青く澄んだ海に白い砂浜。
ビーチベースボールの練習の合間、ハツネは海岸沿いを鼻歌交じりに散歩していた。
「ん……?あれは……」
遠くに見える黒く蠢く物体。
スライムのような、しかし、何かの像を成しているような、今までに見たことのない形状をしていた。
そして、遠目でも分かるほどの邪悪な気配。
間違いなく、人に害をなす魔物である。
「練習場も近いし、ユウキくんたちの邪魔になる前に――」
ハツネが力を込め、星の形をした念力の塊を敵めがけて放出する。
「きらーん☆飛んでけー!」
威力を求めた一撃というよりは、相手を押して遠くへと追いやる技。
「ごめんね魔物くん、練習環境を整えるのも応援の一環なのだ☆」
魔物に自分の超能力が直撃したのを見て、少女は踵を返した。
「戻ったら一応ミサト先生に報告しなきゃ――」
「グルルル……」
「えっ……?きゃああっ!」
魔物はハツネの一撃で僅かに後退したものの、程なくしてそれを打ち消し、見た目からは想像できない速度で少女の背後に忍び寄っていた。
油断。
以前、大きな隕石にすら干渉できた自分の超能力が、まさかこの中型の魔物に通用しないとは想像もしていなかった。
黒い泥のような組織に手足を巻き取られ、少女は苦悶の表情を浮かべる。
「っ……!」
それは液体のように思えて固体でもあり、爪のような部分で引っ掻かれれば傷がつき、水着も裂ける。
振りほどこうにも、纏わりつくような執拗な攻めは少女を苦しめた。
超能力は高い集中力のもとでしか発動できない。
それに、この魔物の発する黒い霧状の物質が、少女の能力の発動を妨げているようでもあった。
自分を少女の中に沁み込ませるのが目的なのか、黒い泥の魔物はハツネを拘束すると――
子宮めがけてとめどなく注がれる黒い液体。
その液体は少女の身体にみるみる吸収されていく。
「ヤだ……ア……アアアアッ……!」
少女の悲痛な叫びは誰にも届かない。
獲物の抵抗が弱まったことを悟ると、魔物は少女に覆い被さる様に包み込んでゆく。
「アアッ……た……タスケて……」
誰にも気付かれることなく、少女はその黒い魔物に呑み込まれていった。
ほどなくして、少女が魔物の中から排出される。
血の流れを感じさせない灰色の肌。
周りを漂う漆黒の霧。
それはまさに、魔物のそれと同質のものであった。
魔物は自分の“つがい”となった少女と繋がったまま、森の奥地へと消えていった。
この後、浜辺では少女の姿と酷似したシャドウが何度も目撃されるが、本人の行方は謎のままである。
-終わり-
今回は試験的にSS&漫画部分を挿絵的な感じで使ってみました。
次回更新は10日、カオリの負けコネ1枚導入イラストです。
よろしくお願いいたしますー。
(ちなみにSSを書く時、いつも地の文を多量に書いてしまうのですが、もうちょっとキャラのセリフ多めで進めていった方がいいんですかね?)
■C100新刊書店委託についての続報
書店への納品が9月3日になるとの連絡を印刷所さんからいただきました。
お待たせしましてすみません。
通販は現在予約状態ですが、実店舗のほうにも多少回されると思います。
お買い逃がしの方がいらっしゃいましたら、是非ともよろしく願いいたします~。
メロン→https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1523407
とら→https://ec.toranoana.jp/tora_r/ec/item/040030992277/
Mukade
2022-09-02 06:40:22 +0000 UTC