 どちらにせよ、俺はそんな妄想をしながら一人で興奮し、怪物となった2人を見て楽しんでいた。 そんな檻に閉じ込められた怪物に目を奪われていると共演者が休憩を終えて戻ってきた。 檻に押し込まれて完全に怪物となった男女から漏れる声もまた人ではなくなっていた。 おそらく、イヌのようなマスクに秘密があるのだろう。 檻から出ようと低い声で男性の方が暴れると、女性の方も暴れて高い声で鳴いた。 そんな姿を見ているとあの2人は絶対に合体したままなのだと確信する。 その後、檻の中で暴れていた青い怪物は薬で殺処分されてしまった。 一度怪物になると二度と人には戻れなくなる設定なのだという。 檻の中で完全に動かなくなった青い怪物を見て思う事は、これから檻から出されるのも着ぐるみを脱ぐの大変だろうなという事。 そして、着ぐるみの中の2人はさぞ気持ち良かったのだろうなぁと思った。 シーン3へつづく