買い物に出掛けたはいいが、帰るタイミングが難しい。 早過ぎたら安子さんがゆっくりできない、かといって遅過ぎると不安になるだろう。 ちょうど良いタイミングだとシャワーを浴びたタイミングにバッティングしてしまうかも知れない。 いろいろ考えたが、買い物を終えたタイミングでそのまま帰る事にした。 帰りながら思った事は、安子さんは着替えがあるのだろうかという事。 「あっ!段ボール!」 安子さんが詰められていたバキュームエアベッドと一緒に段ボールも届けられた事を思い出した。 あの中にきっと安子さんの着替えが入っているのだと思い、家路を急ぐ事にした。 家に戻ると安子さんはまだシャワーを浴びているようだった。 俺は急いで段ボールを開封し、安子さんの着替えを浴室に届けようと思っていた。 しかし、段ボールの中から出てきたのはコンドームの付いたラバースーツやラバーマスク。 それも安子さんが身につけていたモノと全く同じ、違うのは明らかに大きい男性サイズである事。 確かめていくと、他にはピンクの突起物が外側に付いたパンストが入っていた。 ピンクの突起物の内側には赤いコンドームを被ったペニスが入るようになっていた。 タンクトップと一体のマスクはノッペラボウになっていた。 レギンスはラテックス膣ではなく、太く長いラテックスペニスが付いており、内側にはピンクの突起物のついたペニスが差し込めるようになっていた。 Tシャツにもマスクが付いていたが、こちらもノッペラボウになるマスクだった。 あとは何もギミックのないラバースパッツとラバーの七分袖のシャツが入っていたが、安子さんの着替えは見つからない。 さらに段ボールの底を探して出てきたのはバキュームバッグが2つ。 明らかに安子さんが入っていたものより大きく俺のサイズだと分かる。 バキュームベッドやエアベッド、バキュームエアは共通で使えるという事だろう、しかし今はそんな事はどうでもいい。 このままだと着替えのない安子さんは浴室から出て来れないだろうと思った。 もう他にはないかと俺は必死に探したがもう何も出て来なかった。 夢中で探し物をしている俺に浴室から出てきた安子さんが声を掛けてきた。 「あのー、シャワーありがとうございました」 俺は驚いてビクッとした後、振り向いた。 そこには着ていたラバースーツを再び着てラバーマスクとフードを外した安子さんが立っていた。 「あっ、ごめなさい、安子さんの着替えが同梱されていると思って探していたんですが見つからなくて… 」 「ありませんよ… 」 「えっ!」 俺は安子さんの方を振り向いた。 「ないんです… 私、仕事も家も全て奪われちゃって」 そう言った安子さんの目にみるみる涙が溜まっていった。 取り敢えず、ダイニングの椅子に安子さんを座らせて話を聞く事にした。 買って来た飲み物を出すと、申し訳なさそうに安子さんは口をつけた。 安子さんの話によると、テレビショッピングのあの司会者は業界ではかなりの権力を持っているらしく、自分の思い通りに動かなかった安子さんにタレントとして価値はないと見なした上で、番組降板と同時に事務所もクビにされたらしい。 それだけではなく、事務所の寮からも追い出され仕事だけでなく家まで失ってしまったという。 部屋にあった個人の荷物は全て処分された上、最後のテレビショッピング出演でラバースーツに着替えると持ち物は全てその場で処分されてしまったという。 後戻りができなくなった安子さんはそのまま商品とともに出荷され俺の元へ届けられたという訳だった。 仕事も自分の家までも失った安子さんは今は服や下着もなく、あるのは今脱いだラバーウェアだけになったことを話してくれた。 俺はラバースーツは窮屈だろうと思い、ラバーレオタードとスカートなら動きやすくていいのではと提案したが、恥ずかしいと言って断られた。 疲労の色が隠せない安子さんの手を引いて俺は寝室へ向かった。 ベッドを見て逃げようとする安子さんに言った。 「凄く疲れてるみたいだから、今は休んで」 そう言うと俺は安子さんを置いて寝室を出た。 扉の向こうからは咽び泣く彼女の泣き声がしばらく聞こえていた。 半日ほど休んでいただろうか安子さんが寝室から出てきた。 安子さんは俺を見て目を丸くしていた。 なぜなら俺も安子さんと同じコンドームの付いたラバースーツを着ていたから。 「どうしたんですか?」 「ああ、これ?せっかく購入したから着てみたんだ、似合う?」 どう答えていいか分からない安子さんは微妙な笑顔だった。 「1人だけラバースーツだと嫌かなあって思って、2人ともラバースーツなら違和感ないでしょ!」 俺がそう言うと安子さんは目に涙を溜めて俺に抱きついてきた。 「どうして、どうして、そんなに優しくしてくれるですか?」 「俺、安子さんの出てるテレビショッピングが大好きだったんだ、というか安子さんが好きでずっと君だけを見てた」 そう言うと安子さんは潤んだ目で俺を見てきた。 「もう安子じゃないです!本名は梶本 空(かじもとそら) です」 「じゃあ、空ちゃんって呼んでもいい?」 「もちろんです!」 ここ最近はテレビショッピングでも見ることのできなかった空ちゃんの笑顔が見れた。 ジッと俺を見てくる空ちゃん。 「あっ、俺ね、俺は垣本 翼(かきもとつばさ)、よろしくね」 「翼くんって呼んでもいい?」 「もちろん!」 もう俺と空ちゃんの気持ちは繋がっていた。 自然と抱き合い唇を重ねていた。 「もう元気になった?」 「うん、翼くんのおかげだよ!」 またギュッと抱き合った。 「ところで翼くんってラバーフェチ?」 唐突にそう聞かれると困ってしまう。 ジリジリと詰め寄ってくる空ちゃんが言った。 「実は私もラバーフェチなんだ!」 驚きと同時に俺はツッコミを入れた。 「もう、俺もラバーフェチになってるじゃん!実はそうだけど」 そう答えて2人で笑った。 そのまま、また抱き合ってキスをした。 「ねぇ翼くんはどのラバースーツが気になってたの?」 「ラテックス膣のラバーマネキン人形かな、見た目が卑猥っぽくて… 」 そう言い掛けてやめた。 空ちゃんの視線が俺に突き刺さっていたから。 「ふぅーん」 少し軽蔑されたかと思い、取り繕うとすると空ちゃんが言った。 「ラテックス膣のラバーマネキン人形になったら、私を抱いてくれる?」 俺は首がもげるのではないかというほど縦に首を振った。 そんな俺を見て空ちゃんは満面の笑みで笑った。 「じゃあ、手伝ってね」 その声は凄く楽しそうな声に聞こえた。 つづく