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「江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」を読んだ

読書メモ

配本網を構築した小倉がここで一計を案じる。訪れた大学で学生寮に潜り込み「もうすぐ『企業への招待』という本が配られるから、巻末のはがきを企業に送ってくれ」と動員をかけたのだ。学生たちは小遣い稼ぎでせっさとはがきを書き、それが広告を掲載した企業の元に大量に届く。


中には入社が決まった後に「うちの息子はオタクのような会社には行かせません」とねじ込んでくる母親もいた。そんな社員の実家に、江添は盆暮れの付け届けを欠かさなかった。ある日、北海道出身の高卒社員の父親が亡くなると、江副は「みんなで行こう」と声をかけ、葬儀に参列するため北海道へ足を運んだ。


本田宗一郎は採用に熱心な経営者だった。「江副くん、俺はとにかく優秀なやつが採りてえんだ。てめえのために頑張るやつがいい」「ホンダのために働く人じゃないんですか」「ウチのために働けなんてケチなことは言わねえよ。てめえがやりたいことをやるために会社を使うくらいがちょうどいいんだ」


江副は「仕事の生産性を上げ、仕事のスピードを高め、高収益社会にして税金を納めることがリクルートの誇り」とした。後にリクルートの精神的支柱となる社訓を決めたのもこのときである。

「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」


 「江副さんには『こうしたい』という意見がある。でも、それを自分が言えば、命令と服従の関係になってしまう。だからしつこく『君はどうしたいの?』と聞くんです。はじめのうち社員はトンチンカンなこと言っていますが、江副さんは『それで?』『でも、こういうこともあるよね?』と誘導していく。すると、そのうち社員は、江副さんが考えていた正解や、それより素晴らしいアイデアにたどり着く」

そこで江副は満面の笑みを浮かべ、こう叫ぶのだ。「先生! おっしゃるとおり。さすが経営者ですねえー!」社長に「先生」と呼ばれた社員はギョッとするが、悪い気はしない。


「じゃあそれ、君がやってよ」「えっ、私がですか」「そう君が。だって君の言うとおりなんだから」

社長の前で意見を開陳してしまった社員は、もう引っ込みが付かない。こうして江副は不平不満ばかりの「評論家」だった社員を「当事者」に変えてしまうのだ。


「わからないことはお客様に聞け」

江副は若い社員たちにクライアントと飲み食いする「外飯・外酒」を推奨した。世間知らずの若い社員をお客に育ててもらう。


価格は200円。全額を書店の取り分にした。書店から見れば驚きである。普通の雑誌は出版社に原価、取次にマージンを払った後の薄い利益しか受け取らない。ところが『住宅情報』は、売れた分だけ「丸儲け」なのだ。もちろん日本ルクルートセンターは不動産からの広告料で十分潤っている。


書店の近所に住む主婦をアルバイトで雇った。JJレディは客の少ない昼間に書店に顔を出し、店主と世間話をする。近所付き合いもあるから、店主も邪険にはできない。JJレディは頃合いを見計らって、書店のドアに『住宅情報』のポスターを貼る。「おいおい、そこはダメだよ」と言われてもJJレディは「あらいいじゃない」と知らぬ顔。

棚が狭い書店には、日本リクルートセンターの営業が「邪魔にならない場所に置いてください」と手作りのマガジンラックを持参した。


キヨスクには、JJレディではなく日本リクルートセンターの若い男性社員が直接搬入した。息子のような年恰好の若者が額に汗して重い雑誌を運んでくれば、売り場の女性は「若いのに大変ねえ」となる。すかさず男性社員は爽やかに「僕が店番してますから、どうぞ一服してきてください」とやる。店員一人で切り盛りするキヨスクは、交代の店員が来るまで持ち場を離れられない。トイレに行き、タバコを一服できる5分の休憩が実にありがたいのだ。しばらくすると人気の週刊誌を押しのけて『住宅情報』が一番目立つ場所に並んだ。

「本は本屋で売るもの」という固定概念に縛られない営業員とJJレディは酒屋、美容院、理髪店、銭湯と手当たり次第に販売ポイントを増やした。


採用シーズンになると冨永は東大赤門前の寿司屋の2階を3ヶ月貸切にした。脈のありそうな工学部の学生を捕まえると、座敷に連れていく。そこにはリクルートが誇るトップ営業マンが待ち構えている。

座敷で寿司をつまみながら、リクルート流の「モチベーション」をたっぷり注入してウブな学生をポーッとさせる。「この学生は落ちそうだ」と感触を得たら、とどめに江副が登場する。


所感

当時の企業DNAが今まで受け継がれているのはすごいなと思った。


またリクルートのコミュニティ攻略戦術というか、ドブ板営業の一端を垣間見ることができて良かった。セールスの重要性が身に沁みた。


また後半では江副が政治の世界に足を突っ込んでいく様子が描かれていたが、ビジネスをこれだけうまくやれる人であっても一国を動かす政治という遊びの魔力に取り憑かれるのかと、政治が持つ魔力をも感じることができた。


読んで良かった、面白い本だった。

「江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」を読んだ

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