さて、先生は古民家の前にベンツを停めると、後席にいる私の方を振り返りこう言ったのです。
「 T & Y さん、この古民家が施術場となります。 意外に思われるかも知れませんが、今回の特殊療法には街中の治療院よりもこういった鄙びた処の方がやり易い上に、治療の効果も格段に高いものですから、この場所を施術場とさせて頂いております。
それでは、これから家の中に入りますが、その前にお断りしておきたいことがございまして・・・・・、T & Y さんにはこのマスクを被って、このガウンを羽織って頂きます。 これはアシスタントの女性から T & Yさんが誰か判らないようにするためです。
T & Y さんもアシスタントの女性に顔や服装を見られたりして羞恥心が高まってしまったりしますと、治療効果が薄れてしまうものですので・・・。」
院長から手渡されたマスクは何とも怪しげな覆面プロレスラーが被るような覆面マスクでしたが、私は、治療院での説明時と同様、きっぱりと、それでいて穏やかな口調で話される院長の言葉に信頼感も高まっていたため、唯々「解りました!」とだけ答えました。
すると、院長はこう続けました。 「 T & Y さん、少々驚かれるかも知れませんが、今回の特殊療法は施術といっても、実際に T & Y さんの身体に私やアシスタントの女性が直接触れる訳ではございません。 下世話な表現ですが、私とアシスタントの女性が行う『行為』を隣の部屋からこっそり『覗き見』して頂ければ宜しいのです。 『えっ、たったそれだけ?』と思われるかも知れませんが、今までも何人ものEDの患者様がこの治療法によって高度のEDを克服されておりますので、先ずは何もお考えにならずに私の言う通りになさってみて下さい。 そして、『オォ~』とか『ウォ~』といった感嘆の声を出されるのは一向に構いませんが、私達に喋りかけたりすることは決してなさらないで下さい。 この治療法において最も重要なポイントは、アシスタントの女性の様々な反応を T & Y さんにご覧頂くことですので、私達に話しかけられたりしてアシスタントの女性がシラケてしまったりしてはなんの意味もなくなってしまうものですから・・・。」
今の私にとって、どのような治療法であろうが、頼れるのはこの院長とアシスタントの女性しかいなかった訳ですので、私は素直に頷きました。