BOOTH特典で色紙と一緒に添付して贈った文章の出来を見てほしくなったので、掲載しました。ちょっと修正してます。
描いてるときもいろいろ考えてるんですが、とにかく、物語を膨らませるのがすきなんだなって伝わってくれたらうれしいです。
一番たのしいのは、熟語をちりばめる際にgoo辞書を確認する時かな。言葉選び、うきうきわくわく。
どちらもほんのりコワい話になりました。
元気な時に見てください。
感想を送ってくれるとうれしい!!!!!!!!!
目次
1)フランちゃん
2)チルノ
目の前に、林檎をかじる小さな少女がいる。
整いすぎた顔立ちと、人間離れした異質な白さの肌。まるで等身大の人形が動いているかに見える。
紅く宝石のような瞳が怪しく光るが、その割にあまり澄んでおらず、見ていると深く沈んでいくような感覚に襲われた。
「人間」
子どもの声なのに、幼く感じない。
「給仕が獲ってきたようだけれど…あなた、まずそうね」
ボンヤリした頭の隅に映像が映る。
黄昏時に郷の森の小径を急いでいたら急に足に力が入らなくなって、崩れて、気付いたら…
ああ、ここは悪魔の棲む館
だんだん、冷たい石の床の感触を覚えてきた。
「私は少食だから、一度の食事にこだわりたいの。特に今宵の美しい月に合う格別の新鮮な美食を用意せよと言ったのに」
あの給仕め、と少女が吐き捨てる。
林檎の汁が彼女の手に滴り、長い爪で頬がぬぐわれた。
「少しずつね、破壊して遊んであげるわ…まずは、神経から」
何やらワケのわからないことを呟いたかと思うと、不思議と急に体が軽くなった。
繋がれた枷に食い込む手の重みすら感じない。
「アハハ、すこしずつ穴を開けてやる。
最近は興に入ることもなかったもの。心行くまであそばないとね」
夜が更けていく…
友だちと駆けていた野原から外れてしまった。
この日は曇りで、空一面が厚い暗雲に包まれて方角もわからない。母に今日は家にいなさい、いつ降られるかも分からないんだから…と忠告されていたのを思い出し、後悔と不安に押しつぶされそうになっていた。
ここは村よりずっと寒い。背より高く生い茂る葦を見るに、河川か湖畔が近いようだけれど、水の音は聞こえない。
雲の向こうの日は沈みかけているのだろう。
一層寂然としてきた荒野に座り込んでいると、さっきはなかった光がチカッと葦の隙間に見えたような気がした。
温かな人家の灯ではなく、青白い仄かな光。
錯覚のような気もしたが、これを逃して夜を何事もなく過ごせるだろうか、イヤ…
実際のところ、頭よりも体が先に動いていた。疲れた体を起こしきらないで、屈んだままそっと近づく。
背丈の低い硬い草が足首に当たるが、かまいやしない。
視界が開け、正体を見た。
自分とそう違わぬ歳に見える風貌の少女が佇んでいたのだ。しかし、彼女が人間でないことにはもっと早く気が付いた。
あの光は、彼女の背に見える不思議な、羽根のようなものから強く、そして彼女自身からも薄っすらと放たれていた。
幽世に来てしまったのか
目の前の光景を理解するためには、現実を正しく認識しようと努力するよりも、親が話す迷信を思い出すほうが容易いし、心も軽くなる。
少女は振り返った。
同時に、いくつかの光が体から弾け飛び、それはゆっくりと地面に舞った。よく見ると、氷の結晶のようだった。
澄んだ瞳に捉えられ、時が止まった。
「ああ、あんた、人間かい」
郷に住む誰よりもお転婆で、勝気そうな声だ。
「あたいの友達にしてあげる」
うれしそうに笑いかけてきた。
安堵と、驚きと、困惑がないまぜになった口を開き、彼女に返事をした。
……
声は出ない。
熱い感覚が全身を覆う。
視界が奪われる直前、彼女が掲げた手から白い煙が揺らめいているのを確認した。
そのまま五感が凍てつき、プツッと意識が途切れた。
霧の湖に近づくな
悪戯妖精が惑わせて
鹿も、蛙も、ニンゲンも
みーんな凍らせてしまうんだ
話し掛けたって返事をしないのに
いつも楽しそうに、何年も、何百年も
お前も妖精の"友達"になりたくないならね
霧の湖に近づくな
今日も、郷の幼子は枕元で親が詠う迷信を聞きながら眠りにつく。
向日葵の咲く場所
2025-05-14 15:30:19 +0000 UTC白南風
2024-11-20 12:41:18 +0000 UTCはやや
2024-11-16 06:19:22 +0000 UTC