ここは、何でも望みの叶う店───。 ちょっとした幸運から最悪の望みまで、お客さんが望みさえすれば好きなように物事を動かし、自分にとって最高の望みを授かることが出来る。 「ああ、いらっしゃいませ。本日はどの様なご用でしょうか」 店主はにこやかに微笑み、ズカズカと我が物顔で店内に入ってきた素朴な女の子。もっと言ってしまえばモッサリとして、如何にもいじめられっ子という風体の女の子に訊ねる。 「このノートをもう一冊ください」 そう言って女の子は『人生観察ノート』という小学校や自由研究の際に使われ自由帳に似たノートを取り出す。その中にはびっしりと彼女をイジメているイジメっ子の人生を書いているのは一目瞭然だ。 「ふむ。では、ノートを拝借します」 ゆっくりとノートを受け取った店主はパラパラとノートを捲り、ここ数年ほど書き換わっている歴史と現在を確認していく。たったひとりの女の子に仕返しをするために、ここまで書き込めるのは凄まじい執念といえる。 とくに『会社倒産』や『娼婦化』などイジメっ子の家族にも影響は及んでおり、よく文章を読んでみると現在のイジメっ子は彼女のペットとして生活し、まともな人生を送っていない。 「いやはや、ここまでとは…」 店主は驚きながらも新しいノートを女の子に差し出し、そのまま代金を受け取ることなく彼女を見送った。自分にノートを使われたら堪ったものじゃないからだ。