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同級生SS(サンプル)

授業中。 既にチャイムは鳴り、教師が授業を開始して約20分。 教室の中では教師の声と黒板にチョークで文字を書く音が響く傍ら、時折生徒同士の声を落とした会話が繰り広げられていた。 そんな中、後ろのドアがゆっくりと開けられ、そこから身を屈めながらそろりそろりと教室の後ろを移動する一人の女子生徒の姿があった。 彼女は教室前方にいる教師に見つからないよう、静かに自席を目指しているようだ。 「ん、小寺ーお前今日も遅刻だからなー」 教卓前で授業を進めていた若い女性教師が、黒板に板書しながら告げる。 「へっ!?」 唐突な言葉に鳩が豆鉄砲を食ったような顔して、その場でパッと身を起こしてしまう。 立ち上がったその女子は、天井に届くのではないかというくらいに背が高い。 しかし周囲のクラスメートは今更そんなことに驚く様子もなく、皆してどっと笑い声をあげた。 温かい笑いの中心にいるその長身女子は、頭の後ろをポリポリとかきつつ苦笑いしながら着席する。 これが俺の…一応幼馴染になる、小寺小鞠(こてらこまり)だ。 氏名に小さいという字が二つも入っているが、デカい。とにかく身長がデカい。 そもそもこの学校には長身の女子生徒が多い。1年生でも170センチ超えはザラで、上級生も含めると180センチ超えも珍しくはない。 そんな環境にあって尚、こいつの背丈は文字通り頭一つ以上抜けている。 流石に冗談だろうが、1年生にして200センチを超えているのではないかと噂にもなっている。 一方我々男子はというと…俺たち1年の周りでも170センチを超える奴なんて数えるくらい。俺に至っては…160という数字すら夢のまた夢に思える背丈の持ち主。 いやいや、高校生ならまだ伸びる…はず。 小鞠とは小学校に上がる直前くらいまで家が近所で、よく一緒に遊んでいた。その後、彼女が父親の仕事の都合で県外へ引っ越すことになってしまい、小中学校の9年間は別々に暮らしていた。 そして偶然にも、数年ぶりにこの街に戻ってきたアイツと今年同じ地元の高校で再会したというわけだ。 最初は背の高い女子たちの中でも一際大きい女子がいると注目の的にはなっていたが、それがまさか小鞠とは思わなかった。 小鞠と俺が小さい頃はそれはもう名前の通り小柄で人見知りで、他の誰かと一緒に遊ぶ時もいつも俺の後ろに隠れていた。 それが9年後には外見だけでなく性格も変わっていた。明るく社交的で、よく周りに人が集まっている。いわゆるクラスの人気者。 まあ確かに規格外の身長ではあるが、顔は良いのだ。年の割にはやや童顔で、人懐っこさを表している。部活は水泳部で、まああの体格ということもあり実力の高い、期待の新人だという。 そこに俺の後ろで恥ずかしがっていた小鞠の姿はもはや無かった。 実は入学して数日後の朝に、たまたま下駄箱のところで鉢合わせたことがあり、軽く言葉は交わした。 ただ、その時は頭の位置が下駄箱の高さを軽く超える小鞠の印象が強過ぎて、話したいことの半分も話せなかった。 向こうから気さくに声をかけてくれたのは覚えている。俺の方が勝手に無駄な遠慮をしてしまったのが原因だろう。 微妙な距離感のまま、会話らしい会話はせずに数か月が経ち、1年生としての学生生活も終わりに差し掛かろうとしていた。 ある日の放課後、校門を出ようとしたあたりで体操服を忘れていることに気付いた俺は教室に引き返していた。面倒くさいが、ここで持ち帰るのをサボると母親にどやされる。その面倒に比べたらまだマシだ。 教室のドアを開けると、小鞠が自分の席で何か書いている。他には誰もいなかった。 「ん、どしたの?」 こちらに気付いた小鞠が尋ねる。 「あ、ああちょっと忘れ物」 声が上ずってしまう。何緊張してるんだ。 それにしても…。 学校の椅子や机と比べるとやはり小鞠の大きさが際立つ。長い脚を窮屈そうに折り曲げて何とか机の下に収納している。机の高さが低過ぎる…というよりは小鞠の背が高過ぎるというのが正確だろう。 「何書いてるんだ?」 「学級日誌。今日日直だから」 ページを開いたまま日誌の背表紙を見せる。 「大変そうだな」 授業の大まかな内容とかその日の総括的な感想とか、俺にとっては色々と書くのが面倒な印象しかない。 それから大きな体を曲げて小さな机に向かう姿が大変そうと思ったのが、少し。 「そうでもないよ。もう書き終わったし」 そう言うと両腕を上にあげて背中を反らせて伸びをする。 その際にベージュ色のベストに包まれた、大きな膨らみがぐぐっと強調される。特注サイズであろうベストが限界まで引き伸ばされる。 男子の間では既に有名だが、小鞠が規格外に大きいのは身長だけではない。体育の授業でマラソンがあった時にはそれはもう大変だった。 結局一部女子たちの殺意の籠った鋭い視線のおかげで、騒ぎはすぐに沈静化されたが…。とにかく思春期男子には目に毒。こいつはもっと自分のそういうところに自覚を持つべきだ。 「それにしてもさ」 俺が気まずそうに目をそらしていると小鞠が話しかけてきた。 「ん?」 「まさか高校で再会するなんて夢にも思わなかったね」 「…それはこっちの台詞だ。最初会った時はびっくりしたぞ」 「えへへ、まあそーだよねー。私、背もすっごく伸びたし。挨拶しても分かるかどうか、不安だったんだよね」 小鞠がまっすぐこちらを見て言う。こいつもそういう風に考えていたのか。 「まあ9年ぶりだしな。お互い変わるさ」 「んー?でもさ…」 長い脚をスクっと伸ばして立ちあがり、こちらに近づいてくる小鞠。 俺からすると一歩一歩が大きく、敵意が無いとわかっていても威圧感が凄い…。 小鞠の高さに圧倒されていると、俺の近くに立った小鞠が尋ねる。 「…縮んだ?」 嘲笑するでもなく、ただただ純粋な疑問。 「お、お前がデカくなってるんだろ!この2メートル女!」 つい言ってしまった。カチンときたとは言え。これは不味いかもしれない。身長の事になるとムキになってしまう悪い癖。恐る恐る相手の反応を待つ。 「2メートルなんてとっくに超えてるよ~」 まるで何でもない事のように返す小鞠。 「なっ…!?」 予想外の返答に言葉に詰まる。軽いパニックに陥っていると、小鞠が言った。 「だったら確かめてみる?」 「え?」 ★★★ ここまでがサンプルとなります。 残りは2000字程度です。 R-18的な要素はございませんので、ご了承下さい。 支援者様向けに全文公開もしています。もし続きが気になる方はそちらもご一読いただけますと幸いです。 よろしくお願いします!

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