廃墟ビルの一室。
ソファにふんぞり返るブラックスパイダーマン。
その足元、埃だらけの床には・・・
アザだらけの体でうずくまるフラッシュの姿があった。
ブラックスパイダーマンの無造作に投げ出された太い両足が、
全裸のフラッシュの背中に重くのし掛かっていた。
フラッシュ:
ち、畜生……!まさか、お前が……男をいたぶって喜ぶ、ヘンタイ野郎だったなんて……見損なったぜスパイディ……いや……この“蜘蛛男”め……!
ピーター:
ハハハッ、いい格好だなァ。……なあ、あの頃の“猛牛フラッシュ”の威勢はどこに行ったんだ?毎日さんざん、俺をイジメてくれてたじゃないか。
フラッシュ:
……??? そ……その声……お前……!
ピーター:
やっと気づいたのか?そうだ、俺だよ。
ピーターはマスクを脱ぎ、素顔を晒してみせた。
フラッシュ:
まさか……パーカー……!お前が、蜘蛛男……!?
ピーター:
そうさ。街を護る正義のスパイダーマンの正体は、このピーター・パーカーだったのさ。……もっとも、そんな正義のヒーロー"ごっこ"も、もう終わりだ。
フラッシュ:
……終わり?……どういう意味だよ。
ピーター:
これからは、俺のこの素晴らしい力を、人助けなんかじゃなく、俺自身の為に使うことにしたんだ。
フラッシュ:
お前は……スパイダーマンは、弱い者の味方じゃなかったのかよ……
ピーター:
そうさ。お前たちは弱い。弱すぎるんだ。吹けば飛ぶ蟻のように弱っちいお前ら人間どもを護るのが、いい加減馬鹿馬鹿しくなったのさ。考えてみろよ。どうして俺のような優れた人間が、お前ら蟻どもの為に汗を流して働かなきゃいけないんだ?なぁ?
フラッシュ:
ぐッ……!
ピーター:
俺は気付いたのさ。力の無い者どもは、力を持つ者の為に労働すべきだってな。古代からそうだろう?たった一人の偉大な王が、無数の奴隷を支配し働かせてきた。それが自然の摂理ってやつだ。この現代でも、そうあるべきなんだ……。
フラッシュ:
な、なあ、パーカー……俺が、悪かったよ。今までお前にしたこと、全部謝るよ……この通りだ!だから、頼むよ……昔のピーター・パーカーに戻ってくれよ……!
ピーター:
昔の俺に……?あの頃の、貧弱で何もなかった俺に戻れだって?ハハハ!寝ぼけてるのか?……見ろよ、この素晴らしい肉体を。見ろよ、この偉大な力を!……この力は、神に与えられた力だ。神が俺に、この世の頂点捕食者になれと与えた力だ!お前ら人間風情に、俺の考えている事が分かるか!
フラッシュ:
ぅぐっ!パ、パーカー……やめてくれ……
ピーター:
言葉遣いから躾け直さないといけないようだな!!!
フラッシュ:
ぐァッ!や、やめて、くだ……さい……
ピーター:
パーカー"様"だ!
フラッシュ:
パー、カー……さ、様……ッ!
ピーター:
ハハハ……!ようし。お前は今日から、このピーター・パーカー様の奴隷だ。光栄に思え。俺の記念すべき最初の奴隷になれるんだからな!
フラッシュ:
"最初の"だって……?一体、これから、何をするつもりだ……
ピーター:
決まってるだろう?この世界の全てを支配するのさ。世界中のあらゆるモノ、カネ、そして人間ども!その全てを、このピーター・パーカー様の手の中に収めてやるんだ……。この偉大な力を使ってな!ハハハハハ……!!!
廃墟ビルに、ピーターの笑い声が重たく響く。
強大な力を手に入れ、ダークスパイダーマンとなったピーター・パーカー。
彼がこの世界の全てを掌握するまでに、そう時間は掛からないだろう。【終】
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