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7.【アマリンちゃん】海に潜る

ベテラン海女の島田さんと塩谷さんに快諾してもらい、生まれて初めて着ぐるみで海へ潜る事になった私。 そんな私の準備を始める2人。 まずは【アマリンちゃん】特製の大きなグローブとブーツを履かせてもらい、さらに大きな頭に水中メガネもつけてもらって準備完了となり海のすぐ近くへ。 そこでフィンをつけてから、いざ海へと思っていると美羽が【アマリンちゃん】の口の部分を開け始めた。 新鮮な空気がとても美味しく感じられる。 そんな私の口に美羽が何かを差し込んで言った。 「コレは小型の酸素ボンベだから、30分は大丈夫だと思うよ」 それだけ伝えると、美羽はまた【アマリンちゃん】の口の部分を閉めてしまった。 酸素ボンベを加え準備ができた私を見てベテラン海女さんたち2人が先に海へ入った。 飛び込もうとした私の手を美羽が掴んで転びそうになる。 “何?どうしたの?” ムッとして美羽を見たが私は今、着ぐるみを着ていることを思い出して可愛く振る舞った。 すると美羽と美波ちゃんが私にベストの様なものを着せてくる。 首を傾げると美羽が言った。 「【アマリンちゃん】のままだと浮力があるからね、ウエイト、つまりオモリをつけないと沈まないから」 そう言ってライフジャケットの様なものを私に着せたのだった。 確かに海女さんたちも腰にオモリをつけている。 【アマリンちゃん】は着ぐるみだから、腰にオモリをつけても外れてしまうのでジャケットタイプなんだろうと思った。 海の中から手を振る海女さんたちに応えるように飛び込もうとした私に美羽が声を掛けてきたがその声は間に合わなかった。 『バシャアン!』 大きな水飛沫を上げて私は海に飛び込んだ。 岸壁から美羽が叫んでいる。 「凄く沈むから気をつけて!」 そんな美羽の声を聞き取れるか、聞き取れないうちに海中へ引き込まれていく。 確かに泳げない美羽ならこれは恐怖でしかないだろう。 だが、私は違う。 グッと体に力を込めて足を動かすとすぐに浮き上がる事ができた。 「さすが、り…!」 私の名前を叫ぼうとして美羽は踏み留まった。 私の名前を叫べば、島田さんと塩谷さんに気づかれると思ったからだろう。 その後、私は20分ほどであったが、ベテラン海女の2人から指導を受け、【アマリンちゃん】の着ぐるみを着たまま、海中に潜りウニやサザエを取ることができた。 残念ながら視界が悪いためアワビを見つける事はできなかった。 着ぐるみの中にも防水ファスナーのお陰でほぼ水は入ってくる事なく、海女漁を体験できた。 戻ってきた私を拍手で迎えてくれる美羽と美波ちゃん。 それ以上に背後から熱い視線を送ってくる2人に私は気づいていた。 「貴女、凄いわね!海女に向いてるわよ!」 「着ぐるみで潜れるんだもの、着ぐるみを脱いだら凄い海女になれるわよ!」 私はどうしていいか分からずにオドオドしていると、ベテラン海女の2人は美羽に詰め寄る。 「着ぐるみの中の子は誰なの?」 「海女になったら凄いわよ!」 美羽はベテラン海女2人の勢いに押されているが、必死に断り続けていた。 チラッと私の方を見るが私が首を横に振ると、ベテラン海女2人を落ち着かせて断りを入れようとしてくれていた。 それでも食い下がるベテラン海女の2人はついにこんな事を言い出した。 「名前は教えてくれなくてもいいから、せめてどんな子なのか見せて!」 これ以上は断り切れなくなった美羽。 今後の事もあるため、美羽は【アマリンちゃん】の着ぐるみの中の人物を見せる事に承諾したようだった。 美羽は私の方を向いて手を合わせて謝っていたが、中にリアル【アマリンちゃん】を着ていて良かったと私は思うのだった。 陸に上がると私はすぐにジャケットを脱いだ。 水の中ならともかく陸上では重くて仕方がない。 オモリ入りのジャケットを脱ぐというよりその場に落とした。 その後水中メガネを外してもらい、フィンも外してもらった。 私はそのまま、何事もなかった様に軽バンの方へ向かって歩き始めたのだが、すぐに島田さんと塩谷さんに捕まってしまった。 そしてそのまま海女小屋に連れて行かれて、正体を晒す事になってしまったのだが。 グローブやブーツを脱いだ後、ウエットスーツを脱いでいくのだが、これがまた大変。 私も脱ごうと体を動かすが、何せ着ぐるみを着ているので動きにも限界がある。 美羽と美波ちゃんの2人掛かりで脱ぐのを手伝ってくれたのだが、美羽の時とは違い今の【アマリンちゃん】は私に合わせてピッタリに作られている。 そのため、海の中で潜るのは動き易くて良かったが、ウエットスーツを脱ぐとなると一筋縄ではいかなくなってしまっていた。 そこへ島田さんと塩谷さんも加わり、【アマリンちゃん】からウエットスーツを脱がせようと頑張ってみたが、ダメだった。 ウエットスーツが全く脱げない中、トラブルが発生する。 私は急に苦しくなってきたのだ。 手足をバタバタさせて美羽に訴える。 そう、口に咥えていた酸素ボンベが切れてしまったのだ。 酸素ボンベは【アマリンちゃん】の着ぐるみの中でしっかりと固定されているため、着ぐるみの口を開いて美羽に外してもらわないとどうしようもなかった。 手を口のところへ持っていこうとするが【アマリンちゃん】の短い腕に加え、大きな頭に阻まれて口の中までは手が届かなかった。 空気のある地上にいるのに呼吸ができないという矛盾した事態に私はついに声を上げて美羽に訴えた。 「サンソボンベ、サンソボンベ!」 私の異常事態にようやく気づいた美羽が【アマリンちゃん】の口を大きく開いて酸素ボンベを取り出してくれて事なきを得た。 だが、その様子を見て笑みを浮かべる島田さんと塩谷さんにまだ私たちは気づいていなかった。 つづく

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